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新天地と勧誘

男と赤く光る人は施設まで戻ってきた。

[くそ、あいつを止めなきゃいけなかったのに‥]

[お父さん、何無茶してるんだよ。あの[力]には普通の人間はそれこそマシンガンとか強力な銃器を使わないと対抗出来ないぜ。]

[あいつは俺の[子ども]なんだから、問題がおきたら俺が対処しないといけないだろう、コリー。それに、俺にはあいつの攻撃を避ける自信があった。しかしまさか、右手で攻撃すると見せかけて瞬時に持ち替えて左手で攻撃するなんて、俺はそんな技教えた覚えはないし、いったいどうやって身に付けたのか。]

[さあ、図書室の本のなかにでも書いてあったものを習得したんじゃないか。あいつならやれそうだ。ともかく次あいつを仕留めるときは俺が行くからな。]

[ああ、そうだな。俺には無理かもな。]





[ゾーイ、君って何者なの?]

ノアが問う。

[何者って言われても‥生まれたときからこうだから。確かにここらへんの人とは違うけど]

[じゃあなんで隠してたの?わざわざ隠す必要なんてないよね?]

[それは‥君のお父さんに内緒にするように言われたから。でも、これ以上は言うことは出来ない。これも秘密にするように君のお父さんに言われた。]

[いったい、ゾーイと僕のお父さんの関係はなんなんだよ。]。

[細かいことはどうだっていいじゃない。とにかく、ゾーイは致命傷を受けても治るんだからすごいじゃない?動きもとっても速いし。]

イーヴァが口を挟んだ。

[確かにそうだね。もしかしたら何か大きなことが絡んでいるのかもしれないし、これ以上言うのはやめるよ。]

すると、急にゾーイは持ってきていたバッグを手に取り、中から何かを取り出そうとしている。

[どうしたの?]

[覚醒したあとはお腹が空くの。]

ゾーイは中から固いパンを取り出しておもむろに食べ始めた。

[ああ、体が赤い光に包まれた状態を[覚醒]と言うんだね。]

[そう。]


ゾーイが食べ終わるのを待って、ノアたちは国境の柵に向かっていった。辺境なので、周りに警備兵はいないようだ。ノアたちは柵が曲がっているところがあるのに気付いてそこから隣国・クリムゾン共和国へと足を踏み入れていった。国境の先には草原が広がっていた。

[きれいね。写真で見たまんまね。]

どこまでも黄緑の大地が広がっていている。と、思ったそのとき、遠くからかすかに音が聞こえたと思うと、その音はだんだん近づいてきて‥黒い車がノアたちの方に向かってやって来た。黒い車は止まると中から見慣れない黒い服(ノアは後でそれをスーツだと知った)を着た男の人が出てきて、

[ノアさんと、ゾーイさんですね、それと‥]

[あたしはイーヴァよ。]

[イーヴァさんですか。私は、ここクリムゾン共和国の執行官であるグウェインの、補佐官です。グウェインがあなたたちのことを呼んでいるのですが、一緒に来てくれませんか?]

[どうする?]

ノアは他の二人に聞いてみた。

[あたしは構わないけど。ゾーイは?]

[どっちでもいい。]

[じゃあ行きます。]

ノアは男の人にそう言うと、

[分かりました。では、この車に乗ってください。]

ノアたちは言われるがままに乗り込んだ。

みんなが乗ると、車はゆっくり動いて、だんだんスピードを上げた。

[すごいわ!車ってこんなに速く動くのね!]

道なき道を進む車の窓の外には草原が広がっていて、ところどころに小さな家がいくつか点在している。むこうには湖、そしてさらに奥には山が見える。

[本当にきれいね。]

[ええ、そうですよね。向こうに見える湖はラウマ湖と言って奥にあるカリウネア山が出来た時に一緒にできたんですよ。]

男の人が丁寧に説明をしてくれる。

[今からどこに行くんですか?]

ノアが尋ねた。

[ああ、お伝えしていませんでしたね。首都のテマイアに行きます。そこに国の執行機関がありますので。]



進んでいくと、途中で草原が終わり、道が出現した。周りには田畑が広がっている。田畑をしばらく進んでいると、遠くにぼんやりと黒いものが見えてきた。黒いものは進むにつれ、形をはっきりさせてきた。それは、巨大なビル群だった。それを見てみんなから歓声が上がる。

[すごいわ!こんな大きな建物なんか見たことないわ。]

[本で読んで知っていたけど、ここまで大きいとは思わなかったよ。]

[あのビルがたくさんあるところが首都のテマイアです。]

車はビル群の中に入っていった。テマイアの道は、田畑の周りにあった道よりも整備されていてきれいだった。人と車の喧騒はノアたちにとって新鮮だった。イーヴァは物珍しそうにキョロキョロして、ノアは食い入るように窓の外の景色を見つめ、ゾーイは目の前のビルを見上げるように見ていた。しばらく車で走っていると、正面に、ひときわ巨大なビルがあるのが見えた。

[あそこに見える大きな建物が、国の執行機関で、[デリポリ]と呼ばれている建物です。そこにグウェインがいます。]

男の人は説明を加えながら、車をデリポリに近づけていく。デリポリの敷地の入り口の前に小さいゲートがあってその横に、人と同じくらいのサイズの機械があった。

[いったいこの箱はなんなのかしら。]

[デリポリに出入を管理するシステムですよ。]

男の人は懐から出したカードをその機械にかざすとゲートが開いて車は敷地に入っていった。敷地の中には白線が引いてあってその間に車がたくさん並んでいた。これが駐車場か、ノアは本で読んだことはあるが、実際に見るのは初めてだった。その奥にはトンネルがあって建物の地下に続いていた。建物の地下も駐車場になっていて男の人は適当に車を止めた。

[では、行きましょう。]

男の人はそう言うとノアたちを車から出るように促した。ノアたちは歩いていった。駐車場のドアから建物に入っていくと何やら無機質な部屋の中に鉄のドアがあった。

[これはなにかしら?]

[エレベーターと言って階段を使わなくても高速で上の階に行ける機械ですよ。さあ、乗りましょう。]

ノアたちはエレベーターに乗った。体が浮くような感じがしたと思ってるうちに上の階についてしまった。エレベーターを降りると右側に窓のついた通路があって窓の外には幾多のビル群が広がっている。ノアは、ビル群の後ろに壁があってその後ろに黒っぽいものが広がっていることに気づいたが、それを男の人に尋ねる前に彼は言った。

[この先にグウェインが待っています。どうぞ入ってください。]

そう言いながら、男の人はドアを開けた。


[失礼します。グウェインさん、ゾーイさんを連れてきました。]

[マイルズ、ご苦労だったね。やあ、君がゾーイかい?君は不思議な力を持ってるそうだね。君のことはノアのお父さんから話を聞いてるよ。]


[え?なんで僕のお父さんのことを知ってるの?]

[ああ、彼とは大学の同級生だったからね、今でも手紙でやり取りをしてるんだよ。それで、本題に入ろう。マイルズ、ルーファスを呼んできてくれ。]

[はい。分かりました。]

マイルズは奥の部屋のと向かって中からルーファスを連れてきた。

[ほー、君がゾーイか。どうもだ。ノア、君のお父さんとは大学生の時に仲良くさせてもらったよ。]

[ということはこの3人はみんな大学の同級生なんだね。]

ノアが言った。

[そうだ。では、話を始めよう。話題は他でもないゾーイについてだ。君が傭兵になるという件についていい話がある。ルーファスが彼の経営している傭兵団に君を引き入れたいということだ。あとは頼んだ。ルーファス。]

[分かった。私はサンクトール傭兵団の団長を務めているのだが、私の傭兵団に君を誘いたいのだが、どうだろう?本来は推薦状がないと入れないことにしてるんだが、君の力は特別だ。ぜひ、入ってもらいたい。]

[この二人も一緒に入れる?]

[あ?ああ。もちろんだとも、そうでなかったら、皆を呼ばないだろう。]

[みんな?いい?]

ゾーイが問いかける。ノアはこの旅を始めたときは、案内だけしてすぐに帰ろうと思っていたが、めちゃくちゃ強いゾーイの元だったら下手に戻るよりも安全なんじゃないかと思って、それに少しぐらいスリルのある冒険もいいかなと思い始めてゾーイについていこうと心に決めていた。正直ノアはここまでゾーイが自分達のことを必要としてるなんて思いもしなかった。だから少し嬉しかった。イーヴァは傭兵団というのがどういうものかは知らなかったが、この弓矢の腕前を使えるんだったら何でもいいと思った。それに、すごい力を使ってるゾーイを間近で見たいとも思った。それぞれの理由でみんなゾーイの申し出を承諾した。















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