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第五部 水しぶき 砕け散る音 砂の音 軋む足音 消えゆく自然
水しぶき
砕け散る音
砂の音
軋む足音
消えゆく自然
海辺の砂浜を
裸足で歩いて
潜る足跡に
波飛沫が寄せる
逃げても
繰り返す
波の水しぶき
砕け散る音に
かき消される
渚の喧騒
自然は静寂を取り戻し
浜辺は月明かりに白く光る
ミニパノラマのように
灯台のサーチライトが
時より黒い海を照らし
船が闇に浮かぶ
夜の浜辺を走る車の光と音が
静寂を破る
やがて心は静まり
宇宙の深淵を覗く
綺麗な紺色の宇宙が見える
黒じゃないの
それは錯覚
宇宙の色は決まっていない
すべては錯覚
三日月未来