矛盾の上
僕は常に矛盾している
君を抱きしめるこの腕で
孤独の境界を押し広げ
君の頬を滑るこの指先で
人形の瞳を押し潰して
僕は矛盾の中を歩む
君の名を呼ぶこの舌で
誰かの傷を抉るための言葉を練り
君の輪郭をなぞるこの唇で
綺麗な嘲笑を象って
僕は表裏
それはどちらも確かに僕であり
僕は境界線上に揺れる
ふらふらと
慈しむ衝動のままに
あるいは
不可逆な破壊へ
僕は常に矛盾している
君を愛すると嘯くこの心で
君を守りたいと囁くこの声で
君を壊したいと願うのだから