選択肢2
*この話はPvPから続き、ナルディを殺さないルートです。前の話を読んでいなかったり、選択肢を間違えたりしたときは、目次にもどって選び直してください。
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ざっ――。
剣はナルディの顔すれすれを通り地面に突き立てられた。
「終わりだ」
静かな声で戦闘の終了が告げられる。
『LOSER ナルディ 対戦相手が優勢勝ちを選択しました』
メッセージとともにフィールドが解除されていく。クロイツはゆっくり立ち上がった。
「なん……で……?」
「二度目はない、さっさっと失せろ」
始まりと同じように一つのポリゴンに集約されるとクロイツの手の中へ納まった。
「それと、これは返してもらうからな」
『ペナルティとして 光龍槍 を失いました』
一瞬目を離すとそこにナルディの姿はなかった。クロイツは緊張から解放されると全身の力がぬけ倒れこんだ。その表情はどこか清々しそうだ。
モトナフは訝しげに近寄ってくるとクロイツに声をかけた。
「なぜだ? 止めを刺さなかったらまたいつ襲われるかわからんぞ」
「どっちが悪魔だったんだろうな?」
問いかけのようなモノローグのような言葉だった。意味がわからないモトナフは少し思案すると答えた。
「惚れたか?」
「はあ……お気楽でいいなあ」
二人は顔を見合わせると笑いあった。ふと何者かの視線を感じクロイツは辺りを見回した。緊迫したオーラを感じ取ったモトナフも訊ねる。
「どうした? 敵か?」
一点を見つめるクロイツだったがそこには何もなかった。
*
『いや、気のせいだったみたいだ』
遠くからこの戦闘の顛末を見届ける影がもう一つあった。
「上々だな」
男はにやけながら画面を閉じた。ログアウトするとそこはチェス男の部屋だった。もう一人の女もモニターを通して見ていた。
「まあ第一段階突破かな……妙に嬉しそうだな、気持ち悪い」
「彼ならたどり着くかもしれないな、本当のエンディングに」
*
Tips:
使用者適格レベル(User Qualified Level):各装備に設定されている。そのレベルを超える者でなければ使用できない。
杖:埋め込まれた宝石の色により特性が変わるが、基本的にはすべての呪文を発動できる。
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