幕間
やっと一章完結です。次からは素材とレベル上げのダンジョンが続いていきます。
個性的なボスとその攻略などで飽きないようにしていければなと思います。
「それで? 次は魔王か?」
クロイツとモトナフは向き合って座り、今後の話をしていた。
「その槍があれば魔王を倒せるからか? そんなに甘くはない。第一、それを装備することすらできんだろ」
クロイツはステータス画面から装備メニューを開く。武器は同時に二つ以上使用することはできない。しかし装備しておくことで自分の手の届く範囲に実体化し、いつでも切り替えられる。
光龍槍を空いている装備枠にセットしようとするとエラー表示がでた。
『装備に必要なレベルに達していません。UQL65』
「UQL65? なんかのエラー表示か?」
「User Qualified Level……使用者適格レベル。まさか知らないでこのゲームを始めようとしたとはな。今回はちょっと期待したんだがなあ……」
「おい、ってことはうちの最初の勇者はあの時点でレベル65以上だったのか!?」
「恐らくそういうことだ。普通の勇者でも平均40代で50超えれば敵なしっていわれてる。話を聞いた限りそいつは相当なバケモノだな。あいつの使ってたハミーリオンマスクは36。格上なのが分かってたから止めたんだ」
この世界も平等ではなかった。その事実が深くクロイツの心を抉った。
「それから今の状態では魔王を倒す力はない。純真石、赦しの十字架、洗練されし果実――この3つを取り込ませると真の姿、皇龍槍になる。レベル上げをしながらアイテムを探す」
項垂れるクロイツに近づくと肩を揺すりながら語り掛ける。
「なんだ? もうGAME OVERか? 自分で始めておきながら情けないやつだな。あのとき……YESと答えたお前の覚悟はその程度だったのか」
意識が今では遠くなった過去へと戻っていく。
遊び半分だったのか――否。
覚悟がなかったのか――否。
運命に抗いたかったのだ。
「まだ何も終わっちゃいないさ」
顔を上げたクロイツの目にもう迷いはなかった。
「よし、そうだ。いい顔してるぜ」
そう言うとモトナフは姿を消した。一人取り残されたクロイツは、バッグの中に入っていた木がデザインされた小さなコインを取り出す。カマキリとの戦いで手に入れた戦利品の一つだった。
指ではじくと周りの景色がハイスピードで流れていく。逆に自分とコインの動きはひどく遅くコインの回転がはっきりわかった。空中でコインを捕まえるとすべてのスピードが元に戻り、始まりの森入り口にいることがわかった。
『始まりの森をクリアしました』
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Tips:
森のコイン:グーマーに勝利したことを示すコイン。指ではじくとダンジョンから脱出できる。
最後まで読んでいただきありがとうございました。