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二人を結ぶ赤い有刺鉄線  作者: 赤砂多菜
第三章 Road
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第12話

 運ばれて来た料理が並び終わったところで祐介が言った。


「では、拝聴しようか? 話したい事があるって事だったな」

「正確には話したい事と、お願いしたい事ですね。

 お願いしたい事は、話したい事に対するあなたの反応次第ですが」

「伺おう」


 わざとらしく祐介は謙るが、修平はたじろがなかった。


「実はその前に確認したい事がありましたがどうやら必要なくなりました」

「なぜ?」

「先ほどのお話に出てきましたから。”ヤクザを引き継いだ”事とあなたが”人や物を調達”するのがお仕事である事」

「で?」

「”ヤクザを引き継いだ”事の中には当然ありますよね、麻薬の売買」


 祐介の目が鋭い光を放つ。

 健二はオロオロとしているが、修平は相変わらずたじろがない。


「ウィッチを引き継いだのは誰なんです? あなたではない事は分かってます。

 でなきゃ亜矢への態度が説明がつかない」


 祐介はしばらく黙ったまま修平を見つめていたが、やがて嘆息した


「ウィッチそのものは、引き継いだ時にはなかった。あれは比較的新しいからな。

 麻薬の売買そのものは引き継いだ。正直気がすすまなかったが、断ればこちらの身が危なかったからな。

 だが、しばらくして事故が起きた」

「事故?」

「部下が麻薬に手を出しちまったのさ。

 壊れるまであっという間だったよ、裏の世界の右左も分からん状態から仕込んできた奴だったんだが」


 その時の光景を思い出すように祐介は目を瞑った。


「その時に今更ながら思い知ったのさ。自分の扱ってるものの恐ろしさに。

 危険を承知で俺は手を引くつもりだった。だが、続けるべきだと主張する奴もいた。

 俺の右腕と言って良い奴だったんだが。麻薬の類は動く金額の桁が違う、のし上がるなら続けるべきだとな」


 再び目を開いた祐介の目には先ほどまでの鋭い光はなかった。

 どちらかと言えば疲れたような目をしていた。

 彼はテーブルの料理に手を付け始める。


「結局、どうなったんですか」

「……そいつと袂を分かつ事になった。俺は麻薬から手を引き、奴は麻薬だけを扱うようになった。

 そして、ウィッチなんてもんが登場した訳だ。

 お前さんが聞きたがっていた奴は、かつては俺の右腕であり、今はウィッチ専門のブローカーとなった東石という男だ」


 修平や健二も彼に倣うようにして料理に手をつけ始めた。

 しばらくは、沈黙が続いたが修平が口火を切った。


「今までの話を聞いて、一つ疑問があります」

「なんだ?」

「あなたと亜矢の関係です。あなたと東石という人はあまり良い関係ではないはずです。

 なのにあなたはコンパニオンである亜矢を買っている。

 情報が東石という人に伝わってないんですか?」

「いや、伝わっているだろうさ。

 確かに奴とは反目してるが、だからといって客として亜矢を買っている以上、あいつには手が出せん。

 だが、逆に言うならば俺には亜矢に対して客以上の事が出来ないという事だ」

「本当に出来ないんですか?」

「どういう意味だ?」

「あなたには力がある。

 東石という人との力関係は分かりませんが、わざわざ客として亜矢を買いその日だけウィッチを使わせない。

 その部分がどうしても俺にはひっかかるんです」

「何事にもルールがある。

 確かに強引に亜矢を引き抜く事それ自体は出来る。

 だがな、その事に対して奴はかならず”落とし前”を要求してくるだろう」

「”落とし前”ですか」

「ああ。先にシマ争いは発生しないとは言ったが奴と俺の場合は話が別だ。

 なにせどっちも同じヤクザからシノギを引き継いでる訳だからな。

 大本のヤクザにとっちゃ、俺と奴どっちがシノギを代行しようと問題はないんだ。

 亜矢を引き抜けば必ず奴は言うだろう、”落とし前”としてシノギをいくつかこっちによこせ、とな。

 だが、おれには食わせていく部下がいるし立場ってもんもある。おいそれとシノギを持ってかれる訳にはいかんのさ」


 そして、自嘲するように付け足した。


「お前は俺に力があるというが、それには相応の対価がつく。そういうもんだ」




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