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「……まさかミカエルの剣を持つ人間か?」
「それは解りません。 ですが、その人間は自らを封印の楔だと言っていました。 それならば、軽い打撃で結界が破られたことも納得ができます」
「封印の楔だと!?」
思わず立ち上がったマモン。
期待に胸は膨らむばかりだ。
「ついに見つかったか!」
「ですが、普通は人間自らが封印の楔だと名乗り出ることはあり得ません」
「何故だ」
「ルシファー様を封印する力を有する人間を封印の楔と呼ぶのは、我々悪魔だけだからです」
「なら今ここに現れた人間は何なのです!」
「それは解りません」
「解らない? ガープ、あなたの言うことは解らないことだらけですね!」
マモンは苛立ちを隠そうともせず、両手で机を叩くと勢い良く椅子に腰を下ろした。
「落ち着いて下さい、マモン殿。 ……ガープ殿、その自ら封印の楔だと言う人間の特徴は? 男ですか? 女ですか?」
「上空から見ただけなので曖昧ですが、おそらく女です。 長い緑色の髪に白い服を身にまとっていました。 それに、近くには黒い服に身を包んだ男もいました」
「黒い服!? 全身黒づくめならダグラス、お前の手下であろう! 手下がついに封印の楔を見つけてきたのだ!」
「マモン殿、たしかに黒服の男であれば私の手下かも知れませんが…… それでは自らが封印の楔であると知っている理由が説明できません。 烙印はここにしか無いのですから」
「なら何だと言うのだ!」
「推測ですが、彼女は悪魔から直接封印の楔という言葉を聞いたのではないでしょうか?」
「その悪魔と言うのは?」
「もちろんオールトの街にいたアスモダイ殿です」
「彼女はアスモダイ殿を倒し、悪魔が封印の楔を探していることを知った。 それで次の標的を探しに、ここへやって来た」
「人間の女一人がアスモダイを倒すだと? そんなバカなことがあるものか!」
「あり得ますよ。 私の考えでは彼女はお二人が探している封印の楔ではなく、忌み嫌う人間。 すなわちミカエルの剣を持つ者だと思います」




