表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人を結ぶ赤い有刺鉄線  作者: 赤砂多菜
第一章 Missing
7/53

第06話

 週末まで亜矢に避けられ続け、結局修平に謝る機会はなかった。

 といっても、何を謝ればいいのかと言われると頭を抱えるしかなかったが。

 で、週末当日。

 デート場所を指定したのは美月だった


「遊園地ってベタ過ぎないか?」

「いいじゃない、楽しければ」


 心から楽しそうに言う。

 フリなんて口実で、実は遊びに来たかっただけんなんじゃないのか? とすら思ってしまう。

 そして、楽しそうな美月の顔を見て、やはり誕生日パーティを楽しみにしていた亜矢の顔が重なってしまった。

 悪かったな、亜矢。

 修平はせめてものお詫びにと貯金をはたいて買ったプレゼントを日時着指定の宅配で贈っておいた。少しでも喜んでくれるといいけど。


「どうしたの? 修平君?」


 美月が修平の顔を覗き込む。


「な、なんでもないよ」

「なんでもないって顔じゃなかったけど、まぁそれはおいといて。これ見て」

「コンパクト?」


 それはコンパクトミラーだ。

 そして言われた通り覗き込む。

 美月の意図は分かった。

 加太だ。ここまでついてきていたのだ。


「完全にストーカーだな」

「まったくよ。家の前までついて来る事もしょっちゅうよ」

「おいおいおい。益々洒落になってないぞ」

「わかるでしょ、私が強引に付き合ってって言った訳」

「……まぁな。仕方ない。せいぜい、楽しんでいる事を見せ付けてやるとするか」

「賛成っ! 分かってきたじゃない」


 美月は修平をひっぱって、乗り物へと向かった。


「ジェットコースターだけはやめてくれよ、苦手なんだよ」

「えー。面白いのに、スリルがあって」

「俺は日常にスリルは求めてないんだよ」


 むしろ、平穏を望んでいる修平だが、それはしばらく遠ざかりそうだ。



*---*



「じゃ、ここで」

「あ、送ってくよ」


 遊園地からの帰り道、分かれようとした美月を修平は止めた。


「もしかしたら、まだ加太が付いて来てるかもしれないだろ」

「いいの?」

「ん? どうしてだよ?」

「今日、亜矢ちゃんと何かあったんでしょ、ほんとは?」

「よく分かるな」

「だって顔に書いてあるもの。分かり易すぎ、修平君」

「今更遅いさ。本当は今日あいつの誕生日パーティーに行く約束してたんだよ」

「ちょっと、なんでそれ言わないのよ」

「言ってどうするよ。

 どっちにしろ亜矢の機嫌を損ねちまってるしな。

 まぁ、プレゼントだけは送っておいたから、それの効果に期待するさ」

「……もしかして、亜矢ちゃんって、修平君の事が好きなの?」

「さぁ? 聞いた事ないし、告白とかそれらしい言葉もない。

 小学校からずっと一緒だからな、お互いいまさらって気もあるんだろうな。

 兄妹ってほうがしっくりくる」

「そう……、そういう関係もありなのかな?」


 美月の返事は少し疑問形だった。


以降、各話毎週金曜日更新

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ