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38.平和と、みかんと、嵐の誓い

前回のあらすじ。

真冬に振られ、ぽっかり穴が空いていた明音だが

黄河の励ましにより、すっかり元気になった。

「お待たせしました〜、ハロウィン限定カボチャプリンでーす」


「あ、ありがとうございます……」


「すみませーん、こっちもいいですか!」


「………少々お待ちください」


「いらっしゃいませ〜、アルカンシエルへようこそっ」


可愛らしい声と、少し不機嫌な声が店内に響く。

ここ、アルカンシエルは今日も今日とて営業中だ。

秋も本格的にもなり、限定メニューとして栗やかぼちゃ、いろんなものへと変わってゆく。

宣伝効果も相まってなのか、随分人手が増えてきたなぁ……


「いらっしゃいませ、ご注文は……」


「えぇ、男かよ。俺はあの娘に接客されたいんだけど」


「す、すみません、当店はそういう場所ではなくて……」


「つかここ、レベル高くね? 俺、活発そうな子がタイプだわ」


「いやいや、銀髪の子のほうが綺麗じゃね? まあどっちも綺麗なんだけどなぁ、叶うことなら店員になりてぇわ」


特に目立ってきたのは、女性陣への声だ。

那月ちゃんはとにかく接客がいいし、スイーツ作りも上手い。

真冬ちゃんもビジュアルがいいことがあって、二人の人気はますます上がっている。

二人の良さは、僕が一番よく分かっている。

だからといって、店員としては正直黙って聞いていられないっていうか……


「あ、あの、お客様ご注文を……」


「お兄さんたちって見る目ないんだね。とーこのほうが断然可愛いのに」


そこに、声がする。

いつからいたのか、僕の下には純君がいた。

お客さんも驚いたように、うわっと声を上げる。


「びっ、くりしたぁ。え、何、この子誰」


「う、うちの従業員です。マスコット……的な?」


「へ、へぇ……えっと、とーこってどの子?」


「んー、教えたいのはやまやまだけど、目をつけたら困るんだよね。とーこはボクのモノだから」


「じ、純君何言ってるの!? す、すみません、失礼しましたぁぁ!」


慌てて純君を抱え、カウンター内に戻る。

連れ戻された意味がわかっていないとでもいうように、彼はキョトンとしていてー


「ダメだよ、純君! お客様にあんなこと言っちゃ!」


「だってみんな、なつきとまふゆばっかり褒めるから。とーこの方が可愛いのに」


「気持ちはわかるけど、言っちゃいけないことと悪いことがあってね……」


「彼に何言っても無駄ですよー。こうみえてこの人、頭カチカチなんで」


そんな一部始終をみていたのか、藍さんが豆を挽きながら言う。

たまにではあるが、僕の恋愛相談以降、彼は店のシフトに入ってくれることがある。

完全にとはいえないけど、店に戻ってこようとしてくれている証拠だ。

その日は決まって、息子である純君もついてくるんだけど……


「他人事みたいに言わないでくださいよ、藍さん。純君はどうしてそんなに蜜柑ちゃんのこと、好きなの?」


「んー、なんでって言われてもなぁ。好きなことに理由なんていらなくない?」


「た、たしかに……でも蜜柑ちゃんって可愛いもんね。あの子が来てから、インスタの閲覧数もいいし……」


「彼女の人気が、可愛いだけだとお思いですかー? 相手は財前家の娘です、わかってて近づく人の方が多いですよー。現にほら」


そういいながら、彼が向こうのほうを顎で指す。

そこにいたのはガタイが大きく、いかつめな、男の人たちの集団でー


「ねえ君、さっきとうこって呼ばれてたけど……もしかして、財前橙子?」


「えぇ〜? だぁれ、それ。蜜柑しらなぁい」


「うわ、マジ本物じゃん! ってことは、あの財前コーポレーションのお嬢さんだよね! なあなあ、俺らとつきあってくれね? 近くに可愛い店があるんだけど!」


「こんな店ほっといて、俺たちと遊ぼーぜ?」


その手が、蜜柑ちゃんに伸びようとする。

それに気づいたのは、僕だけではない。

近くにいた全員が、男の人たちを止めようとした。その時ー


「おにーさん達、ダサ」


気がつくと、そこに彼がいた。

さっきまで隣にいたはずなのに。

すると純君は、蜜柑ちゃんの手を取り、強引に裏まで引っ張ってしまう。

あわてて僕は、二人の様子を見に走って向かってー


「ちょ、痛っ! 何するのよ!!」


裏にはけた途端、蜜柑ちゃんは手を振り解く。

それでも純君は、悪いことはしていないとばかりに目はまっすぐだった。


「余計なことしないで!! なんで助けたりしたのよ!!」


「だってあの人、とーこのこと財前の娘って言った。とーこが嫌いな人」


「そんなのわかってるわよ!! 私は蜜柑として、みてほしいのに……! あんたが変に本名で呼ぶから、あいつらに気づかれたじゃない!!」


「ボクは彼らとは違う。とーこのこと、ちゃんとみてるよ」


「勝手なことばかり言って……! そんなにいうなら、証明してみなさいよ。あの人たちと違うところ、私が好きってこと! そしたらあなたのこと、少しは認めてあげます! まあできなかった場合は、未来永劫私の前から消えて……」


「ん、わかった」


挑発的な蜜柑ちゃんの言葉を遮って、純くんは即座に頷く。

その様子に、彼女は少し怯んでいるようにみえた。

それもそうだ。だって純君の目は、曇り一つないくらいまっすぐ彼女を見ていたからー


「ボクの学校の文化祭、きて。そこでボクがどれだけ好きか、教えてあげる」


平和になったのも束の間。

どうやらまた、とんでもないことが起こりそうです!


(つづく!!!)

おまけの小ネタ

橙子「もぉ、みんなして橙子橙子呼ぶせいで、酷い目にあったじゃない( ˙³˙ ) それもこれもぜーーーんぶあなたのせいよ!ヽ(`Д´)ノ」


明音「言われてみれば、純君は最初から蜜柑ちゃんのこと本名で呼んでるよね」


純「だってとーこのほうがかわいくない?」


橙子「理由になってないですぅ〜( ⩌⤚⩌)現に蜜柑のこと、だぁれも呼んでくれないじゃないですか。ふゆにゃんなんて、財前呼びだしぃ(*´・ω・。)σ」


純「? ボク、名前ですら呼ばれないよ?( 'ω')」


3人「え?」


純「こーがは、おいとかお前。酷い時はガキ。まふゆは君。パパはこの人。……だから、とーこのほうがまだマシ」


那月「あー、それはぁ……('ω' ;)ごめんねぇ、二人とも。真冬は人との距離の詰め方が苦手で……明音君の時も、時間かかったっけ」


明音「あー、それ、こうも同じだよ。仲良くなるまでは聖呼びで、しばらくはひじあきとか、よくわからないことになってたり……( ̄▽ ̄;)」


黄河「いいだろ、昔のことは。今呼んでんだし。俺が呼ばねーのはお前が何もしねーからで……たまに呼んでるだろ、純って。真冬は知らねーが( *¯ ^¯*)」


真冬「人になすりつけるの、やめてくれる? 呼べばいいんでしょ……橙子、純ってε-(´-`*)」


純「じゃあパパも。ボクのこと、名前で呼んで???(´。✪ω✪。 ` )」


藍「そーですねー……じゃあミーは、あなたが成人になったら呼んであげますよー( '-' )」


純「じゃあって何ーーーパパのけちーーー(・ε・`*)」


一枚上手な大人たち。

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