出会い
「急に"助けてください!"なんて言われてびっくりしたけど、ちょうど良かったね」
「まさか、こんなに早く手続きしてくれるなんて思いませんでした」
「結構頑張ったんだし褒めてもいいんだよ?って、もう着いちゃったかー」
この部屋の中に、同じ階級の人が居るのか。今まで信徒だったし、寮に居る人も少なかったから同階級の人と交流をすることはほぼほぼなかった。
「入るよ」
一体どんな人が待っているんだろうか。そんな期待を胸に部屋に入った。
「ふぅん、君がユトくんか」
「回復をかけてあげないと…」
無償髭が伸びたおじさんと、頼りにならなそうな女性が居た。ジロジロとした視線を感じるが、敵意はなさそうだ。
「おはようございます」
軽く挨拶をして、本題であるモンスター討伐の説明に入る。
ラナミさんにモンスター討伐のクエストをしたいと言ってから数日。僕が休んでいた間に色々してくれていたらしく、モンスター討伐の許可が制限付きだが降りた。
そして今日は、その説明をしてくれるというわけだ。講師はラナミさん。
「これからモンスター討伐の説明を始めるけど、その前に確認するね。今回は4人来るはずなんだけど、もう1人は?」
「俺は見てないね」
「私もです」
「…そもそも、もう1人って誰ですか?」
「そっか、まだ名前を言ってなかったね。ごめんごめん、もう1人の名前はガイゼルだよ」
「ガイゼル……どこかで…………あっ!!」
「どうしたのユトくん?」
「ここに来る前に、ガイゼルと名乗る人に喧嘩売られました」
「あー…知らない人に追いかけられてるって言ってたもんね。じゃあ今も探してたりして」
「居ない人のことを気にしても仕方ないよ。先に説明を始めてくれ」
「そうだね。彼には後で説明しておくよ。まず、君たち3人のモンスター討伐の経験数を教えてくれるかな?自己紹介も含めてね」
「俺からしよう。俺の名前はラ・マムウ、弓使いだ。気軽にラムウと呼んでくれ。今までにスライムとウルフを40ずつぐらい討伐した。よろしく」
「次は私ですね。私の名前はラ・アリアと言います。アリアと呼んでください。職業は回復師なので、疲れたら直ぐに回復します。モンスター討伐は未経験です。よろしくお願いします」
「最後は僕ですね。僕の名前はユト、職業は幸運者です。モンスター討伐は未経験ですが、代理人なら何人か殺したことがあります。よろしくお願いします」
「幸運者…?」
「質問とかは後でゆっくりやってね〜。マムウは知ってると思うけど、スライムの説明からするから一応聞いててね」
「年下に呼びすてされるとむず痒い気持ちになるな…。それと、ラムウと呼んでくれ」
「マムウ。私は司教、あなたは補助官。立場を弁えなさい」
「あ、あぁ、すまな……すみませんでした」
ラナミさんの冷たい所を初めて見た。冷たいというよりいつもの緩さが無くなったからそう見えるだけか。
不穏な空気が流れたのも一瞬、ラナミさんがいつものようになり、全員の安堵した空気が伝わってきた。
「次はないよ。……はい、じゃあスライムの説明からだったね。スライムはぷにぷにしてて物理攻撃が通りにくいのでスキルか属性付与を使いましょう〜。触手はかなり伸びるからよく注意しようね。スライムはこれで終わり!」
「これだけですか?なんか弱そうですけど…」
アリアさんが疑問の声を上げた。説明に納得がいかないのか、ラナミさんを訝しげに見ている。
「特徴があまりないからね〜。ただ、君たちのステータスだとスライムを倒そうとしても力が弱すぎてかなり時間がかかるんじゃないかな?」
「…つまり、ステータスが強いということですか?」
「そうだね。どのモンスターにも共通することだけど、スライムは特に耐久力に優れていて、半端な攻撃は通らないんだよ」
「スライムの攻撃はどのくらいのダメージになりますか?回復師の私ではどのくらい役に立てるのでしょうか?」
「スライムの攻撃力が500だから、ステータスの体力が500以下の人は最悪死ぬかもね。良くて気絶かな?1500はあった方がいいと思うけど、回復師が頑張ればなんとかなると思うよ」
「責任重大ですね。…もう、あの時みたいにはさせない…」
とても小さな声だが、なにか聞こえたような気がした。あまり聞き取れず、直ぐに何を言っていたのか忘れてしまった。
「次はウルフね。スライムより全然攻撃は通るけど、その分体力は高め。そして攻撃力はかなり低い。だけど速度がとても速くて、1度攻撃されると連撃を貰うことは覚悟した方がいいね。誰かが動きを止めて、その間に他の人が攻撃するというのが基本のパターンだよ」
「あいつはいつの間にか前衛を越して後ろまで来たりするから油断出来ねぇんだよなぁ」
「そしてゴブリン。ゴブリンは攻撃力も体力も低くて攻撃も通りやすい。1番ステータスが弱いモンスターだね。そして、1番強いモンスターとも言われるよ。ゴブリンは謎の技術を使って強い装備を作って使うから、対策もしづらいんだ。ここら辺は教会の資料なんかを調べることをおすすめするよ」
「ゴブリンは運次第で簡単に詰む」
「…あれ?何か聞こえません?」
「アリアさん?」
「やっぱり!何かが近付いてきます!!」
数秒すると、僕にも音が聞こえるようになった。ドスンドスンと重いものが動き回ってるような音だ。アリアさんは耳がいいのか?
「全員、私の後ろに!警戒して!」
音はどんどん近付いてくる。そして、僕達はその音の正体を知ることになる。
ドゴン!
部屋の扉がひしゃげ、吹っ飛んでいく。
「まさか…!」




