~ 3 ~
日没間近に町へとたどり着いたレイヴァンたちは急いでギルドへと足を運んだ。
ギルドの営業時間は日の出から日没まで。
町に居るのに無一文では結局野宿するはめになる。
リルがギルドの扉を開けると中はハンターたちで溢れていた。
とても閉店間近とは思えない。
彼女は体格の良い男たちの隙間を抜って窓口にたどり着くと鑑定士の老人に精霊石を手渡した。
レイヴァンは少し遅れてリルの横に立つと目の前にいた彼に話しかける。
「このギルドはいつも遅くまで開けているのか?」
「この町は夜の繁華街が有名な町でね、それに併せてギルドも遅くまで開けておるよ」
老人はレイヴァンを見ることなく、隻眼の拡大鏡で石を選りすぐりながら静かに答えた。
「ゴブリンの数が多いようだが何かあったのか?」
「その質問は他のハンターからもされるが情報はない。 ギルドでは一時的な増殖と判断しているよ」
「なら上級悪魔に関する情報は?」
「生憎だが何も無いね。 この町は今ハンターが余っているぐらい平和でね。 持ち込まれる石も大したことのないものばかりさ」
彼は一つ息をつくとリルの前に硬貨を出した。
「全部で金貨三枚と銀貨二十枚だね」
予想を下回る金額にリルは頬を膨らましたが所詮は下級悪魔のゴブリンを封じた石が大半を占める精霊石。
希少価値がないのは明白だったので彼女は素直に提示された金額を受け取った。