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1話 ~出会い~①
冬来「なんだろう…これ?」
ぼくは、目の前にそびえ立つ木でできた門を数秒見つめる。
そして、その奥に立つ、ここに在るだけで場違いな建物に目を移す。
この町は決して都会なんて大それたものではない、田舎の中の田舎なのだが、それにしても古く江戸時代から転移してきたような荘厳な屋敷。
その屋敷からなぜか目を離せないでいると、ぼくの思考をさえぎるように屋敷の中から音がする。
ぽーん ぽんぽんぽーん…
冬来「…あ。」
「…!」
突如転がってきた昔懐かしい球体、鞠を追いかけてきた小さな女の子と目が合う。
少女「神様!」
冬来「え?」
少女が言った言葉の意味が分からず、まぬけな声を上げるぼくを差し置いて、少女は…
少女「白神様っ、大変!神様が…っ!!」
屋敷の奥に向かってそう告げる。
冬来「は…え?」
その場面はぼくに考える暇もくれず訪れる。
「「ようこそいらっしゃいました、神様」」