うさぎの国
あれから私たちは毎年たくさんの思い出を作っては弟に報告をしていた。。。
それなのに、何故またうさぎが現れたんだろう。
しかも、私の前に。。。
決して、弟のこともうさおのことも忘れたわけではないのに。。。
たしか、あの日、うさぎがまたのご来店をお待ちしておりますと言っていたな。。。
また、あの店に行けるのかな?!
もし、次あの店に行ったらうさぎにいろいろ聞いてみたいと思っていた。。。
だが、それから、数年が立った。。。
私は結婚をして子供が生まれた。
元気な男の子だ!
私は毎日幸せでいっぱいだった。
フォーエバームクーヘンのことはすっかり忘れていた。。。
もちろん、弟のこと、うさおのことは忘れてはいないが。。。
息子が5才になったとき、不思議なことを言った。
うさぎさんのバームクーヘン食べたい。。。
なんでそれを知ってるんだろう。。。不思議に思ったがたまたま、言ったのだろうと思った。
だが、久しぶりにフォーエバームクーヘンのことを思い出したのだった。
そして、私は息子とバームクーヘンを買いに行くことにしたした。
もちろん、うさぎの店ではなく、町のケーキ屋さんに。
その帰り道、私と息子は交通事故に会った。。。
私は5歳で交通事故に遭い亡くなった弟のことが頭によぎり、とっさに息子を守ったので、息子は軽傷だったが私は意識不明の重体となっていた。。。
そして、私は不思議な空間にいた。。。
そこはうさぎの世界だった。。。
たくさんのうさぎがいて、まるで人のように暮らしていた。。。
私は見覚えのあるうさぎに出会った。
うさぎはお久しぶりですね。また、お会いできましたねと言って私をあるところに連れていってくれた。
そこはあのフォーエバームクーヘンのお店だった。
やっぱりあの時のうさぎだったんだ!
うさぎは話をし始めた。
この姿であなたに初めてお会いしたのはあなたが7才のときですね。僕があなたの父に拾ってもらった日でしたね。でも、実は僕はあなたの弟でずっとずっと先の未来から来ました。僕が死んでから笑顔一つない暗い家族だったね。そんな家族を僕は見ていられなくて、彷徨っていた。すると、うさぎが僕の体を使って家族に会いに行きなよと言ってくれたんだ。僕があの家に行ってからはみんなが笑顔を取り戻してくれて本当にうれしかったんだ。けど、また僕がいなくなるとみんなの明かりは消えてしまった。。。
だから、僕はバームクーヘンを作ることにしたんだ!昔、家族に約束をした、幸せがいっぱいの永遠のバームクーヘンを。。。それを食べてみんなは再び笑顔を取り戻してくれた。僕はとてもうれしかったんだ。
私は再び弟に会えてうれしかった。。。それに、弟が私たち家族をずっと見守ってくれていたことも。そして、それをバームクーヘンにして私に再び届けてくれたこと。
約束覚えてくれてたんだね。。。
でも、どうしてまた、私に会いに来てくれたの?
ここは天国の入り口だよ。お姉ちゃんが死んでしまったら、また、お姉ちゃんの家族は悲しんでしまう。。。
だから、お姉ちゃんはまだここに来ては行けない。。
1つお願いがあるんだ。
僕の代わりに世界中の人にフォーエバームクーヘンを届けてほしい。そして、すべての人を笑顔にしてあげてほしい。
弟はそう言い残し、そっと私に1枚の小さく折りたたまれた紙を渡すと、辺りがまっ暗になった。。。