選択肢3
*この話はPvPから続き、選べないルートです。前の話を読んでいなかったり、選択肢を間違えたりしたときは、目次にもどって選び直してください。
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剣は迷いを抱えて空中をさまよう。
――俺は本当に殺してもいいのだろうか? それ以外に手はないのか?
「クロイツ! 危ない!」
気づいたときにはもう遅かった。胸の辺りに冷たく鋭い感覚が走る。ナルディの右手に握られた短剣がクロイツの肺に穴をあけた。呼吸をするたびに激痛が走る。
「邪魔だ」
クロイツの体を押しのけナルディは起き上がる。カウントは残り2秒でクロイツの体力は空を示す。
――ここまでか。
薄れていく景色のなかで最後に見たのは駆け寄るモトナフの姿だった。
*
遠くからこの戦闘の顛末を見届ける影がもう一つあった。
「君も他人任せの道を選ぶんだな」
ナルディの笑みが映されたウインドウを閉じるとログアウトする。そこはチェス男の部屋だった。もう一人の女もモニターを通して見ていた。
どかっとソファに横たわるが、苛立ちは収まらなかった。
「きっとまた次が――」
怒りに任せて男はテーブルを殴りつける。駒は四方八方に飛び散った。
「いつまで待てばいい? 10年か? 20年か!? そんなんじゃ意味がない、手遅れだ……」
白のキングは真ん中で折れ、血で赤く染まっていた。
――エンディングJ
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Tips:
使用者適格レベル(User Qualified Level):各装備に設定されている。そのレベルを超える者でなければ使用できない。
杖:埋め込まれた宝石の色により特性が変わるが、基本的にはすべての呪文を発動できる。
他人任せでいいですか?