表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
black blood's  作者: 桃幻 景
7/9

第三話   勢力図   後篇

 入院してからも数日間は心身ともに兼田を疲弊させる。

 窓の外からなま暖かい日光が射している。

 そうか、昨晩カーテンを閉め忘れていたのだ。

 手術が終わり後を安静にしていれば何をしていても問題はないと言われた。

 だからずっと寝ていてもよかったのだが・・・。

 人間というのはなかなかそう何日も寝てだけいることはできないらしい。

 入院三日目。退屈に思えていた高校生活外までは嘘のようだ。

 初日からいろいろあった。かつあげの注意をしたら、気が遠くなるほど殴られた。

 不意打ちの一発が弱かったのだ。

 あれでしとめていればそもそも肋骨にひびなんて入ってなかった。


 そして二日目の五人組。

 最後の一人は完全に俺を殺す気で来ていたように思う。

 

 ほんとうにいろいろあった。

 そういえばあいつはどうしているだろう?

 最上といったか・・・。







 あっち。

 四月にしては妙に暑い・・・気がする。

 この気温ではまた昼から眠くなるのは確実だな。

 入学してから一週間が経った。今日学校に行けば明日は半ドンだ。

 しかし体が重い最近は本当に疲れることが多い。

 

 廊下を歩いていると後ろから気配を感じる。

 まさかっ。

 おそるおそる振り返ると。

 「なんだ多田か」

 何ともどうでも良い無害なクラスメートではないか。

 二年の郡山達かと思った。

 先日の件は最近の悩みの一つでもある。

 「どうしたんだ?愛しのお相手かと思ったのか?」

 ムカッ。

 「おいおい、にらむなよ。兼田は今入院中だってな」

 は?なんでここであいつの名前がでてくるんだ? 

 ああ、そうかこいつはまだ気付いてないんだな。

 「ああ、第二肋骨から第五肋骨それに左大腿骨の解放骨折。あと体中の骨にひびが入いってたらしいな」

 「さっすが王子様、お姫様のことは全て把握しているご様子で」

 「やめてくれよ」

 本当にやめてくれ。







 兼田は暗い校舎を歩いている。

 向こうに人影がある。

 誰かは分からないがこっちに向かって走ってくる。

 「おいおい、冗談だろ今俺肋骨折れてるし左足も動かないんだよ。あれ?」

 (そういえば俺はどうして立てているんだ)

 兼田は逃げる。

 だが向かってくる相手は妙に足が速くもう、すぐ後ろについている。

 後ろを確認すると煙堂だ。

 (ヤバイ。今奴と闘えば・・・)

 (しかし随分走ってるがこの廊下妙に長いな)

 兼田が必死に逃げている間廊下の方もどうやら延長しているらしい。

 (っあ、あそこ)

 兼田は廊下の脇に教室を見つける。さっきまでいくら走っても何もない狭い廊下が続くだけの廊下だったが、ようやく隠れそうな部屋が見つかる。

 (よかった。なんとかまけた)

 息も絶え絶えに逃げた兼田は教室の扉を閉めしゃがみ込む。

 「よう、兼田」

 兼田が上は見るとそこには郡山とその配下の四人がいた。

 (そんな、さっきまで誰もいなかったのに)

 配下の四人の顔は見えないが、郡山の貌だけはよく見えた。

 恐ろしい、怖ろしい笑みを浮かべていた。





 強く揺すられて目が覚める。

 「おい、大丈夫かよ?汗だくだぜ、どんな女とやってる夢を見てたんだ?」

 「そんな良い夢じゃないよ。何かから逃げる夢だ。何だったのかは思い出せないが・・・」

 「あんたもそんな夢見るんだな」

 ん?

 冷静になって顔を上げていると隣に最上が要る。

 奥にはもう何人か居るが・・・誰だろうクラスメイトだろうか?

 「暇だから見舞いに来たんだ。一応クラスメイトだからな」

 誰だ?こいつ・・・。

 「そうか・・・えっと、済まない名前が思い出せなくて」

 「ああ、わりと初日しか居なかったもんね、多田です」 ほかの三人ほども自己紹介する。皆最上と同中らしく名を本田・仲川・沢木田というらしい。沢木田さんは一人だけ女の子だった。

 「相当今回のことは参っているようだな」

 「ああ、最上の言う通り次は相手を選んで喧嘩するよ」 「いや、喧嘩をするなよ」という答えを待っていたが、答えは思わぬものだった。

 一様に凄いと言われた。最上が・・・。

 どうやら俺に名前を覚えてもらっているということがステータスになっているらしい。


 俺のいない間に俺の評判は酷いものになっているのではないだろうか・・・。

 こわ。

 それから以外にも話が弾み、その後四人は帰った。

 最上を残して。







 外は雨が降っているがそんなものは関係ない。

 やっと学校に行ける。

 医者からは止められたが、長いこと病院にいても余計治りが遅くなるという、謎の理屈で早めに退院した。

 といっても入院から三週間出るまでにかかった。

 意外と最上に連れられて見舞いに来る奴が多く、入院生活はそこまで酷くなかった。

 「来たか兼田」

 「ずっと言おうと思っていたが、呼び捨てにするな」

 最上め・・・。

 「入院中俺の言っていたことを覚えているか」

 入院中授業意外に最上がいくつか教えてくれたことがあった。

 それがこの町の勢力についてだった。 





 日代市はこの宇津県の南側にあるが、宇津県のガーディアンの本部である隆上高校があることから他の町と比べてかなり平和だという。

 そして隆上高校にはいくつか勢力があるという。



 一つは生徒会執行部。現会長は入学早々会長の座を奪い、今年で三年目の会長職を遂行しているという。

 なかなかの統率力で目立った反発は起きていないという。

 指導者は現会長職「卯潟 玄聖うがたげんせい

 会長の座を降ろされた当時の会長(降ろされた後副会長に就任)も一年間楽に執行部として過ごせたため勤勉に集中でき、見事志望校に余裕で入学できたということで全く不満はなかったという。

 最上が言うには一般的には会長が先輩である三年をこき使っていたように見えるが、その実は大変な会長職を他人に任せ、生徒会をやっていたという名目だけを取っていった元会長。

 だが本人からしてみれば卯潟の方こそ駒だったのではないか。

 最後に利益を取ったものが心の勝者だという・・・。





 そしてもう一つが番長グループ。

 正式名があるようだが、一部にしか浸透していないという。

 指導者は13代番長「重塚 延瑛しげつかのぶてる」という。

 生徒会の裏でこそこそしている雑魚。

 番長を含め多くのものがとし伝説を持っているという色物集団。




 そして組織に属さない郡山と煙堂も危険さで言うと生徒会や番長達に匹敵するという。

 先ず、郡山は30人の配下を持ちたまに番長に勝負を挑むこともあるという。

 自分の方が番長にふさわしいいと考えており、買ったり負けたりするという。

 しかし最上がいうには特筆すべきは取り巻きの方だという。

 本人の強さもさることながら、郡山は絶対に一人では動かず、抗争を行い負けるとみれば一目散に逃げる。故に全戦全勝だという。




 そして「かつあげの煙堂」はかなりの面倒くささで戦闘は極力避ける。

 そのくせやたら打たれ強く、おまけに驚きの回復力でよく番長にも声をかけられるという。

 しかしその度に大勢の勧誘に来た奴らを凹りまくったという。

 これが煙堂なりの面倒事の回避法だという。

 しつこい相手は徹底に潰す危険な男だ。



 意気込む兼田の横でやれやれなにもわかっていないという表情の最上。







 隆上高校の校門前でたたずむ二人。日代市に嵐を二人がしばらく吹き荒らす。


 次回から能力者バトルに代わります。

 所謂決意表明ですね。


 ま、今の流れがもし漫画なら6ページ目くらいかなってくらい展開がスローリーですね。

 心情描写とかやりたいのですが、難しい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ