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魔天創記 (参)  作者: ちゃすけ丸
第12章
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~ 82 ~

 フィーネは口を閉ざしたまましばらくリルの様子を見ていたが、堪えきれなくなったのか突然小さく吹き出す。



「あなたって意外と素直なのね」



 同時に今までの厳しい表情を崩して彼女に接した。



 理解に苦しむリルは何度も瞬きをして状況を飲み込もうとする。



「本当に言わなくても良かったのに」



「……何故ですか?」



「仲間を助けるのは当たり前でしょ?」



「フィーネは仲間なんかじゃないです!」



「でも、彼は私を仲間にしてくれるみたい」



 フィーネが見つめる先には一匹目のオークを斬り伏せたレイヴァンがいる。



「そんなの嘘です!」



「嘘じゃないわ。 本当のことを言うと、彼があなたを助けるようにって指示を出したの。 危険が迫る緊急時に仲間でもない私を使うかしら? それにあなたは主人の判断を否定するの?」



「ご主人様が判断を間違えることはないです!」



「なら、そう言うことよ。 彼は私を仲間と認めた上で最善の指示を出した」



「……まだ信じられないです」



「後は彼から直接聞いてくれるかしら?」



 フィーネは踵を返すとリルの下を離れ、レイヴァンの傍らに駆け寄った。



「あなたの移動術があれば造作もないことなのに、目配せ一つで私を試すなんて酷いじゃない」



「あんたが一瞬でも迷ったら俺が助けるつもりだったさ」



「そしてその時は私が見捨てられたんでしょうね」



「間違いないな」



「オーク退治は二つ目の課題かしら?」



「課題と言う程のことではないだろう?」



「たしかにそうね。 どちらかと言うと助けることよりも殺す方が得意だし」



 不敵な笑みを浮かべるフィーネの瞳が鋭く光った。

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