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広場から繋がる目抜き通り。
その両側に華やかな飲食店が軒を連ねていた。
大小の違いはあれど、そのどれもが酒を振る舞う酒場であり各店舗は趣向を凝らした看板を掲げて競い合うように客を呼び込んでいる。
お陰で店の数は多くても目的の店を見間違うことはなかった。
今三人が目の前にしているのは店内に舞台があると謳っている酒場の入り口。
情報どおりどの店よりも繁盛しているようで店先で並ぶ羽目になった。
しばらく屋外に待たされた後、中に入ると直ぐに活気のある声が耳に飛び込んでくる。
マリアンは酒を片手に盛り上がる客たちの迫力と、給仕の女性たちの艶やかなドレス姿に目を見開いて驚いた。
「こ、これがハンターの皆さんが集うという酒場なのですね。 まるでお祭りのように賑やかです」
「珍しいからと言って子供みたいに、はしゃいだりしないでくれよ?」
「私は子供じゃありません」
「冗談だ」
頬を膨らませる彼女に再度笑みを返すとレイヴァンは店内を見渡した。
テーブルは狭い間隔で並べられており殆どの席が埋まっている。
この中からブライトを捜し出すのは至難の業だ。
「ご主人様、ブライトは後回しにして、まずはご飯です! 腹が減ってはブライトは捜せぬです!」
入り口から動かずにいるとリルが袖を掴んできた。
彼女は至極尤もな言葉を並べて部屋の一番隅にある舞台から最も離れたテーブルを指す。
「たしかに。 今回ばかりはお前の意見に賛同しよう」