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偽善の聖人、教祖になる  作者: チョコクリーム
1.『あぁ、あなたはなんてことを』
8/46

作戦

 ――――――――――――

 クエスト〈神殿奪還作戦〉

 あなたの任務:今日の夜、代理人を何らかの手段で混乱させる。

 サブ任務:神殿奪還作戦において、罪人を1人も死なせない。


 基本報酬

 5000チェン

 サブ任務達成報酬

 女神教入信願い


 依頼者

 ラ・ハイミ

 ――――――――――――


 〈クエスト〈神殿奪還作戦〉を受けますか?Yes/No〉


 もちろんYes。

 それにしても、神殿奪還作戦とやらの詳細はさすがに教えてくれないか。


 そこまで期待されてないのか?それに依頼者のラ・ハイミがさっきの彼女だとすると、表記の仕方が気になるな。

 罪人を代表しての個人表記なのか、それとも個人の依頼扱いなのか。個人扱いなら女神教入信()()になっているのも分からなくはないが。


 どのタイミングで動くかが大事になってくるのだが、肝心の情報が無いため予測で動くしかない。

 今は皆パーティをしているだろうから、神殿奪還作戦は出来るだろう。

 問題は、"制圧"が完了するまでの時間稼ぎだな。


 どうにか意識を神殿から逸らせればいいのだが、神殿は街の中央にあるため非常に目立つ。

 それに、"制圧"はする側にもされる側にもゲージが表示されるから隠すのは無理だ。

 ゲージだけだからどこが制圧されているのかは分からないのが唯一の救いか。


 となると、"制圧"が始まる前に、神殿の反対方向に誘導した方がいいな。掲示板を使うか?


「あ」


 そういえばここにいる2人のことを忘れてた。

 この人たちは長くやっているみたいだから、多少知名度はあるだろう。

 何とか味方に出来れば、誘導は楽になるはずだ。


 牢屋の鍵もそのまんまということは、3人で協力してもいいのだろう。彼女の場合単純に忘れた可能性もありそうだが。


 そこまで深く気絶してなかったのか、軽く体を揺らすと2人とも直ぐに目を覚ました。


「…おい、これはどういう状況だ?」


「ちょっと、どうしたの?さすがにいきなり剣を向けるなんて危ないでしょ!」


 せっかく助けたというのに、僕が疑われているようだ。

 男に至っては、すぐにでも攻撃してきそうなぐらいだな。


「罪人に捕らえられたみたいですね。そして、僕は先に起こされました。この意味が分かりますか?」


「チッ、もう手を組んだってことか。だが、俺たちだってそう簡単には死なねえぜ」


「ちょっと待ってくださいよ。僕はあなたたちを殺す気はありません。それどころか、協力したいと思っています」


「あ?それは俺たちに、今までの友人たちを裏切れってことか?」


「この街の半分」


「は?」


「えっ?えっ?」


「協力してくれれば、この街の半分をあげます」


「何を馬鹿なことを…。お前はそもそも今日始めたばっかなんだろ?そんな弱っちいのに何ができるってんだ」


「正直話の半分も分からないけど、さすがに街の半分は無理じゃない?」


「僕は唯一、女神教に入信できる可能性があります」


「はぁ?女神教に代理人が入れるわけがねぇ。いくらその装備だからって、簡単にあの溝は埋まらねぇよ」


「そうよ!それに、女神教に入れたとして何ができるっていうのよ?」


「それは…」



 ・・・・・・



「どうしても、無理ですか?」


「そんな馬鹿な話をする暇があるならレベルを上げろ。こっちだって暇じゃねえんだよ」


「まずは結果を出してからにしなさい。話はそれからよ」


「そうですか…。残念です。じゃあ、丘の教会を貰いますね」


「貰うって…まさか罪人が!?」


「ちょっとやばいんじゃない!?早く伝えなきゃ!」


 地下にただ一人残された僕は、数分の後にゆっくりと歩き出した。

 それを見ていた影は、どこかに去っていった…。



 ・・・・・・



「おい、やべぇぞ!」


 男が突然、代理人ギルドにやってきてそう言った。

 騒がしい声で溢れていたギルドに一瞬、静寂が訪れる。


「どうした?腹でも下したか?」


「ちげぇよ馬鹿!罪人が攻めてくんだよ!」


 その一声で代理人の空気は一変する。男は一瞬、規律の取れた軍隊のような張り詰めた空気に気圧されるが、直ぐに言葉を続ける。


「丘の教会!罪人が"制圧"しにくる!」


「すぐにか?数は?」


「分からん!祝福男が罪人側に着きやがったんだ!仲間を裏切れとか言いやがったから断ったら、丘の教会を取るとか言いやがった!」


「陽動の可能性もあるな…」


「皆、丘の教会と神殿に半々で行こう!僕は神殿に行く!」


「カレードマスターが神殿に行くなら丘の教会7割の方が良くないか?」


「…6割でいこう!」


 おう!と力強い声で返事をした代理人たちは、素早い動きで準備を済ませ、各々の目的地へ向かっていった。

 男も急いで準備をしていると、誰かに話しかけられた。


「やぁ、情報ありがとね。今日は気が抜けていて、情報がなかったら"制圧"されていたかもしれない」


「カレードマスターか。…油断はするなよ」


「…ふーん、君は神殿に来ると思うんだね」


「なんだよ」


「いや、なにもないさ」


 カレードマスターは満足したのか、少し笑った後去っていった。

 男はその意味を考えるように頭を捻ったが、分からなかったのか後を追うように走っていった。

"制圧"は所有者を決める戦い的なやつです。そのうち説明があると思います。

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