表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人を結ぶ赤い有刺鉄線  作者: 赤砂多菜
第四章 Witch
51/53

第02話


「えー、まだ会えずじまいなの?」


 呆れたような美月の声。


「……まぁ、分からなくもないけどね」

「え、なぜ?」

「あいにく女にしか分からないことよ」

「なんだよ、それ」


 頭を抱える修平。

 だが、ふと見覚えのある人物がロビーを歩いているのを見つけた。


「祐介さん」

「よお」


 声をかけるとこちらへ歩いてきた。

 今日はカジュアルスーツではなく、フォーマルスーツで決めていた。

 どちらでも似合うのは祐介がいい男という証明だろうか?


「亜矢のお見舞いですか?」

「まぁな。それとついでにお前の様子も見にな」

「……俺ですか?」


 祐介は名刺ケースから一枚取り出し、修平に渡す。

 意味が分からない修平に、


「俺のところで働く気はないか。無論、学校を卒業してからでいい」


 修平はもちろん美月も仰天した。


「ちょっとっ! あなたの事は聞いてるわよ。修平君を危険な世界に引き込まないでよ」

「お嬢さんが思ってるほど危険じゃないさ。別に今は法に触れる事はしていない。グレーゾーンには手をだしているがな。

 ……結局の所、それが東石と袂を分かつ原因でもあるんだがな」

「あの人は、法を犯す道を選んだ?」

「そのほうが金になるからな」


 そして、祐介はにやっと笑った。


「そして、そんなあいつを正面から引かせたお前はちょっとしたヒーローになってるぜ」

「え? なんですか、それ」

「今、街に出てみろ。お前をスカウトしようって連中がぞろぞろ出てくるぞ」

「マジですか」


 修平は天を仰ぐ。


「まぁ、俺の所で働くかどうかは別として、たまには健二と遊びに来い。メシぐらい奢ってやる」


 そう言って祐介は行ってしまった。


「あの人が言ってたブローカーよね」

「うん」

「なんか見えないけど」

「そりゃ、ブローカーが普段からブローカーらしくしてたら、怪しまれるからじゃないか?」

「そんなもの?」

「いや、適当に言っただけ。自信ない」


 そもそも、祐介と東石以外のブローカーと会った事がない。


「それよりさ、美月はいつまで入院してるんだ?」


 両足を失っているといっても傷自体は完治している。

 検査等もとっくに済んでいるはずだ。


「家の改築が終るまで」


 美月の返答はあまりに予想外だった。


「車椅子でも不便がないようにって、今家をリフォーム中なのよ。

 エレベーターとかつけるらしいけど」

「……エレベーターって、普通自宅につけるようなものか?」

「だから言ってるでしょ、お花畑だって。やる事が普通じゃないのよ」

「でも、よくそれで病院が納得するなぁ」

「まぁ、病室が埋まってる訳じゃないしね。

 お父様とここの院長が知り合いだってのもあるし」

「……でも、亜矢の方が退院は先なんだろうな」


 何気とも無しに口に出た。


「でしょうね。修平君はあきらめないの?」

「どっちの意味で?」


 亜矢に会う事自体か。亜矢そのものか。


「どっちも」


 修平は嘆息する。


「とりあえず会ってもらえない事には先に進めないから、その先の事はあまり考えないようにしてたんだけどな。

 でも、また同じ過ちを繰り返す前に決着だけはつけなくちゃならないよな」

「決着……か」

「亜矢も俺も、何もなかった頃とは変わってしまったから、正直どうなるか自分でも分からないよ」


 美月の小さな呟きは修平の耳には届かなかった。


「彼女にも決着が必要なんでしょうね」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ