表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔天創記 (参)  作者: ちゃすけ丸
第5章
32/87

~ 31 ~

 いくら強力な結界があるとは言え、騎士団が来ると知ったダグラスたちが何時までもこの場に留まり続けるとは考え難い。



 今から宵のうちに集めた奴隷を売り捌き、騎士団をやり過ごした後に行方を眩ませる。



 出入り口が本当にここだけなら待ち伏せるは妥当な策だ。



 だが、他に出入り口があったらどうする?



 それに踊り子フィーネとの約束には双剣の奪回が含まれている。



 武器商人でもあるダグラスが奴隷と一緒に手に入れた双剣を誰かに売ってしまったら?



 誰の手に渡ったのか解らず奪回するのは極めて困難になる。



 これでは約束を守れずブライトを助け出せない。



 ここは強攻策に出るしかないか。



 手をこまねいて機を逃すのは性に合わないしな。



「リル、今の石を渡せ」



「流石、ご主人様! そうこなくっちゃです!」



 リルは嬉々として精霊石を主人に手渡すと、近くにいたマリアンの腕をつかみ扉との距離を取る。



 レイヴァンは石を握りしめると言葉を紡いだ。



「石に宿りし火の精霊よ、その力を解き放て」



 短い呪文を唱えた後、精霊石を扉に向かって投げつけると、石は強い光と音を伴って見事に炸裂した。



 舞い上がった土埃が収まるのを心待ちにした三人だったが、期待は裏切られた。



「まさかこれほど強力な結界とは……」



 再び姿を現した扉は何事も無かったかのように、その場に構えている。



「これは本当に打つ手が無いな」



 こんなことになるなら先ほどの連中と取引をしてでも一緒に中へ潜入するべきだった。



 完全に判断を誤ったな。



 口には出さなかったがレイヴァン苛立ちを隠せないでいると、そっとマリアンが近づいてきた。



「やはりこういう時は正々堂々と行きましょう」



「どうするつもりだ?」



「こうするんです」



 真剣な表情をした彼女は扉の前に立つと、手を握って拳を作り扉を二度叩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ