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妖怪の嫁入り  作者: ルナ☆
第壱章 ~神様巡り~
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1話 ~出会い~②

     * * *



冬来(とうら)「………え。」


 そこには、幾人もの人がきれいな列を作り、膝をついて頭を下げている。

 <こちら(ぼく)>に向かって。


「……。」


冬来「…あ。」


 1人列から外れ、列の前にいた青年と目が合い、微笑まれる。



     * * *



 しばらくその状態の意味が分からず、ぼくは静止していた。

 そんな沈黙の時間をさえぎったのは、先ほどの青年のコエだった。


青年「とりあえず、中に入っておいで?」


 先程と同じく、優しい笑顔で。


冬来「あ…えと…。」


青年「ね?」


冬来「……は、はい。」


 その美しい笑みに逆らうことなんてできず、ぼくは言われるがまま、あの見つめるだけだったはずの屋敷の中へと招き入れられた。



     * * *



青年「…さて。」


冬来「あ…はいっ」


 案内された広すぎる和式の部屋とそこにまた列をなした人たちに、おどおどキョロキョロし思わず正座していたぼくに、青年が声を発する。 


青年「あらためてはじめまして、神様」


 にこりと微笑まれ、心臓がドキンとはね、大げさなくらいの反応をしてしまう。

 こうしてあらためて近くで見ると、その顔は驚くほど整いきっていた。

 そんなあまりにも人間離れした美しすぎるそのまとったたたずまいはまるで…


青年「神様?」


冬来「ふぁいっ!」


 突然思考をさえぎられ、思わずすっとんきょうな声を上げる。


青年「フフッ。」


冬来「あ…(笑われた…っ> <)。…あっ、いや、その、そうじゃなくてっ、あの、ぼく、か?かみさま?じゃない、んですけど…。」


 ぼくは色々困惑しながらも、気になっていた<かみさま>という呼び方に異論を唱えた。


青年「ん?あぁ、それは気にしないで。」


 ぼくの異論もむなしく、さらりとかわされる。


冬来「…え、いや、でもぉ…。」


青年「それより、そろそろ本題に入ってもいいかな?」


冬来「は…え?え、えと…本題?」


青年「あ、その前に自己紹介がまだだったね。」


冬来「えっ?あ…はい。」


 さっきから彼にペースをもっていかれまくりのぼくは、どうにもこうにも彼の笑顔に逆らえずにいた。


麗美(れいび)「俺は 白神(はくしん) 麗美(れいび)だよ。よろしくね、神様。」


冬来「あ…はいっ。えと、は…はく、しん?れい、び…??さん?」


 ぼくは聞いたことのないような姓と名に疑問形になりながらもなんとか復唱してみる。(いや、冬来なんて名前も聞かないけど…)

 にしても…


冬来「あ、あの、…どこの国のお方で…。」


 そう、ずっと気になっていたこと。

 美しく長い白髪に、キラキラと宝石のように輝く銀の瞳。

 そんな洋風な顔立ちとは裏腹に少し不思議な和風の服。


麗美「国?何のことかなぁ?」


冬来「え…、あ、いや、やっぱ何でもないです。」


 何か事情でもあるのかな?と気になりつつも、初対面の人のプライベートにあまりつっこみすぎるのも良くないと思い、それ以上は口を閉ざした。

 

麗美「…さて、自己紹介も済んだことだし、今度こそ本題に入ろうか。」


冬来「あ、えと、その、ほ、他の方は…?」


麗美「後でゆっくりと紹介するよ。それより先に話すことがあるんだ。」


冬来「は、はぁ…。あの、それってぼくじゃないと、だめですか…?」


 あやしい。

 絶対何かの詐欺か勧誘だ!ぼくお金ないのに!

 どうしよう…。どうにかしなきゃ。

 というか何でぼくこんな事になったんだっけ…


麗美「…。」


 彼は肯定するようにただニコリと微笑んだ。


冬来「…あ。」


 そうだ。この笑顔だ。

 不思議とその笑顔を見ると何も否定できなくなる。

 どうしてだろう…?


冬来「…は、はい。」


 えっ?今「はい」って言った?え、な、どうしよ、このままじゃお金取られちゃ…


麗美「うれしいよ。じゃあ、さっそくなんだけど…

    ”今晩うちに泊まっていかない?”」


冬来「へ?」

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