第二話 出逢い 前篇
兼田が殆ど出てきません。
空気が重い。隣の脳筋のせいで授業中でさえびくついてなきゃならん。
この脳筋でどうやってこの進学校に入って来たんだ?
「がたっ」どうやら隣人が動いたらしい。 全く焦らしやがって・・・
兼田が教室から出ていく。
「ふぅ、やれやれだぜ。これからずっとアイツが隣の席なんてこれからが思いやられる」 「よぉ、貧乏神」
はぁ?貧乏神?この俺がか?
苛立ち混じりに声の主をにらむ。
「いくら何でもひどくないか多田。いくら同中だからって言って良いことと悪いことがあるだろう」
「ひひっ。まぁこの教室の奴らは多かれ少なかれかなりくじ運の悪い奴らではあるんだがな」
七クラスあるうちの学校で普通かは五クラス。各クラス四十人にしては確かにあの問題児と同じクラスってのは確かに運が悪い。
「その中でもわざわざ壁際の席になってるアイツの横ってのはお前は一年トップのくじ運の悪さだ。正に貧乏神賞だ」
「確かにそこまで言われると貧乏神って言われても反論できないって気にもなるな」
「だろ」と多田は鼻息を荒くしている。嬉しそうだな、マジで殴りたくなる。
「そういやや聞いたか?兼田のやつ入学式当日に上級生と殴りあいをしたってよ」
「なに考えてんのか分かんねぇ奴だな」
「そうだな。まさに俺たちの世界の外から来たような暴力漢だよ」
兼田・・・奴は今や我が校トップの問題児だ。
隆上高つっても対して面白くねぇんだな。
クラスで一番強い奴を決める戦いもねぇし・・・本当にアクビが出るぜ。第一教室はお通夜みたいに静かだしな。
あれが進学校の空気ですか。
「ん?ここどこだ?」
昨日一通り学校を回ったが、皆で回るのと一人とではやはり違う。
「まさか、学校で迷ったのか・・・?」
流石にこれはヤバい。恥ずかしい。
先ずは落ち着いて外の景色から現在地を特定しなければ。
ん?
多田と無駄話をしてから急いで食堂に向かう。
「やっべ。無駄話しすぎた間に合うかな・・・」
食堂を使用するのが始めてであったため、定食の予約を忘れていた。
今の時間では最悪パンですら買えない。
本校の食堂はかなり人気なようで。ピーク時に行くとかなりの列になってしまい昼から飯抜きでやることになる。
午後から体育だってのに!
食堂に向かっていた最上は考えことをしていたため角を曲がった先の人影に気づくのが普段よりも遅かった。
角を曲がった途端に人にぶつかり最上は尻餅を着く。
恐る恐る衝突した相手を見るとどうやら二年のようだった。
「っあ」
「・・・ちょい、面貸せよ」
体育館裏そこは青春を謳歌するまなびやであってもあまり好ましい印象は持たれない。
そもそも学校であろうがなかろうが、目の届きにくいところというものは悪が蔓延るものである。
その点進学校である隆上高校は金もあり、新築、増築、改築を繰り返していった結果そのような死角が多くできてしまった。
そこで哀れな最上氏は飯も食えず先輩達にシゴキを受けるのである。
ちょっと主人公に絡んでたかな?