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第一話「扉」

私はこの町に最近越してきた女子高生、弥俣 やまた ひかり

目立つ要素も無ければ、地味な要素もない。

至って平凡で普通な高校生である。

――しかし。

そんな光に、一つ気掛かりな事があった。

それは光の越してきた家の隣の大きな屋敷だった。

西洋風の造りで、その屋根には何匹ものカラスが止まっていて

仲間を呼ぶかの様に鳴き続けている。

怪しいのはそれだけじゃない。

その屋敷の窓にはカーテンがビッシリ閉められており、更にそこから

人が出てくるのを誰も見た事がないという。

その話は学校でもちょっとした話題になって、若者達を騒がせていた。


そして迷惑なことに屋敷の隣に住む光は、一部のオカルト好き生徒から

「あいつは屋敷の中にいる魔王の使いだ」「本当は屋敷に住んでいる魔女だ」

等とひどい扱いを受けているらしい。それに腹を立てた光は

友達を連れて、今度その屋敷を訪ねようと約束していた。


そして、今日がその約束の日である。


光は幽霊やオバケなど、ちゃんと解明されていないものを信じる方ではなく、

今回の件に関しても「怖い」という感情が少なかった。

むしろ好奇心旺盛な光は、屋敷内の探検にワクワクしている。


暫くすると友達の麻美あさみ梨恵りえがリュックを背負い、

懐中電灯を片手に待ち合わせ場所の屋敷前へとやって来た。

「遅いよー。待ったんだからねー」

光が愚痴をこぼした。

「ごめんごめん、歩きながら屋敷の話してたら

盛り上がっちゃって・・・ね?梨恵」

「そ、遅れて来たのは悪かったわよ」

二人は光に謝ったが、どうやら光はご立腹だ。

「・・・ま、この借りは今度返してもらうとして・・・

そろそろ屋敷内へレッツゴーよっ!!」

「おー!」

光、麻美、梨恵の3人は鴉の羽が散るどこか不吉な屋敷へ、

恐怖という名の緊張感を持って入っていった。


ギ、ギイイイィィィィ・・・・

錆び付いた扉の蝶番ちょうつがいが、何かの生き物のような

音をたてながらゆっくりと開いた。扉を開くと真っ暗な屋敷内に一筋の光が差し、

三人の目の前を照らしだした。

「真っ暗だねー・・」

光はそう言って屋敷内を見回すと、玄関から続く廊下の先にもう一つの扉が有ることに気づいた。

「二重、扉・・・?珍しいね」

「防犯対策かな?」

「でも、鍵かかって無かったよ?」

三人は二重扉の謎を推理しつつ、廊下を進んだ。

その間に、2m近くあった大きな屋敷の扉はバタン、と閉まった。

「わ、きゃー!真っ暗ー!」

光が騒ぎ立てる。

慌てた梨恵と麻美は手に持った懐中電灯のスイッチを入れた。

「ひ、光にびっくりだよー・・・いきなり大きな声出さないで!」


梨恵は心臓を押さえて驚きをなだめている。それはさすがの光も同じだった。

――そして、もうひとつの扉の前。

「ふぅ・・・まさか三重扉ではないよね?」

光は扉の持ち手を掴みながら言った。

「あれ、張り紙がしてあるよ?」

扉に張ってある小さなメモ書きに気づいた麻美は、懐中電灯でその張り紙を照らして朗読した。

「ええと・・・『御用の方は扉右手にございますベルを鳴らしてからお入りください。』・・・だって」

梨恵が言われた通り扉の右側を照らす。

すると確かに、まだそんなに古くはない金属製の大きな鐘がフック引っ掛けられていた。

「これ、鳴らすのね」

光がベルにくっついた紐を動かすと、からんからん……と大きな金属音が屋敷中にこだました。

はじめましての新連載です!まだまだ未熟ですがどうぞよろしく^^

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