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剣を薙ぎ払うと悪魔は再び姿を消す。
何度も同じ動きをされ苛立ちを覚えずにはいられなかったが、ふと地面にある黒い点に目がいった。
不定期ではあるが、数は確実に増えている。
……まさか、これは奴の血痕か?
疑問はすぐに確信に変わった。
さっき二人が声を上げた理由はコレを見たからに違いない。
姿を消せるのは自身だけで身体から離れると自分の血でも隠せない。
そして、消えていてもそこに痕が増えるということは消えていてもそこに奴が居るということ。
普通の攻撃で捉えられないのなら、試すことは一つ!
レイヴァンは地面に現れる血痕を目で追った。
すると、それは自分の正面から再びマリアンへと向かっている。
悪魔の思考は解り易くて助かる。
レイヴァンは剣を素早く鞘に納めると、一つの呪文を呟きながら瞬時に彼女の下へと駆けつけた。
「忌々しいですね!」
悪魔は姿を現すのと同時に声を上げる。
黒い剣をレイヴァンに向かって振った。
「どうやら、消えていると声も上げられないようだな。 苛立つのは勝手だが奇襲には余計な動作だ」
レイヴァンは光を集めて生み出した剣で斬撃を受け止めた。
そして間髪を容れずに相手の剣を払い退ける。
がら空きとなった脇腹目掛けて剣を振り抜くと、悪魔は後方に飛び退きながら姿を消した。
これでもダメか?
そう疑問が浮かんだ瞬間、空中に血飛沫が舞い地面に大小様々な血の斑点ができた。
悪魔は地面に倒れ込みながら姿を現す。
「に、人間の剣が私の身体を捉えるですと!?」
苦痛と驚愕の表情を浮かべる悪魔に向かってレイヴァンは間合いを詰める。
「あり得ない!」
「目の前で起きているが?」
悪魔は繰り出された剣を必死で受け止めると、一つの可能性に気がつく。
「まさか! その剣はミカエルの、つ」
言い切る前にレイヴァンが振り上げた剣が悪魔を捉えていた。




