表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖怪の嫁入り  作者: ルナ☆
幕開け
1/16

   《妖怪》


   それは―…


   強く、

   聡明で、

   美しいもの。




   ――そして、


   リリ…ン

   リリリ…ン

   ジリリリリリンッ

   ジリリ…


??「ふわぁ!!」


 ぼくは自分でセットしたはずの置時計のけたましい音に跳ね起きた。

 慌てて時計を確認し、使い古ししおれきったかけぶとんを放り投げ、準備に取りかかる。

 ネクタイを締め、髪をくくり、かばんを手に取り家を出ようとした時、


   バサッ


??「…!」


 ぼくはその音を聞くなり、かばんを取ったひょうしに倒れたソレをとっさに拾い上げ、抱きしめる。


   ―そう、妖怪は、

    何よりも大切なものです。


   ―それに比べ人間は…


明飛(あくと)「や~い、よ~か~い!」


   バッシャーンッッ


??「…っ。」


   脆く、


 バケツにつがれた大量の水が乱雑に浴びせられる。


「アハハハハハハハッ。」


   愚鈍で、


 多数の品のない笑い声が浴びせられる。


修二(しゅうじ)「だっせー!」


博紀(ひろき)「お似合いだな。」


(かける)「ぞうきんでも貸してやろーか?」


英燐(えりん)「翔~、可哀想だよー。」


   醜いもの。


??「…。」


明飛「こんなとこで本なんて読んでないで、さっさとおうちに帰れよー。

   お前ってほんとさぁ…


瞬助(しゅんすけ)「何やってんだよ、明飛ー!早く部活行くぞ~。」


明飛「ん?あぁ、今いくー!

   じゃあ、また明日遊ぼうな!」


??「……。」


 そう言って、ぼくに手を振り、彼らはその場から立ち去った。


??「…はぁ~。良かった、濡れなくて。」


 ぼくは、とっさに抱きかかえかばったその本を見て、安堵の息をつく。


??「(ここなら誰も来ないと思ったのにな…。)」


 そう思いつつ、冬も近づいた誰も使うことのないプールを見わたした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ