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刀光剣影タイタンギア  作者: なろうスパーク
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第24話「共同戦線」

紫のプルトーネとカオルのマーズトロン。

そしてジーガロスの改造機に助けられ、竜也は一命をとりとめた。

もし彼等が居なかったら、竜也も謎の機体に取り込まれていた事だろう。



『にしても、紫さんもイベントに参加していたんですね』

『乗り気じゃなかったんだけどね、電気が使えなくなるのは私達も困るし、ね?カオルくん』

『はい、先生』



確かに、文明の利器をフル活用して、このケイオスアイランドでセレブ生活をエンジョイしている紫にとって、電気が使えなくなるというのは死活問題だ。



『………で、こっちのジーガロスの方は?』



紫とカオルとは面識はあるが、ジーガロスの方は竜也には覚えがない。

一体何の目的で紫達に付き従っているのか。



『鈍いな、お前』

『はぁ?』



そうこう考えていると、ジーガロスの方から声が飛んで来た。

どこか、聞き覚えのある声が。



『左腕を見てみろ』

『左腕?』



ジーガロスのパイロットに従い、竜也はジーガロスの左腕を見る。

先も言ったが、左腕は本来のジーガロスと違い、ドリルになっている。

だが、それが何だと言うのだろうか。



「………左腕?」



ここで、竜也は思い出した。

自分と面識があり、ジーガロスに乗っていて、左腕が本来の物と違う。



『………ああ!あの時の!?』

『ようやく思い出したか』



そう、ジーガロス改造機「ジーガロスカスタム」に乗っているのは、以前共にアリアのブラッディマリーと戦った、布浦晴斗だ。



『でも、なんで紫さんと一緒に?』

『利害の一致だ、俺はこのゲームを勝ち抜きたい、あの女は発電所を守りたい、それだけだ』



晴斗には、このデスゲームを勝ち抜かなければならないという目的がある。

エネミーを倒して発電所を守りたい紫と共に行動した方が、都合がいいと考えたのだ。



『竜也くんも、エネミーをどうにかしたいって思って来たんでしょ?だったら、助ける理由は十分だよね?』



そうだ、竜也はエネミーが発電所を破壊した場合に予想される、このケイオスアイランドの殺し合いの加速を阻止する為。

ひいては、それによって予想される自分やエマの身に降りかかる危険を回避する為に、エネミーを倒しに向かったのだ。


彼等も、エネミーを倒したがっている。

なら、手を組まないという選択肢はない。



『………あの』

『何?』

『俺も、協力していいですか?』

『勿論♪』



こうして竜也は、三人の味方を手に入れた。





………………





空を舞うジャッジサイヴァーと、地を駆けるしかないブラッディマリー。

どちらが有利なのは一目瞭然の………はずだった。



『ッハハハハハ!!』

『おのれェェ!』



空中より、ビームショットを浴びせるジャッジサイヴァー。

だが、ブラッディマリーには一発も当たる事はない。


降りかかるビームの弾丸を、まるで軽業師かサーカスのように、廃ビルの谷間を跳び跳ねて避けている。

ただ避けるだけでなく、ビルを上手く盾にしているのだ。


蓮は射撃には自身のある方だ。

そしていくら動く相手に当てるのが難しいと言っても、ブラッディマリーとアリアの挙動も異常である。



「ちぃぃっ!」



埒があかぬと判断した蓮は、ビームショットを仕舞うと、背中のカーボンソードを引き抜いた。

射撃がダメならばと、接近戦を仕掛けようと考えたのだ。



「アッハハハ!」



カーボンソードを手に迫るジャッジサイヴァーを前に、ブラッディマリーは腕のチェーンソーを振り上げる。


がきぃ!ギャギャギャギャッ!


ぶつかり合う、カーボンソードとチェーンソー。

高速回転するチェーンソーにより、カーボンソードがガリガリと震える。



『畜生がぁぁ!!』

『アッハハハ!アーハハハ!』



何度も、何度もぶつかり合う二つの刃。

その度に金属がぶつかり合う音と、削られる音が響く。



「アハァッ!」

「ぎっ!?」



次の瞬間、ジャッジサイヴァーの頭にブラッディマリーの蹴りが叩き込まれる。

衝撃と共に、コックピットのモニターに一瞬砂嵐が走る。


それが、命取りとなった。



「あっはぁ!」

「があっ!」



ずしゃあっ!


ジャッジサイヴァーの腹に、ブラッディマリーの蹴りが叩き込まれた。

瞬間、ジャッジサイヴァーは吹き飛ばされ、背後にあったビルに激突する。



「ぐ、ううう………ッ!」



よろよろと、立ち上がるジャッジサイヴァー。

蓮の睨む眼前には、嘲笑うようにチェーンソーを振り回しながら、こちらに迫るブラッディマリーの姿。



「スペックじゃ圧倒しているハズなのに………!」



ジャッジサイヴァーの性能は、飛行能力を差し置いてもブラッディマリーを上回っている。

それなのに、何故こうも圧倒されるのか。


どうやらアリアは殺人だけでなく、タイタンギアの操縦も天性の才能を持つようだ。

そうだとしか、思えなかった。



『きひっ!あははははっ!もっと楽しもうよ!もっとさぁ!』



そんな蓮を嘲笑うように、ブラッディマリーは足のホイールとチェーンソーを回転させ、ジャッジサイヴァー向けて突撃した。





………………





その頃、紫達と合流した竜也は、エネミーが居るという場所に向けて、ガンドラグーンを急がせていた。


見れば、周りに自分達以外で謎の機体と戦っている、他のプレイヤーのタイタンギアも散見されるようになっていた。

いずれも、押されているようだが。



『ほうら、出てきた出てきた………!』



四機の進行方向上に、謎の機体………仮に「デスレイヴ」と呼ぶ事にする………が、出現する。

その数は、既に十数機はあるだろうか。


紫の情報によれば、デスレイヴはエネミーが兵力として使役しているらしく、この戦力を見るに向こうにエネミーがいる事の確信が取れた。



『それじゃ、作戦通りに行くよ』

『はい!』

『解った』



プルトーネが、四機の前に出る。

すると、手に握っていたバスターアックスを空中に放り投げた。

バスターアックスはプルトーネの両肩に連結され、二本のキャノン砲へと姿を変える。


バスターアックスには、近接用の武装と他に、プルトーネの両肩に装着する事で、遠距離攻撃用のバスターキャノンとしても使用できるのだ。


そこに、プルトーネの持つ全火力を展開すれば。



『そーれ、吹っ飛べ!!』



ずおおおっ!


バスターキャノンが。

肩のミサイルが。

脚のマイクロミサイルが。

胸の拡散ビーム砲が。


プルトーネの持つ全火力が、眼前のデスレイヴの群れ目掛けて放たれた。


それは、まるでコンサート会場のように見えた。


無数のミサイルがスモークのような軌跡を描いて飛び、拡散ビーム砲がレーザーのようにそれを照らす。


歌は爆発。歓声は撃破されてゆく敵機の断末魔。



『さあ、今だよ!』



デスレイヴの撃破された後を、プルトーネの背後から飛び出したガンドラグーンとジーガロスカスタムが駆ける。


これは、紫の作戦だった。

作戦といっても、プルトーネだから出来るほぼ力押しの戦法だが。


本体であるエネミーを守る為に、その付近にはデスレイヴが集中している。

だが、それ故に小回りも効かなくなっている。


そこに、プルトーネの全火力を叩き込めば。


隊列は一気に崩れ、部隊全体も混乱状態になる。

そこに、ガンドラグーンとジーガロスカスタムを走らせ、一気にエネミーに接近する。

どちらも、一撃必殺の武装を持つ機体。

エネミー本体がどれだけの力を持つかは解らないが、今切れるカードでは、これが最善最高の手段。



『道は私達が開ける!さあ行ってぇ!』

『雑魚はかまうなッ!エネミーにたどり着く事に集中しろッ!』



後方から、プルトーネがバスターキャノンを、マーズトロンがバズーカを撃ち、残ったデスレイヴを撃破してゆく。

ガンドラグーンとジーガロスカスタムは、その中をエネミーに向けて駆け抜ける。


だが、いくら二機の援護砲撃があるとはいえ、デスレイヴを完全に押さえ込むのは不可能だ。


砲撃を耐え抜いたデスレイヴの一体が、腕の発光体からビームを乱射しながら二機に迫る。



「ならさぁ!」



放たれるビームを掻い潜り、ガンドラグーンが前に出る。

デスレイヴの懐に飛び込み、肩のビームセイバーを、引き抜く。


ズバァッ!


ビームセイバーの一刃が、デスレイヴを頭から真っ二つに切り裂く。

両断されたデスレイヴは、その亡骸が地面に倒れると同時に、爆発。


敵を撃破したガンドラグーンは、再びジーガロスカスタムと共に、エネミーの居る場所へと急ぐ。



『おい』



ふと、竜也にジーガロスカスタムから………晴斗から通信が入る。



『一応言っておくが、エネミーを倒すのはこの俺だ、お前には渡さん』



それは牽制であった。

なんとしてもエネミーを仕留めたい晴斗にとって、共同戦線を結んでいるとはいえ、同じくエネミーを狙っている以上竜也も邪魔者に過ぎないのだ。



『………じゃあ、よろしく』

『何?』

『エネミーを倒せるなら、俺はそれでいいからさ』



だが竜也としては、エネミーの撃破によって得られる報酬も、名声も、ゲーム上の成績も興味が無かった。


そもそも、竜也が参加しているのは発電所の破壊を防ぐ為なので、当たり前といえば当たり前の意見である。



『調子狂うな………』



しかしながら、こうも名声にも賞品にも興味がないというのは、いくら多種多様の人物が押し込められているケイオスアイランドといっても珍しい。

そんな竜也を前に、晴斗は呆れるように頭を掻いた。



『えっ?何か………』

『いや、こっちの話だ、気にしないでくれ』



だが、嫌な気持ちはしなかった。

長らく欲と殺意に囲まれた生活を送ってきた晴斗にとって、それは久しぶりに触れた「人の心の暖かさ」のようにも感じられたからだ。



『………頼むよ、二人とも』



二機のタイタンギアがエネミーのいる場所へ向けて駆けてゆく様を、紫はプルトーネのメインカメラ越しに見守っていた。

彼等を追跡しようとするデスレイヴを、バスターキャノンで撃破しながら。





………………





妨害に現れるデスレイヴを倒しながら、ガンドラグーンとジーガロスカスタムは、開けた場所にやってきた。



「………公園?」



竜也がつぶやいた。

そこは、高層ビルの前に作られた、広大な公園だった。

タイタンギア二機が、立って歩けるほどの広さを持っていた。



「ここにエネミーが居るというのか………?」



遠くに戦闘が見える事以外は、しんと静まり返っている。

ひょっとして、エネミーは別の場所にいるのではないだろうか?

二人の頭にそんな考えが過った、その時。



「………ん?」



突然、ガンドラグーンの索敵センサーに反応があった。

だが、周りには自分とジーガロスカスタム以外何も見当たらない。


センサーには、自分達の前に敵機の反応が出ている。

どういう事だ?センサーの故障か?

竜也が疑問を浮かべた、その時。



ズワォッ!



突然の事であった。

ガンドラグーンとジーガロスカスタムの眼前、公園の地面が大きく盛り上がり、噴水のように土が吹き出したのだ。



「し、下かぁっ!?」



センサーが示していたのは、地下の敵だったのだ。

竜也がそう気付いた時には、「それ」は水底から顔を出した鯨のように、辺りに土とコンクリートをばら蒔きながら、その全貌を現した。


その巨大さから、二人はすぐにそれがイベントエネミーである事に気付いた。



………参加を決める前、竜也は、てっきりエネミーは単に強力なタイタンギアか、その系列に繋がる機動兵器だとばかり考えていた。


が、その茶色い装甲はタコの表皮のようにぐねぐねとうねり、その間から見える赤い筋組織のような物は血管のように脈打っていた。


装甲の質感やモールドは確かに機械のそれなのだが、それはまるで人間の体内臓器のようにうねり、脈打っている。


デスレイヴを生み出すと聞いた時には、正直半信半疑だった。

が、その機械仕掛けの肉塊を前にした時、竜也の疑念は確信に変わった。



こいつは、「生きている」。

おおよそ知りうる生物の常識からは離れているが、生物の理論である自己進化、自己再生、自己増殖を、それは機械でありながら行っている。



その、巨大な機械の肉塊から、申し訳程度につけられたよいうなタイタンギアの上半身が伸びて、こちらに向けて鎌首をもたげる。


ぎぃん。


その不気味な一つ目が、自分に挑んできた二機のタイタンギアを睨むように、怪しく光った。

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