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暗い通路を抜けた先に現れた景色にレイヴァンたち三人は目を疑った。
建物の内部に入ったはずなのに太陽の光が降り注ぎ、青空の下に町並が形成されている。
近くの石壁に触れると間違いなく本物の質感があった。
「これはいったい、どういうことなのでしょう」
「建物の中に町があるです!」
「夕暮れ時に侵入したのに、ここではまだ太陽が天頂にあるのは明らかに異様だ。 おそらく悪魔の仕業だろう。 空間をねじ曲げて何処か違う場所と繋げたか、偽りの世界を作り上げたんだ」
「悪魔はそのような事までできるのですね」
「奴らに常識は通用しない。 二人とも周囲に気を付けろ。 それから勝手な行動もするなよ」
レイヴァンの言葉に二人は大きく頷いた。
路地を抜け大通りに出ると、そこは大勢の人で溢れていた。
通りの両側には多くの露店が立ち並び、買い物客で賑わっている。
繁華街に心踊らせ走り出したリルだったが、すぐにそれが異常な光景であることに気がついた。
慌てて主人の下へと戻ってきた彼女は、ぎゅっと彼に抱きつく。
「リル、この町嫌いです。 早く帰りたいです」
震えるリルの頭を撫でたレイヴァンが辺りを見渡すと、全ての店で奴隷が売買されているのことが一目で解った。
ここまでの規模で、尚且つ白昼堂々と奴隷の売買が行われているとは……
リルは過去を思い出して傷心してしまったようだし、このままだとマリアンも何時騒ぎ出すか解らない。
急いでフィーネとの約束を果たし、ここから立ち去らねばいけないな。
レイヴァンは不安げに寄り添う二人を連れて通りを真っ直ぐに進んだ。
ダグラスが何処に居るかは解らない。
だが、彼がこの町で一番の権力者なら、おそらく一番安全な場所にいるはず。
今は入り口から最も離れた所を目指すしかない。
辺りを警戒し周囲に視線を送ると嫌でも奴隷たちが視界に入ってくる。
両手両足に枷をはめられ手の甲に奴隷を示す烙印を押された彼らは、年齢や性別で細かく選別されているようだった。
たくましい男性は労働力、若い女性は慰み者、そして虚ろな目をして動かない彼らは薬漬けにされた成れの果て。
後は何かの被験者にされる運命か。
ダグラスはよくぞここまで国の包囲網をかいくぐり奴隷と客を集めたものだ。




