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june bride  作者: 双葉紫明
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第1話

 川で死んだ老人。


 子兎を睨む大蛇。


 横たわる母猫に、子猫が6匹。先に乳にありついたであろう3匹はひと回り大きく、まだ小さい3匹が必死に乳にぶら下がる。


 僕は生きて行けるだろうか?


 彼女が会いたい、んだって。


 毎年この時期。


 僕の誕生日。年度始めと夏休みの間。事情はわかる。半端な夢なら何も無いほうが良い。


 忘れた頃に思い出す恋。


 僕はずっと忘れられないで、忘れられてく。


 もう繰り返すもんか。はっきりさせよう。


「僕は好きだ。きみは僕を好きかい?」「ゆっくり時間を過ごしたいの」「好きでもない奴と過ごすなら時間の無駄だよ」「好きって言いづらいし」「そりゃあ言えと言われて言うもんじゃない。わからないなら好きじゃないんだ」「会いたいか、会いたくないかなの」「好きなのに好きでもない相手に会いに行く身にもなってくれ。時間もガソリンもかかるんだ」「無理にとは言わないけど」「結局いつも僕だけ好きできみは都合よくそれを利用するんだ。そんなら他の女追いかけた方が気楽だよ」「あなたも会いたいかと勘違いしちゃった」「うん、やめよう。きみは悪くない。僕が変なんだ。そんな風に思い続けるのはもうたくさんだ」「むずかしいのね」「好きじゃないなら僕だって暇じゃないんだし、友達でも作りなよ。きみが僕を好きなら簡単なんだ。ハッピーになれるんだ」








「すーきー」

「はわわ」




「おやすみ」

「ありがとう。僕も好きだよ。おやすみ」


 馬鹿で良い。先が見えてたって、飛んで火に入る夏の虫になってやろうじゃないか。いっそ毎年六月の花嫁にきみを迎えてやろう。きみが良いんだ。


 どうやらしばらく生き延びた。


 命を救う「すき」がある。


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― 新着の感想 ―
「はわわ」に不意打ちです笑。 「すき」、その言葉が命をつなぐことって確かにあるのかも知れません。 たとえ自分に自信がなくても、誰かが自分を好きでいてくれるのなら、頑張って生きてみてもいいのかな、なんて…
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