~ 46 ~
突然現れた男が倒れているフィーネの背中を踏みつけると、彼女は呻き声を上げながら地面に爪を立てる。
苦しむ様子に彼は口角をつり上げた。
「フィーネさん、暗殺者と言いながら一人も殺せないなんて笑い種ですよ。 静観するつもりでしたが、それはもう終わりにします」
こいつが本当の悪魔。
レイヴァンは相手を認識するのと同時に彼の言葉から自分の過ちに確信を持った。
悪魔と自分への怒りで剣を握る手に力が入る。
「その足を退けろ」
薙ぎ払った剣の切っ先から光の刃が放たれ悪魔を襲った。
悪魔は翼を広げて宙に舞い上がり攻撃を回避するとレイヴァンを見下ろす。
「相手をするのは少し待って下さい。 先に無能な人間を始末しますので」
「黙れ。 悪魔の声に耳を貸すつもりはない」
レイヴァンがもう一度光の刃を悪魔に向けて放つと、彼は不機嫌そうな表情を浮かべる。
「人間よ、そんなに死に急ぎたいのですか?」
「死なせたくない人間がいるから急ぐんだ」
レイヴァンはフィーネを見つめた。
「無駄ですよ。 この人間は間もなく私にとどめを刺されて死にます」
「そういう訳にはいかない。 彼女には聞かねばならないことが山ほどある」
悪魔がフィーネに向けて急降下をするのと同時にレイヴァンは光をまとい姿を消した。
一瞬で彼女の傍らに移動すると振り下ろされた刃を自分の剣で受け止める。
力で強引に押し込まれそうになると声を上げて押し返した。
「一瞬で距離を詰める小癪な術、気に食わないですね」
崩した体勢を整える悪魔は忌々しそうに相手を睨もうとするが、彼は既に視界から消えていた。
瞬く間に側面へと移動したレイヴァン。
彼が鋭く繰り出した刃は悪魔の脇腹を捉える。
更に追い討ちをかけようと剣を振るうが、飛び散る鮮血と共によろめく悪魔は音もなく姿を消し剣は空を斬った。




