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32.その手は、誰のために。

前回のあらすじ。

藍によるコーヒー相談のおかげで、

明音の考えがまとまった。


「珍しいね、君が閉店後に呼び出すなんて」


私服に着替えた真冬さんが、バックをカウンターに置く。

翌日。僕は、閉店後に残ってほしいと彼女を呼び出した。

無論、僕の好きな人、真冬さんだ。

シンプルめにまとめてある私服は目を引くほど、カッコいい。

やっぱり素敵だ、そう感じれば感じるほど、どこか痛んでしまう。


「ありがとうございます。わざわざ、残ってくれて」


「別に。話があるって言ってたけど、何?」


その問いに、思わず詰まってしまう。

正直、どう切り返せばいいのかわからない。

応援する、ときめた僕に、藍さんはまず彼女と話すことが最優先だと話してくれた。

応援するには、まずその好きな人を聞かなきゃ行けない。

だからって初っ端で聞くのはさすがに気が引ける。

こういうときは、たわいもない雑談から始めて……


「もしかして、僕の好きな人のこと?」


ドキッとする。

まさか、見透かされているとは。

それでも彼女は、気にしていないようにカウンターへ腰掛けた。


「好きな人に好きな人がいる、そういわれたら誰だって気になるよね」


「す、すみません……色々考えちゃって。僕が告白しなきゃ、今頃真冬さんはその人と結ばれてたのかなあって」


「それはないよ。昔、揶揄われたことがあってね。だから、ここにしまうことにしたんだ」


「揶揄われたって……どういう……」


「……僕が好きなの、女性なんだ」


その言葉に、何となく腑に落ちる。

あんなに苦しそうにみえたのは、相手が同性だからだったのか。

確かに周りからみたら、からかいの対象になってしまうのかもしれないけど……


「同性同士の恋愛なんて、普通じゃないからね。当たり前っちゃ当たり前だろうけど」


「だからって、そんなこと言うなんて最低ですよ! 好きになることに、相手なんて関係ないのに!」


「君らしいね。昔から人付き合いがうまくない僕にとって、彼女は特別だった。いつも優しくて、僕の手をひいてくれる……そんな彼女が、好きだった」


「……もしかして、真冬さんが好きなのって、那月さん?」


「まあね」


やっぱり、とどこか腑に落ちる。

二人は幼馴染で、通じ合うほど仲がいい。

それ以前に、真冬さんは那月さんに全面的な信頼を寄せているのは目に見えてわかっていた。

僕が初対面で告白してきたときも、警戒していたのに那月さんの言葉で名前聞いてきたり。二人きりになるときも、必ず彼女が背中を押してくれていたし。

だから距離が近いことにも不思議に思わなかったし、むしろ羨ましいとすら思っていたけどー


「……好きだって気づいた時から、ずっとここにしまってた。言うことで那月を困らせたくなかったからね。いや、それよりも怖かったんだと思う。今の関係が壊れるかもしれないから……」


そう言う彼女はどこか懐かしそうで、悲しそうに微笑む。

きっと、彼女も苦しかったんだ。好きな人が那月さんだから、尚更。

僕は、何を見てきたんだろう。ずっと見てきたはずなのに、何も気づけなかった。

やっぱり、悔しいなぁ……


「あの、伝えてみませんか? その気持ち」


「……は?」


「僕、真冬さんの恋を、応援したいんです。お手伝い、させてくれませんか」


一瞬で空気が凍った気がする。

こちらをみる彼女の目は、動揺しているように揺れていて。

それでも、彼女は何も言わなかった。まるで、言葉を選んでいるかのようで。

そんな彼女に構わず、僕はいつもの調子で語りかけた。


「だって、那月さんが好きなんですよね? なら、伝えましょう。那月さんに」


「……君、自分で何言ってるかわかってる? 君は、僕が好きなんだよね?」


「はい、好きです。今も、すごく」


「余計意味がわからない。それで応援しようってなる? いつもの君なら、忘れさせるとか、自分を好きにさせるんじゃ……」


「そう思ったこともありました。でも、わかったんです。真冬さんを笑顔にできるのは、僕じゃないって」


そう言い切った瞬間、胸には言いようのない痛みが走る。

分かってる。自分で恋を終わらせるようなものと同じだってことくらい。


でも、いい。これで、いいんだ。

だってそれが、僕の出した答えだから。


「世間なんて関係ない。大事なのは、好きだって気持ちです。サックスの時だってそうだったじゃないですか。那月さんがどう思ってるかなんて、聞かなきゃわからない。一度、那月さんの思いを聞いてみませんか? そこから考えてませんか?」


「……どうして、そこまでするの?」


「そんなの、真冬さんが大好きだからです。それ以外に、理由なんていらないですよ」


彼女の笑顔がみたい、その気持ちに嘘はない。

叶えたいんだ。彼女の思いを、僕が。


彼女は、ため息をつく。

少し考えながらも、いつもと同じような呆れた声で、「バカじゃないの」と小さくこぼす。

それがいつもと変わらない彼女で、どこか安心できて。


夏が終わり、秋の訪れを感じる季節。

何かが少しずつ、動き出していたー


(つづく!!)


おまけの小ネタ

真冬「応援させて欲しい、か。ほんと、君はどこまでもまっすぐだねε-(´-`*)」


明音「そ、そんなことは全然……相談に乗ってくれた、藍さんのおかげです( *´꒳`*)」


真冬「……店長が、相談?( ・᷄-・᷅ )」


明音「藍さん、本当に真冬さんのこと、なんでも知ってるんですよ! クールなのに沸点が低い、とか、恋に奥手、とか」


真冬「……へぇ」


明音「それこそ、話してて思いました。真冬さんも、自分の思いより、相手の幸せを願うんだなーって。藍さんに言われたんですよ、同じこと考えるんだねって。それって真冬さ……」


真冬「……明音、今から世界一激辛ソースを買ってきて。店長にいれるから、大至急( '-' )」


明音「えぇ!? なんでそんな怒ってるんですか!?\(; ºωº \ Ξ / ºωº ;)/」


危うし、店長!!_( 、´⌓`)ノタスケテ~

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