第二話 出逢い 後編
兼田は出てきますが、いうほどかっこいいとも言えません。
「逃げられましたね」
「丁度良いよ。まだピンピンしてたからなアイツ」
そお言いながら二人は倒れているあと二人を立たせる。
彼らも相当やられている。
「そうですか。ぴんぴんねぇ・・・貴方方にはそう見えましたか」
「ん?」
「郡山さん。まだやるおつもりで?」
俺たちはもう頑張れませんよとでも言うような二人を尻目にリーダー格の男は笑っている。
「寧ろ今やらずしてって感じだ。お前たちは心配しなくて良い私一人で十分です。皆さんは祝杯の用意をしていてください」
「郡山。アイツは強い、やめておけ」
「北山君はいきなり連携技を失敗してそうそうに気絶していたから分からないかもしれませんね」
「いや、気絶したふりをして見ていたが、アイツの頑強さはハンパない。それに一人でいってあのパンチを食らったらひとたまりもないぞ」
北山は腹をさすりながらそう言う。
「君が気絶しない程度のパンチなら大したことはありません。それに」
「それに?」北山が聞き返す。
「それに殴られる前にとっととたおせばいいだけのはなしですよ」
四人は固まる。郡山と長く一緒にいに居る彼らには郡山が確信を持っている事が分かった。だが、四人にはあの一年につけ入る隙があるようには思えなかった。
「はぁ、はぁっ」
息も絶え絶えに教室に向かう。
「一つ聞いて良いですか?」
「あ?」
僕は兼田と教室まで一緒に帰った。ずっと疑問だったのがなぜ、あの暴力漢が僕を助けてくれたかだ。
「なんだよ?強さの秘訣なんて聞かれても答えられないぜ?」
兼田はやはり脳筋だ。なぜ僕が君の強さの秘訣なんて気にすると思う?
「そんなもの聞いてどうするんだよ」
「僕が聞きたいのはどうして助けてくれたのかって話」
そう聞くと兼田は固まってしまった。
おいおい、フリーズするなよ。強さの秘訣なんてのよりよっぽど凡庸な質問だろ?
「・・・」
「・・・・・・」
もしかして自分でも分からないのか?
「いや」と兼田は口を開く。
「こういっちゃあ、なんだが別にお前を助けようとしたわけじゃあないんだ」
ん?え、どういうことだ。
まさか、暴れたかっただけ?
「ただ俺は、格好悪いのが嫌いなんだ。そんで、他人が格好悪いことをすんのを見ていると虫酸ってのが走るんだよ」
ほう。正義漢って奴かい。意外だなもっと嫌な奴かと思っていたが・・・。
「まぁ、結果としたらお前は助かったわけだからそれでいいよなっ」
ふぅ。兼田はなかなか良い笑顔をする。
ずっとそうすれば教室の空気も重たくならないのだが?
「ありがとう」
「へ?」
何にせよ助かった。
意外とクラスに一人こういうのが居ても良いかもしれない。
「おお」と兼田。そういいながら兼田は僕の手を掴んだかと思うと握手をしてくる。
ん?何がしたいんだ?分からん。
「これで俺たちは友達だな。いやぁ、正直クラスに話をする奴が一人もいなくてしんどかったんだよ」
え?僕と君とが?
ともだち?
「まじか」
「まじだ」
もう、独り言に返事するな。
「しっかし、まさかかつあげされてたのが隣の席の奴だったとはな~。なんで教室まで送ってくれるのか謎だったんだよな。帰り方がが分からんかったから丁度よかったぜ」
おいおい。俺のことも帰り道も分からんとは。
大丈夫か?こいつ・・・。
初日の授業が終わってここまで疲れるとはな。
ん?何だあれは。
「お~えっおっおっ~!ひゃーっひゃっひゃ。やってやったぜぅえ~」
「うぃ~」とかいいながら向こうで奇声を上げてる奴が肘から先を上下に振りながら、たまに横回転も入れながらこっちに向かって走ってくる。
コェエよ。
仕方なく道を開ける。怖いからね。
よく見ると郡山先輩だ。
最上がしばらく校門に向かって歩いていると、先ほどの鶏男よりもおもしろいものに出会った。
それは先ほど一方的に「ともだち」になった暴力漢だった。
「兼田、地球の寝心地はどうだ?」
「・・・」
「・・・・・・」
「え~っと。かつあげ君?」
おい。しばらく考えてそれかよ。
「いい加減名前を覚えてくれ最上だ」
「いや、知らんし」
同じクラスなんだが?
えっと。ボコラレてしまいました。
残念ですね。