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第7話:素振りとお風呂

前回までずっと一人称視点で書いてきたのですが、近作では主人公以外の視点も多用する予定ですので、今回から試しに地の文にキャラ主観以外のものを採用してみることにしました。

読むに耐えないかもしれませんが、どうか広いお心で容認いただければと思います。


 ここは、剣と魔法と神話の世界ナワーロウルド。

 人々はまだこの世界が一つの星だとは知らないままで、その日のことに精一杯に生きている。


 そんな世界の片隅、5つある大陸の1つサテュロスで最大の規模を誇る国家イシュタルト王国の4つある侯爵領の1つホーリーウッドの、更に最果て、森の中に片足を突っ込んでいる様な開拓村ウェリントンに幼い声が響いた。


「やー!たー!」

 夕暮れの近い村の中に響く舌足らずな声はその少女・・・・いや幼女が、まだ見た目通りの幼さであることを如実に表しているが、その幼女の行動には若年故の無駄は少なかった。


 幼女はそれをするのが当然の様に木剣を握り素振りをしているのだが、その動きには些かの迷いも遊びもなく、遊びや格好付けの一環ではなく、ただ素振りをすることが目的である様に淡々と行われている。

 少し異様な光景ではあったが、すでにこの村では当たり前の光景となりつつあった。


「よーしアイラ、あと100回終わったら先に部屋に戻ってて良いぞー」

 傍らでその様子を見守っていた父親と思しき30台の男性が、幼女に声をかける。

「はいおとーさん」


 おとーさんといわれる度に頬が緩みそうになるのをこらえながら、父親であるエドガーはこの幼い娘のことを誇らしく思っていた。

 強気だけど礼儀正しいそして、優しい心を持ち才能にあふれた娘だと。


「おわったよ?おとーさん」

 エドガーが少し考えをめぐらせている間に与えていた課題を終わらせた娘はその赤の混じった金の目で彼を見上げた。

 自分の金の髪と、妻の美貌とを正しく受け継いでいる。

 まるで神話か絵画の中の人物の様に理想的に見える幼女、それが自分の娘であることが誇らしかった。

「よし、じゃあ今日はおしまい、先に戻ってていいよ?」

「はい、おつかれさまでした!」

 ぺこりと頭を下げて玄関のほうへ走っていく娘の背中をエドガーは見送った。


(あの子はすでに、トーレスよりも巧い・・・。)

 剣の練習を見てやる様になってまだ半年ちょっとで、さすがに4歳の娘にはまだまともに剣術を教えておらず。

 エドガーがアイラにやらせている訓練は体力づくりのためのものに終始している。


 にもかかわらず、たまに長男のトーレスと打ち合わせてやると娘の剣の振りも、足運びもすでに完成されつつある。

 むしろ体さえ出来上がっていれば、一人前の剣士といっていい訓練度だった。


 そして何より4歳の娘が、毎日短い時間とはいえ、文句1つ言わずに訓練に汗を流していることが一番の自慢であった。


 一方家の中、アイラが帰ってくるとちょうどお風呂の準備を終えていたアイラの14歳の姉サークラと、双子の妹のアイリスとがアイラを迎えていた。

「アイラ、訓練が終わったならお風呂できてるよー」

 そういってアイラを誘うサークラに対して、アイリスはすでに服を半分脱いでいて、飾りの少ないかぼちゃパンツ一枚で、脱衣所の前の座り込んで待っていた。


 この時期は寝る前にお風呂に入ると幼い体は汗をかいて大変なので、夕飯の前にお風呂に入ってしまう様にしている、そのためアイラが訓練を終えるとすぐにお風呂に入れる様に姉がお風呂の支度をあわせてくれているのだ。

「うん!」

 そしてそれは、アイラとしても汗臭いままでのご飯よりも、お風呂に入ってからの方がおいしく食べられるのでありがたい話であった。


 早くお風呂に入りたがっていたアイリスはアイラの姿を認めた時点で、唯一身につけていたかぼちゃパンツをせっせと脱ぎ始めている。

 アイラは木剣だけ定位置の玄関横に立てかけると走って姉の元に走る。

 その姿だけ見れば、アイラはただ大好きなお姉ちゃんに甘える年相応の幼女であったが、アイラは転生者である。

 それも飛び切りかわいらしい容姿をした・・・。


 そして転生者ゆえに自分のためにお風呂を準備して待っていてくれた姉に

「おねえちゃんのお背中、今日もボクが流すね!」

 と、お返しをする程度には気遣いができる。

 前世と異なり女性であることになれているため、体を見ることには抵抗がなくなったアイラは、積極的に家族と付き合うことができる様になっており

 そんなアイラと接してきた家族は彼女のことを礼儀正しく才能があり、でも年相応に自分たちに甘えたがっているとんでもなくかわいい妹(娘)だと感じていた。


---

(アイラ視点)


 訓練と称した簡単な素振りと打ち合いの時間が終了すると、姉サークラと妹アイリスとのお風呂タイム、サークラは傾国レベルの美少女なので前世では照れてしまっていたが、今となっては自分も将来匹敵する美人になることがわかっているし、100年女をやっていたので欲情もあまりしない、あまりしないというだけで、ちょっとは欲情してしまっているのだけれどたった15年の、物心ついてからと考えると11~2年の男生活の名残が魂に染み付いているというのは、三つ子の魂百までという様なものなのかな?


 暁の頃や、前世では男の心を持った自分が、女の子の裸を見て興奮を覚えるのは神楽への裏切りや、倫理的な観点から恥ずべきものであったけれど、今のボクはもう女性としての生活が長いのだから、これは異性への欲情ではなく、同じ女性としての憧れの様なものとして認め、処理できる。


 平たく言えば、ボクもこれくらいおっぱいおおきくなりたいな!ってところである。

 平たいのはむしろボクの胸だけれど


「アイラ・・・前は、自分で洗えるから」

 っといけない、いいわけを考えていたら、ついサークラのずいぶんと大きく育っている胸を泡だらけの手で触ってしまっていた。

「お姉ちゃんは大きいよね・・・」

 サークラの指摘に対してとっさに口から出てしまった言葉は謝罪ではなく羨望の言葉。

 サークラはちょっと意外そうな顔をしてボクの脇の下に手を入れると親指の腹で胸の辺りをぐいぐいと押した。


「アイラまだ4歳なのに、おっぱいがないのが気になるの?心配しなくってもおねえちゃんも10歳くらいから膨らみ始めたんだよ?だからほら、リルルやオルセーだってまだぜんぜん育ってないでしょ?」

 それはわかっているんだ。

 4歳のボクが膨らみ始めていたらそれはなにかの病気だというのは。


 でもそうではなくって、ボクは前世でも授乳期を終えたあと大きさの戻った胸はギリギリB程度のものだったんだ。

(アイリスはかろうじてCあったというのに・・・。)


 姉妹で差異が出てしまったのはわかる。

 ボクは前世ではまだ体が成長しきる前に妊娠出産を経験しているため、成長の成長がアイリスとは変わってしまったんだって


 でもそれにしたって、白人系の人種とはいえ14歳で、体はほぼ完成しているサークラは身長165cm体重は52kgほど、胸は・・・胸は・・・すでにDカップ程度ある・・。

 身長はもう伸びていない様だけれど、胸はまだ少しずつ成長中なのだ。

 まぁウェリントンには胸囲の最終兵器エッラもいるので、そちらについては考えたくもないが・・・。


「そんな悲しい顔しないの、お姉ちゃんもお母さんもちゃんと育ったんだから、アイラも好き嫌いしない子だし、きっと大丈夫よ?ほら、背中と頭洗ったげるから背中向けてーはい、ザバー」


 姉の掛け声とともに世界の音は遮断され、ボクはその間にため息を漏らすのだった。

---

(サークラ視点)


 アイラとアイリスがお風呂をあがると、今度は妹のアニスをお風呂に入れる。

 アイラとアイリスにほとんど手がかからないおかげで、うっかり溺れたりしない程度に様子を見つつ、私は自分の体を洗ったり、お湯で温まることができる。


 それが終わると、まだ1歳のアニスのお世話なので落ち着く暇はない。


 お夕飯の支度をある程度手伝った後、妹たちのお風呂を面倒みるのは、私の家での仕事。

 妹たちは3人ともぜんぜん違う個性があって、アイラはまったく手がかからないどころかほかの妹の世話を手伝ってくれるくらいお利口さんで、同時に甘え方がちょっと下手なところがあるのがたまらなくかわいい。


 アイリスはマイペースな子でいたずらとかはしないけれど、ちょっと暑いとすぐ服を脱いだり、寒いと思うと私のスカートの中に入ってきたりするけれど基本的にはおとなしいいい子。


 アニスはまだ1歳で、個性といえるものはまだ固まっていないはずだけれど、気分屋ですごくおとなしいときとすごく暴れん坊な時があるので、目が離せない。


 そんなアニスのお風呂の世話を終えた私は、先にお風呂を出ていたアイラに体を拭いたアニスを渡して、最後にもう一度湯船に入る。

 そう、普通はまだ4歳の子に1歳の子の着替えのお世話なんて任せられないのに、アイラには任せることができる。

 それがどれだけすごいことか・・・。


 湯船に入ったままで、次に入る家族のために生活魔法道具の「結露の柄杓」でお水を40リットルほど足して、「アイロンバー」で温度を調整する。

 そして適温よりちょっと熱いくらいの温度になったところで、私も十分暖まったのでお風呂から上がる。


 夏場はお風呂上りにすぐに服を着ると汗をかいてしまうので、本当はアイラたちみたいにもうちょっと薄着をしたいのだけれど、もう14歳にもなると薄着をしているとはしたないといわれてしまうので下着の上にもう一枚着る。

 何よりもアイラにとっての、立派なお姉ちゃんでありたいので、みっともないところは見せられないのだ。

 

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