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彼女は、雨と共に。  作者: Sharp♯
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第四章:豪雨

 時は一月。ついにセンター試験が迫ってきた。周りの皆は、必死になって勉強している。春弥もその一人であった。だが相変わらず、レインとの会話は欠かさなかった。



「はぁ、初めて会ってからもうずいぶん経つね…」



レインは空を見上げて、相変わらずの口調で呟いた。



「俺も結構成長したよ、レインのおかげだよ」


「わかるよ、シュン君、最近なんか生き生きしてるもん。あの時とは全然違う、良いね、成長できるってさ」


「そっか、レインは何年経っても同じ姿なんだっけ?それもいいじゃん、年を取らないなんて」



レインは笑って首を振った。



「そんな事ないよ、時間が無限にあるようなもんだもん。周りにいた人がどんどん居なくなっちゃうのは辛いよ」


「そっか、俺もいつか…」



春弥は、ゆっくり流れる分厚い雲を眺めながら言った。



「さあさあ!暗い話題はやめてさ、もっと明るい話しようよ!未来とか…そうだ、シュン君将来何になりたいの?」



突然明るくふるまうレインのテンションに付いていくのは、いつまで経っても春弥には難しかった。



「教員になろうと思ってるんだ」



一昔前の自分は、こんな事は考えもしなかっただろう。接客業どころか、人とのかかわりを持つ仕事を嫌っていた自分が、まさか多くの人との関わりを大切とする職を選ぶとは。



「成長してるねー、良いじゃん良いじゃん!どう?大学とか、良いとこ行けそうな感じ?」


「まあ、おかげさまでね。もう一つ上のランクの大学を目指そうと思ってるんだ。まだ頑張らなきゃいけないよ」



春弥は恥ずかしそうに鼻を擦った。



「そっか、妥協しない所がシュン君の良いところだね!ぜひ頑張ってさ、楽しい未来を手に入れてよ!」


「うん、ありがとう。…明日からまたしばらく雨が降らなさそうなんだ。それまでにもっと勉強して、試験、成功させてみせるよ」


「がんばってね」



春弥とレインは、またね、とお互いに手を振って、その場を後にした。



 それからしばらく、予報通り雨は降らなかった。


センター試験も大成功し、春弥は自信にあふれた生活を送ることが出来た。早くレインに合って、この自信にあふれた自分の姿を見せてやりたかった。それに、色々と話もしたかった。


しかし、雨は中々降らなかった。

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