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いつもそうだ。
人とは違うこの白い髪。
両親も行方知れず。
幼い頃どうやって生きてきたのかも分からない。
ただ、最低限の生活が出来るくらいのお金があるだけ。
ぼくは1人。でも、誰かがいた気がする。
その唯一の手がかりになりそうなものは、幼稚園の時に描いた絵の中に『しき』という人物(?)と名前のようなものがある。
あと、生まれた時からすでにあったこの分厚い本。『妖怪図鑑』。
なぜかこの図鑑に引かれ、毎日のように読み、眺めている。
今のぼくには、その〈妖怪〉がすべてだ。
* * *
ざわざわざわざわ…
朝8時30分。校門前には1台の黒いベンツと人だかり。
その人だかりを無視し、黒い車から流れでてくる赤いカーペット。
ぼくは、そんな騒ぎには目もくれず、げた箱でくつをはき替えていた。
「キャーッ、天夏様~!」
「今日もカッコイイ~!!」
女子のそんな声を背後に聞きながら、教室へと向かおうとした時…
天夏「冬来~~~~っっ!」
どぉんっ
冬来「うわっ!」
もうスピードでぼくに向かって飛びついてきたそれは、
冬来「天夏っ。」
天夏「おはよう、冬来っ。」
冬来「あ、うん。おはよ…
天夏「ん~~~~っ、会いたかった!」
冬来「昨日も会ったでしょ?…っていうか学校で飛びつくの禁止って言ったでしょ!///」
天夏「え~~~~!」
そう、ぼくには彼氏がいます。
こんな人間嫌いなぼくだけど、1人だけ信用できる人です。
そんな彼との出会いは壮絶なものでした…。
* * *
それは8月にさしかかった頃のこと。
冬来「あ~、どうしよっ。図書館で本読んでたらもうこんな時間になっちゃったっ。」
外はだいぶ暗くなりはじめていた。
早く帰ろうと、路地裏を通っていた時…
「あん?やんのかてめぇ!」
「ざっけんじゃねぇぞコラァ!」
冬来「…うわぁ、この時間帯ってあーいう人達がいるからやなんだよなぁ。
ちょっと回り道しよっ。」
ドォンッッ
冬来「いっつ!」
??「いってぇな…!」
冬来「っ!す、すみませんっ。」
??「あぁ?てめぇどこに目つけて歩いてっ…
冬来「あ!あのぉ…っ。」