~ 14 ~
「や、やっぱり…… 騙された〜!」
誰が聞く訳でもないが狭い牢屋のような部屋の中でブライトは叫び散らした後、再び仰向けに寝そべり天井を見つめた。
……よく考えれば、こんなご時世にあんな色っぽい格好をした美女が旅をする訳がない。
それに本当に困っているなら旅人なんかの俺より屋台のおっちゃんにでも声をかければ、すぐに食事にありつける。
皆と逸れた挙げ句に、とんだ詐欺に遭ってしまった。
リルに知られたら、さぞ馬鹿にされるだろう。
……いや、まてよ。
既に忘れてしまっただけで、本当は最後まで事を済ませていたのかもしれないぞ?
だとしたら、それは詐欺ではないし、むしろあれぐらいの金で済ませられたのなら最高の買い物だ。
あの身体は想像するだけで顔がにやけてしまう。
しかし、それはそれとして、この部屋は何処なんだ?
自分が借りた部屋ではないし一切記憶にもない所だ。
何も変わらない天井を見つめていると、突然正面にある扉が開いた。
蝶番が錆び付いているのか、かなり不快な音を伴っている。
とっさに身体を起こして構えると中に入ってこようとする影を捉えた。
きっと俺をここに運び込んだ奴らだな。
女に手を出すのは信条に反するが、仲間の野郎だったら容赦はしない。
相手が見えた瞬間に間合いを詰めて殴りかかってやろうと企てたブライトだったが、実行に移すことはできなかった。
変わりに大声で叫んでいた。