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三人が町の奥に向かって歩き出すと、立ち尽くしていたフィーネは慌ててレイヴァンの名を呼んだ。
振り返る三人に向かって更に何かを叫ぼうとする彼女だったが、それ以上は言葉が出てこない。
「あのお姉さん、どうしたんでしょう」とリルが首を傾げると、レイヴァンは小さく笑みを浮かべる。
あいつは俺みたいな性格なのだろう。
彼女の下へと戻ると、あからさまに息をついてみせた。
「俺は結構妥協したのだがな?あんたは、かなりの頑固者だ」
「しょうがないじゃない、私……」
「他人に助けを請うなんてプライドが許さないのだろう? それ以上言わなくていいさ。 あんたの口からそんな事を聞きたくて戻ってきたわけではないからな」
フィーネが再び口を閉ざすと察したようにレイヴァンが先に声をかける。
「ダグラスたちが何処にいるか聞き忘れただけさ」
彼の言葉に一瞬呆気に取られたフィーネだったが、理解すると笑顔を見せた。
「ありがとう」
「感謝されることはまだ何一つしていないと思うが?」
「それもそうね」
「ダグラスに逃げ出されては困るからな。 急いで教えてもらいたい」
「悪魔が繋げた空間転移の魔法陣があるの。そこまで案内するわ」
「人間でも使えるのか?」
「私が何度も利用しているから、きっと大丈夫よ」
「それなら良い考えだ」
レイヴァンはわざとらしく頷いてみせた。




