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立ち去る前にレイヴァンは最後の質問を彼にぶつけた。
「この町で美味い料理を提供している有名な店はどこだ? 若い女の給仕がいると尚良いな」
「流石に若いの。 連れの二人では足りぬか?」
「勘違いするなよ、爺さん。 そういう所が好きな知り合いを捜しているだけだ」
鑑定士の老人は明らかに半信半疑で笑いながら、立派な顎髭を撫でて答える。
「そうさな。 この町には国内屈指の花街があるが、今はなんと言っても中央広場近くにある酒場だな。 飯は安くて美味いし、給仕ではないが今そこには町中の男を虜にしているそれはそれは美しい旅の踊り子が来て居るからの」
「お爺さんから見ても美人なんですか?」
「それはもう。 わしが後十年若ければ、間違いなく声をかけていただろうよ」
「ご主人様! リルはブライトが見つかる匂いを感じるです!」
「確かに有力な情報だな」
ブライトなら間違いなくこの情報を嗅ぎ付けて酒場に行くだろう。
これで容易に彼と合流できそうだ。
「二人とも、さっそくその酒場に向かうぞ」
二人を引き連れギルドを出たレイヴァンだったが、入り口付近で急に立ち止まった。
突然振り返るに主人にリルは不思議そうに声をかける。
「どうかしたんですか、ご主人様?」
「いや、何でもない」
「変なご主人様です。 何でもないなら今聞いた酒場に急いで行きましょうです。 リルお腹ペコペコです!」
「そうだな」
今誰かに視線を向けられていたような……
気のせいか?
訝しみながらもレイヴァンはギルドを出ると中央広場へ足を向けた。