第3話 薄幸の美少女
※胸くそあり
2019/10/14 10:55改稿
―――アンセルム王国 王都アンセルム郊外にある村【サヘル】
「まったく、アンタは本当に使えない娘だね!!!」
激昂した叔母さんの平手が私に飛んできた。
脳が激しく揺れ一瞬意識が途切れたものの倒れた衝撃と後からやってきた激痛で再び意識が戻る。
ふと顔を上げると前にはこちらを睨む女性が立っていた。
身寄りの無い私を引き取ってくれたクレア叔母さん。
まるで汚物でも見るような目で見つめる叔母さん。
後ろでほくそ笑むヴェル叔父さん。
両親が不慮の事故でこの世からいなくなって直ぐに引き取られた唯一の親戚だ。
かれこれ二年間この家に身を寄せているけど、正直苦痛でしかなかった。
朝、日が昇る前には村はずれの井戸に行き水を汲み取り、叔母さん達が目覚める前に炊事洗濯を終わらせる。
叔母さん達が起きるまでに終わらなかったら折檻。
ご飯が美味しくなかったら折檻。
服を傷つけたら勿論折檻。
それが終われば後は一日を使って家の掃除、畑の世話と日が暮れるまでこき使われる。
寝床は厩舎で家畜と一緒に寝る。
日に日に辺りが強くなるにつれて何度も家から逃げ出そうと試みたが、その度に叔母達は村長の所へかけ寄りやがて村総出で探しまわられやがて見つけられる。
村では外面の良い叔母さん達は私を連れて帰ると徹底して仕置きした。
「誰の為に置いてやってると思っとるんだい!!このグズ!!」
私の髪の毛を掴み鬼の形相で睨む叔母さん。
「まあまあ、そのくらいにしてやりなさいクレア。彼女もまだ子供だ。いずれ分かってくれるだろう。」
後ろで傍観していた叔父さんが叔母さんを宥めた。
叔母さんより恐ろしいのはこの男だ。
両親が亡くなった日、唯一の生き残りだった私を〝助けてやった〟とこの男は言った。
決して優しさからではないのは知っている。
私の全身を舐め回すかのような粘っこい視線、私はこいつに辱められる為に生かされたんだ。
「アンナ、後で私の部屋に来なさい。」
叔父さんの言葉は死の宣告より恐ろしかった。
まだ叔母さんに叩かれていた方がマシだ。私は覚悟を決めて懐に忍ばせていた物の存在を確かめる。
(お父さん、お母さん………待っててね。)