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しばらくするとダグラスの下には部下たちから準備が整った旨を知らせる報告が次々と入ってきた。
部下たちの働きぶりに満足し頷いた彼は早速この町を出ようと動き出す。
報告に来た部下たちを先に送り出すと自分自身は荷物を運び出し空となった大きな部屋を念入りに見渡し、金貨一枚落ちていないことを確認してから部屋を出ようとした。
そこへ一人の部下が血相を変えて飛び込んできた。
勢いよく開けた扉に手を付き、呼吸を整えながらダグラスに緊急事態であることを告げる。
唐突のことに驚いて思わず聞き直すと、部下は大きく息を吸ってから答えた。
「し、侵入者です……」
「マモン殿もどこかに行ってしまった、こんな時に、いったい誰が! ……まさか騎士ですか!?」
ダグラスが声を荒げて問い質すと、彼は答える間もなく前のめりに倒れ込んだ。
「十中八九、俺のことだろうな」
変わりに後ろから現れた男が不適に笑みを浮かべながら答えた。




