~ 60 ~
「傷を塞いでくれただけで十分よ」
まさか意識が!?
レイヴァンは驚いたのも束の間、彼女との距離を詰めた。
今にも抜剣しようとする彼に向かってフィーネは両手を上げた。
一歩も引かず穏やかな笑みを浮かべる。
「彼女を襲ったりしないわ。 武器も持ち合わせていないしね。 ……本当よ?」
「その発言からして、かなり前から意識は戻っていたようだな」
「あれだけ胸を触られたら流石に気がつくわよ。 ……だから、次は小娘じゃなくて、あなたにお願いしたいところね」
わざとらしく片目を瞑る彼女にレイヴァンは小さくため息をつく。
「その手の担当が、誰かの手によって捕まっているんだ」
「誰かしら?」
含み笑いを見せる彼女に対してレイヴァンは表情を引き締めた。
「あんたには聞きたいことが山ほどある。 答えてもらうぞ」
「今は悪魔に監視されていないみたいだし、ダグラスの部下に見られていたとしても手元に剣がある私は彼の下に帰る必要もない……」
一人つぶやき自身が納得すると、フィーネはレイヴァンに向かって頷いた。
「何を聞きたいのかしら?」
「ブライトをどこに監禁している」
「彼は酒場の地下倉庫に閉じこめているわ。 あなたと私が密談した部屋の更に地下よ」
「あの店に!?」
レイヴァンが驚くと彼女は笑みを浮かべる。
「灯台の下は暗いって言うでしょう?」
「……なるほど、実に頭の働く踊り子だな」
「褒め言葉と受け取っておくわ」
「次に俺たちに近づいた本当の目的は何だ?」
「本当の目的? それは本当に偽りなくダグラスから私の大切な剣を取り返して欲しかったからよ」




