過去を乗り越えて今日もまた生きる
「クソックソックソ!こうなったらてめぇだけでも道連れにしてやる!!」
血走った目でおじさんはカイを睨む。カイに恨みでもあるのだろうか。その目からは並々ならぬ感情を感じた。
「はあっ…はあっ……僕は死なない!死ぬ訳には…いかないんだよ!」
「そうかそうか…ならアイツが死ぬ所をよく見てるんだな!!」
そう言っておじさんはナミさんに手を向けた。カイは咄嗟に庇った。傷のせいで動く度に血が出ている。
だが、それでもカイはナミさんを守りきった。
おじさんの手からさっきの毒のような光がカイに当たる。
「これで…条件は揃ったぞぉ…くはは!相変わらず馬鹿だなぁてめぇは!」
「例え…それが罠だとしても……ナミを見捨てることはしない!!ぐはっ…はぁ、はぁ…」
動くことも出来なそうな程に辛そうなカイ。だが、それはおじさんも同じだ。段々弱っていっているように見える。
「へへ…一緒に地獄に行こうじゃねぇか!!道連れ!!」
おじさんとカイの身体が砂に変わり始めた。今までの呪術は気持ち悪い感じだったが、これは悲しくなってくる感じだ。
「カイくん!嫌だよ、死んじゃ嫌!!」
「ナミ…今まで…ごめん…」
「っ!!」
カイはここで死なせてはいけない気がする。神子が居ないと負けると勘が言っているのだ。
だが、代理人がそれほど強いとは思えない。つまり、まだ敵がいるということだ。
そして、その敵にこのおじさんは関わっている。そう確信している。
もしかして:助けが、必要?
カイを、助けられる力が欲しい。こんな終わり方では到底納得出来ない!
もしかして:私の役目はここで終わり?
…。
もしかして:力を授ける?
…頼む。
もしかして:りょ?
短い時間だったけど、案外いいものだったよ。ありがとう。
もしかして:気にしないで?
…あぁ。
〈スキルを一時的に付与します〉
〈スキル〈生命の循環〉が1回だけ使えます〉
「カイは死なせない…!」
不思議と、スキルの使い方は分かった。それがアイツのおかげなのかは分からないけど、そうだったら良いな。
カイの元に走り出す。速く、速く、速く!
「…今更何をしようと無駄だ!…無駄だから、止めろ!」
怖いんだろう?分からないから。道連れなんてのは今時流行らねぇんだよ。1人で死んでろ。
「カイ。僕を信じろ!」
「…君か…なら安心だな…」
「あぁ!〈生命の循環〉!!」
カイの体を砂にさせていたモヤがおじさんの方に行った。もう失った部位が戻るわけではないけれど、足がある。手がある。顔がある。なら、まだ可能性はある。
「嫌だ!!俺は、てめぇを殺すために!ここまでっ!嫌だ嫌だ嫌だ!!1人はもう……」
おじさんは死んだ。最後まで無様で気持ち悪いやつだった。
――――――――――――
クエスト〈女神の祝福を取り戻せ!〉クリア!
あなたの任務:達成!
サブ任務:未達成
基本報酬
祝福シリーズの装備を強化
依頼者
女神
総合評価A
総合評価A報酬
女神の好感度??
スキル〈???〉獲得
――――――――――――
なぜだか知らんがおじさんが祝福の羽衣を持っていたらしい。おじさんの死体から勝手にやってきて装備された。
色々確認したいこともあるけど、それはまた後で…。
「がはっ…はぁ…まだ、なんとか生きてるみたいだ…」
「カイくん…お願いだから…置いてかないで…」
「ナミ…今までごめん…本当は、ちゃんと謝りたい、けど、時間があんまりないから……がはっ!…はぁ……今まで色々酷いことをした…でも、それでも、こんな僕を…愛してくれて、ありがとう」
「カイくんは、あんなに辛かったのに頑張ってた!それに、もう、いいでしょ?カイくんが辛い目に合っていたのに助けられなかったのは私もだから、私にも罪はある。だから…自分を責めないで…」
「…あぁ…ナミ…ナミ……ありが…とう…」
「カイくん!カイくん!起きてよ!……嫌だよ…」
「どけ、それはまだ助かる」
「えっ、誰?ってライミ様!?」
「救護班!慎重に運べよ!1ミリも揺らすな!」
「…ぁ、ありがとう、ございます!!!」
「気にするな」
そんなことがあったりして、翌日になった。
あんなことがあったのに、今日もいつも通りの日常を押し付けてくる。
僕はいつもという名の魔物に抗う気力もなく、流されるままだ。
「すみません、クエストの報告に来ました」
テストが終わり、部活がまた始まったので疲れに慣れるまでは次数が少し少なくなるかもしれませんが、ご了承ください。m(_ _)m




