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29.招かれざる新たな風

前回のあらすじ。

みんなと行く、夏祭り。

もう一度告白したら、真冬に振られた。

そして、何かが動き出した。


青空が、澄んでいる。

あんなにうるさかった蝉の声も、いつのまにか少なく聞こえる。

それでも窓から吹く風は、生暖かく、残暑を感じさせられる。

少しずつ秋が近づいている中、ここーアルカンシエルはというとー


「みろよお前ら! このキャラメルラテの泡立ち、めちゃくちゃいいだろ!」


「おお~さっすがこう君、上手~」


「それくらい普通じゃない? そのクオリティーでできるなら、毎回やってほしいけど」


「相変わらず口うるせぇやつだな、真冬は。明音、一口飲んでみねぇか? 絶対うまいから」


「あ、ありがとう、こう」


変わらない日常を過ごしています。

あんなにバタバタしていた夏が、嘘だったみたいにアルカンシエルは平穏だ。

それもこれも、閉店しないからである。

地道に続けたイベントと、みんなの頑張りとが身を結び、客足は少しずつ伸びている。

探していた元店長もみつかって、まさに絶好調! ……だったらよかったんだけどなあ。


「よし、ちょっくら片付けるか」


「あ、僕がやるよ!」


「明音君一人じゃ大変じゃない? 真冬と二人でやってきなよ」


「片付けくらい、僕一人でできるから。僕がお皿やるから、君は掃除の方をお願い」


夏祭りで告白して振られてから、どこか真冬さんの顔が上手く見れない。

振ってしまったからなのか、彼女も距離を置いている気がする。

同じ職場である以上、気まずくなることは覚悟していたつもりだったけれど。

それよりも僕は、いまだ心のもやもやが晴れない。

仕事に迷惑をかけちゃだめだ。早く何とかしないと……


「那月、皿そんなにたくさんもったら危ないよ。半分貸して」


「え、ちょ、まっ、わ!!!!」


お皿を運ぼうとした那月さんと、手を貸そうとした真冬さんの指先が触れる。

その瞬間、那月さんは反射的に手を引っ込めてしまい、積み重なった皿が派手な音を立てて床に散った。

その音に、思わず僕たちもその場に近づく。


「大丈夫ですか!? 二人とも!」


「あ、あはは、大丈夫大丈夫〜ごめんね、こう君」


「皿のことなら気にすんな。怪我してねぇかお前ら」


「僕は平気。那月は? 一応手、見せて」


真冬さんが触れようとした瞬間、那月さんはばっと手を隠す。

彼女はいつも以上に大きな声で笑ってみせてー


「これくらいぜんっっぜん大丈夫だから! うち、箒もってくるよ!」


「え、でも那月さん……」


「ほらみんな、手止まってるよ! 片付けちゃんとしないと!」


那月さんがニコニコ笑顔で言う。

気のせいだろうか。那月さんも、どこか様子がおかしい。

まるで真冬さんを避けてるような……

そのことにきづいたのか、こうが怪訝に顔を顰めながら、


「なんかしまんねぇなぁ……揃いも揃って、何かあったのか?」


と聞いてくる。

そういえば彼には話してないな、振られたこと。

答えに迷っていた、その時ー


「どーもー、やってます?」


まるでラーメン屋ののれんをくぐるようなテンションで、ひょっこりと店内に入ってくる。

その瞬間、暗かった空気が一瞬でかわってー


「おやおや、なんだか殺伐としてますねー。お邪魔なら帰りまーす」


「まてまてまて、お邪魔じゃねえ帰るな!!」


こうが、必死に止まる。

それもそのはず、現れたのは元店長・御領原さん本人だった。

彼は相変わらずの黒づくめで、長い髪が雑にまとめられている。

彼を見るのは久しぶりだ。

店が閉店しないとわかったあの日から、御領原さんはぱったりいなくなっていたし。

「気が向いたら」という言葉通り、このまま2度とこないんじゃないか……なんて思っていたけど。


「御領原さん、随分ご無沙汰ですね。あれからお店に来ないから、てっきりもう来ないかと……」


「いいますねー、聖さん。ミーもそのつもりだったんですけどー、つれてけってうるさくて」


すると、またドアが開く。

お客さんが来たのか、と思っていたらなんとそこにいたのはー


「どぉもぉ、蜜柑ちゃんでぇす︎❤︎」


「やほ」


そこには、財前さんと緑野君がいた。

にっこりと笑う彼女の横で、ひらひら手を振っている。

二人の姿に思わずこうが、げっと声を漏らすー


「お前らかよ……なんで師匠と一緒に」


「あれぇ? 聞いてないんですかぁ? この度私ぃ、アルカンシエルの新看板娘としてデビューすることになりましたぁ♪」


「………は?」


「黄河さーん? 顔こわーいですよー。まあそんなわけで、今日付けで二人はこの店で働くことになりましたー、拍手ー」


そういいながら、なんともやる気がない拍手をする。

その言葉にこうだけじゃなく、僕やみんなも目を丸くした。


「ええっとぉ……どういうこと、ですか?」


「ほら、ここって料理も接客もやるから、人手全然足りないでしょー? それを少しでもなくしたくて、ミーが考えたんですよー。あ、息子はほとんどついででーす」


「だってここ、ボクのお家だし。ボクがここにくれば、パパも連れてこれる。にせきさんちょーだと思うんだよね」


「それを言うなら一石二鳥ですよー」


「そっちはわかるけど、君は? うちの店にくる利点があるわけ?」


「だって私ぃ、財前コーポレーションの娘じゃないですかあ? 後を継ぐ者として、色々お勉強したいなぁって思うのは当然でしょ?」


「はぁぁ? ふざけんな、なんでてめーなんかを雇わなきゃなんねーんだよ」


「お忘れですかぁ? そもそも彼を連れ戻すことができたのは、息子である彼をみつけだした蜜柑のお・か・げっ! その恩を仇で返すおつもり?」


「こ、こいつ……!!」


「まあ財前さんのお父さんが、娘が迷惑かけたので、せめてものお詫びでって押し付けてきただけなんですけどねー。そんなわけですので、適当に仲良くしてあげてくださーい」


中案内するよーと言いながら、彼は裏の方へと二人を連れてゆく。

その手前、財前さんだけがふっと立ち止まったかと思うと、一瞬だけこうの方を向く。

かと思ったら、にやりと口角を上げ、べーっと舌の先をだして……


「おまっ、まて師匠! 俺は賛成してねぇからな!!」


秋の始まり、アルカンシエルに新たな風が吹きそうです!


(つづく!!)

おまけの小ネタ

蜜柑「みなさぁん、おまたせ♪ ついに蜜柑ちゃん、喫茶店デビューですよぉ〜❤︎( •ω- )」


純「純です、パパの息子です。よろよろ〜」


明音「よ、よろしく……でいいのかな?(^^;))


黄河「いいわけねぇだろ……俺が待ってたのは師匠だけだ。てめぇらなんぞ、よんでもねぇんだが?」


蜜柑「やだぁ、口わるぅい。こういうの、パワハラっていうんですよね? ひどぉい( ˘• ₃ • )」


黄河「どの口が言うんだ!ヽ(`Д´)ノ」


那月「まあまあ落ち着いて、こう君。二人がせっかく働きたいって言ってくれてるんだし……」


純「そーそー。今日の敵は、昨日の友っていわない?」


真冬「それを言うなら、逆だよε-(´-`*) それにしても……」


藍「є(・Θ・;)э››~ 」


真冬「君、何してるの?( ・᷄-・᷅ )」


藍「え、ちょっとそこまでお出かけしようかなーと思っただけで……どさくさ紛れに帰ろうなんてことは( ˙³˙)」


黄河「帰る気満々じゃねぇか!!ヽ(`Д´)ノ つかまえろ! 今、すぐ!( ✧Д✧) 」


カオス確定。

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