第6話 乙女の願い3
ギャグはどこ?ここ?
「あのグズ…アンナはまだ帰ってこないのかい!!!」
クレアがまた癇癪を起こしている。
昔はもっとお淑やかで清楚だった君。
やはり時の流れは残酷だ。うら若き乙女も時が経てば醜態な牝豚と化す。
「なに、すぐに戻ってくるさ。あの子には帰るところなんてありゃしない。また村総出で探し回ればいいさ。」
この村で私は狩人として一目置かれている。私の一声でなんでもする奴らだ。村長ですら私の前では頭が上がらない。
当たり前だ。俺がいなきゃこの村は二年前に無くなっていたんだ。
―――ラグナロク。
王国の聖女が神から賜われたお告げにある。
お告げではこの先王国に永久の冬が来るとの事。今までなりを潜めていたモンスターが活発になり村や町を襲うだろうと仰られた。
それまで愚直に狩人として全うしていた俺はこのお告げを利用してある一つ計画を練った。クレアの姉夫婦エクセル夫妻の殺害。モンスターが活発化している時だからこそそれを利用しない手はない。そしてクレアの姪にあたるアンナの存在。前からあの美しい可憐な娘をどうにかして手に入れたかった。
私のモノにしたいそんな欲求が日に増して強くなったが故、私は実行に移したのだ。
まずはこの日のために仕事の合間に調教しておいた荒野狼をエクセル夫妻に襲わせた。
荒野狼は並の人間では太刀打ちできないモンスターだ。村では荒野狼が出たと大騒ぎしている。
私はタイミングを見計らって村長に討伐を申し出た。そして、アンナだけ救い出した。その時の夫妻の安堵のしようったら我ながら滑稽に見えた。自分の命より娘の命が大事か。なおさらアンナに対しての支配欲が湧いた。
夫妻が荒野狼に襲われてこの二年間、クレアでは満足できない私はアンナだけを求めるようになった。エクセル夫妻よ。私の為にあのような天使を授けて頂き改めて感謝するとしよう。ククク………
―――なにがクククだ。変態ロリコン野郎。
……っ!?
後ろを振り返ると誰もいないはずの私の部屋に少女が立っていた。
「誰だ!!!貴様は!!!」
あたいかい?………あたいだよ!!
一瞬哲学的問答を垣間見たが、そんな些細なことはどうでもいい………美しい。
艶やかな黒髪はスラッとストレートにおろされていて、神秘的な印象を与えるやや吊り目の美少女。もう誰かなどどうでもよくなった。アンナなんかとは比べ物にならないくらいの美少女がそこにはいた。―――手に入れたい。
「……おお、神よ。このような美しい可憐なお…ド!?ヴェ!!!グェェ!!!」
やべぇ…あまりに気持ち悪かったからグーパンしてもうた……
「姉御の気持ち良く分かるでち…」
アンナの言っていた変態ロリコン野郎はあんただね!!
「確定してないのに殴ったんでちか!?さすが姉御!!そこに痺れる憧れるゥでち!!」
不意の一発を入れられた男がよろよろと立ち上がると恍惚な表情を浮かべていた。
「アンナのお友達かい?随分と刺激的な挨拶をしてくれるね?」
ハアハア言いながら笑みを向けるヴェルに思わずあたいは反射的に距離をとった。
「キモっ!?」
「姉御のパンチでハアハア言うなんてクソ変態でちね」
「お褒めに預かり光栄だ。麗しき乙女よ。さて、君はアンナのお友達でいいのかい?アンナは何処にいる?」
ヴェルは恍惚な表情そのままに問いかける。
そこにいるさ。―――アンナ!!!
「ああああぁああ!!!」
ヴェルが少女の叫ぶ方に目を向けるとそこには愛しの娘が錆びたナイフを腹に突き刺していた。
「な…ぜ…」
何故だって?自分の胸に聞いてみたらどうだいロリコンスペシャル野郎が!!
そうか………私の愛が……
届いていなかったのか。