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交錯逸話  作者: 永旅 真
13/13

episode12:それぞれの交錯逸話

 ライブが指名手配されてから数年の月日が経った。

 世の中にはさらに怪盗を名乗る者が増加し、探偵局も次第にその規模を大きくせざるを得ない状況になっていた。

 そんな中、とある国の二人の女性が暮らす家に何通もの手紙が届いた。

 

 『お元気ですか?この前作ったプログラムが……なんと、大規模コンピュータのOSに採用されました!これから益々忙しくなるけど二人も健康には気をつけて下さい』

 

 これは世界的に有名な天才達の集まりの裏の顔、『Deep Line』に所属している男性からの手紙。

 学生の頃はハッキングが得意で社会に反抗的な態度をとっていたこの男性は、今や世界を股にかける天才プログラム開発者になった。


 『お久しぶりです。数年前のあの日々、未だに昨日の事のように思い出せます。私達姉妹は現在裏社会の指南役として頼りにされるようになりました。しかし私達の一番の指南役が貴女達二人である事に変わりはありません。これからも私達の模範でいて下さい』

 

 これは裏社会では知らない者は居ない裏社会の先生とまで言われた姉妹からの手紙。

 昔から格闘術に長けた姉と戦術に長けた妹で、その活躍ぶりは現在でも躍進止まらぬ大活躍らしい。


 『長年溜めた資金で本屋を開いて早数年。経営は相変わらず順調で世の中に感謝しています。同封した本はとても面白い物なので是非ご感想をもらえれば、と』


 これは長年裏家業で溜めた資金で立ち上げた本屋の女性店主とその補佐をしている女性からの手紙。

 こじんまりとした本屋ではあるが、近所には評判が良く経営も順調との事だ。


 『子供ができました。可愛い三女です。事務所の方も色々ありますが毎日幸せに生きています。貴女達二人もどうか末永く幸せな日々を』


 これはライブが指名手配された日から探偵局の探偵をやめて、私立探偵事務所を独自に立ち上げた夫婦からの手紙。

 せわしない毎日ながらも幸せに過ごしているようだ。


「……ふふ」

 手紙を読んで思わず微笑んでしまう女性。

「……ただいま。ふぅ、今日も探偵局の仕事は疲れるわ……って何読んでるの?……おぉ、懐かしい人達からの手紙。みんな幸せそうで何よりね」

 家に帰ってきた女性も手紙を見て思わず微笑んだ。

「おかえりなさい。早速だけど手紙に返事出そうと思うんだ。どう描けばいいと思う?一応私からも案はあるんだけど」

「そうね、じゃあ……一緒に考えましょうか」



『私達は元気です』


『あの日々が今でもみなさんに根付いている事がわかってとても嬉しく思います』


『夢を追うのが人間の性である事は人間に生まれて良かったと思える大きな事であるとしみじみ実感する思いです』


『実は私達の夢はあの日々から一片足りとも変わっておりません』


『自分の目指す最高をいつまでも永遠に追い続けて生きたいと思っております』


『親愛なる仲間達へ――世の中から愚かといわれるような事を颯爽とやってのける二人より』




「さ、今日も頑張ろうねそーちゃん!」

「そうね、ライブ!」


 二人の女性は、今日も夜を舞っている。


 

 

 



 人は夢を抱き、時にはその夢同士が絡み合う。

 

 その時生まれる夢と夢が作り出す物語――交錯逸話は、誰にも知られる事のない小さい物語であっても尊く、素晴らしい物語なのだ。

 

 ――あなたの交錯逸話は、どんな物語になっていますか。




                                            Fin.

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