表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔天創記 (参)  作者: ちゃすけ丸
第5章
34/87

~ 33 ~

 レイヴァンが扉を押し開くとその先は闇が続いていた。



「真っ暗で何も見えないですね」



「これが闘技場の作りな訳はないな。 リル、灯りになるような精霊石はあるか?」



「ちょっと待って下さいです」



 リルはポケットから小さな袋を取り出すと、中を覗き見てから数回首を横に振った。



「補助系は全部ブライトの袋に入れたままです」



「なら、このまま行くしかないか。 二人ともブライトみたいに逸れるなよ」



 レイヴァンは驚きと不安の声を上げる二人を更に中へと促す。



「ご主人様、暗くて怖いです。 逸れないように手をつないで欲しいです」



「断る」



「レイヴァン! そうやって即否定するなんて、ひどすぎます! リルさんが可哀想です!」



「あのな……。 わざわざ抜剣できなくなるような状況を作り出せる訳ないだろう。 それにリルは暗闇でもある程度目が利くんだ 。昨日の山道と大して変わらないさ」



 残念そうに肩を落とすリルの手をマリアンがそっと握りしめた。



「リルさん、私と繋ぎましょう。 正直私も暗くて不安なので、明るくて元気なリルさんと手を繋げたら心強いわ」



 優しく微笑みかける彼女に対してリルも笑顔を返した。



「マリーさん、ありがとうです!」



 手を握り直し互いに頷くと、二人は足並みをそろえて奥へと歩き始める。



 三人が奥へと足を進めると、見計らったように扉が低い音を響かせながら閉まった。



 闇が深まり女二人が悲鳴を上げているその横でレイヴァンは表情を険しくしていた。



「どうやら相手は俺たちを歓迎してくれるようだ」



 扉が閉まるのと同時に一瞬で膨れ上がった禍々しい力。



 結界が悪魔の仕業だと確信できた。



 そして本能が悪魔はダグラス一人ではないと感じ取っている。



 双剣を彼から取り返して解決と言う訳にはいかないだろう。



 遠くからこちらに向かって火が一定間隔で点される。



 闇の中に独りでに浮かび上がった一本道。



 身を震わせ抱き合う二人を促すとレイヴァンはゆっくりと歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ