少年「リクト」
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声が聞こえる
とてもあたたかく、優しい声が・・・・・・・・・
何かが優しく包んでいるのが感覚でわかるが、それが何かはわからなかった
己が何者であるのかは分からなかったが、その声に含まれる優しさで己が望まれているものだと分かった
己が何者でこの温かく優しい感覚が何かもわからず、後にわかる事だがなぜ己に自我があり考えれるのかもわからなかったが、今はただこの優しい感覚に包まれていたかった
声が聞こえる
ただただ、己が存在を望む声が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ただただ、己が誕生を望む声が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ただただ、己が未来を望む声が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ただただ、これから先の未来への希望の声が・・・・・・・・・・・・・・・・・
ただただ、幸せそうな声を聞きながら己は眠りについた・・・・・・・・・・・・
己が世界に誕生し、人として祝福される日を待ちながら・・・・・・・・・・・・
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蒼麗世界「アスガルド」
突然現れた遺跡により人々の生活圏は自然と遺跡周辺へと移動していったが、遺跡周辺への移動をせず昔からの村で生活をする人々もいた
遺跡への出現により人の持つ加護の、転生によって人々の生活は安定し始め、魔物からとれる魔殻により人々は自分たちの力を強化しさらなる発展をとげた
魔殻には魔物たちの力の結晶である魔素が高密度で凝縮されていることが分かり、人々はその魔素を自分たちの力に還元できる装置を作り出した
それによって人々は己の力をレベルにより管理することで、遺跡探索時の安全規格を作り出し無駄な犠牲を出さないようにする事に成功した
また魔殻そのものを加工して、その魔殻の元になった魔物が持つ力を魔殻から再度具現化しコントロールすることに成功し、それを魔殻具と名付けた
そして魔殻具を元に人がさまざまな力を使えるようにするため、魔殻具を研究し魔殻にある一定の指向性を持たせることにより今まで出来なかった事も出来るようになった
人々はその素晴らしい道具を使うことにより、今よりも快適な生活を送っていった
・・・・・・・・・・・この黒と灰色で覆われた空が、もとは青空だった事を忘れて
豊かな森林と、草花に覆われた場所にその村はあった
昔は魔物と共に生活をし、人と魔物が互いの生活を補ってきた平穏な村だったが遺跡の出現により魔物との生活はできなくなり、今まで魔物に任せてきた事も全て人の手でおこなうようになった村だ
魔物に任せてきた仕事を人がする為に、村の人々は転生の泉に足を向け転生をする事により今まで生活を送ってきた
しかし実際に転生には、己が存在を転生させるため唯人としての生を終えるため、それ相応の痛みを伴うためごく少数の者だけが転生し後の人々はその人たちと助け合いながら生活していた
そんな村の中に一人の少年が空を眺めていた
髪はまるで、古くまで使われた剣のように灰色で瞳は昔の空の色の様な青色をし、目は少し鋭い将来を期待できる容姿をした、おおよそ年齢が7に達するかどうか位の少年だった
少年はまだ幼いためか、村や家の仕事をせずとも誰にも怒られる事は無かった
「・・・・・・・・・・・なぜ僕はこの空を見ていると寂しい気持ちになるのだろうか。
この黒と灰色の空は何か違うような気がする。」
少年がぽつりとつぶやいた声は誰に聞かれる事もなく消えていった
「・・・・・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・-い!!」
「・・おーー・・・--い!!」
誰かの声が聞こえたのでそちらを振り向くと、少年と同じくらいの女の子が手を振りながら走って近づいてきた
「リクトーーー。やっと聞こえた?
さっきから呼んでるのに全然聞こえて無かったみたいだね。」
リクトと呼ばれた少年はその少女を改めて見直した
セミロングの優しい感じのするオレンジ色の髪と、ぱっちりとした目、すっきりとした鼻立ちは誰が見ても将来が楽しみな少女だった
リクトより年齢が1つ上であることを知っているその少女は、まるでひまわりの様に笑顔を浮かべ、少年からみても可愛いと思えた
「どうしたのエリー?」
その少女エリーに、リクトは尋ねてみるが自分自身にはこれといった心当たりがないため正直なぜ呼ばれていたのかわからなかった
「あのね、おじさんがこの前お願いしてた事を教えてくれるって!」
リクトは、エリーの言うおじさんが自分の父である事がわかっていたため、その言葉と共に驚きと嬉しさが湧き上がってきた
リクトの父、ガイウスは村でも数少ない転生者だ
剣士である父は、村の自衛団のリーダーでもあるためサバイバル技術や剣技、また若い時には遺跡にも行った事があるらしいので、リクトは父に頼みこんで教えを請おうとしたが父には常にお前にはまだ早いといわれ断られ続けてきた
その父がこういったという事は、ついに自分に剣技やサバイバル技術など様々な事を教えてくれるのかと心を弾ませたが、なぜエリーがその事を知っているのかが疑問だったため、素直に聞くことにした
「なぜエリーが僕が父さんに剣を教えてほしいって知ってるの?」
そう聞くと彼女はまるでいたずらが成功したかのように笑い、こう答えた
「だって、リクトがガイウスさんに何かお願いしてるのは、村中の人が知ってるよ。
リクトは知らなかったかもしれないけど、おじさん嬉しそうだけど困ってたみたいだったよ。
『おれは剣士だから、あいつが剣を教えてほしいって言われて嬉しかったが、あいつはまだ小さい。もう少したってから教えようと思う』って、よくみんなに自慢するみたいに話してたもん。
だから、私もガイウスさんに教えてくださいってお願いしたら、仕方ないなって言って教えてくれるって言ってくれたもん。」
「どうしてそこで、だからって出てきてエリーも一緒にお願いするんだよ。」
リクトは少しため息をつき呆れながらエリーにそうかえした
「だって、リクトだけするなんてずるいもん。
リクトがするなら私が一緒に教えてもらってもいいじゃない。
だからお願いしたの。」
その答えにリクトは内心、「エリーらしいな」っと思った
「わかった。
それじゃぁ、父さんに一緒に教えてもらおう。
これから教えてもらいにいってもいいのかな?」
リクトの返事にエリーは気を良くしたため、笑顔で話した
「うん、そうだった。
ガイウスさんがこれからすぐにでも教えてくれるから、リクトを連れてきてって言ってた。
私一人に教えるとリクトすねるだろうからって。」
「すねるって・・・・・・・・
そんなことしないよ。
とにかく、僕を連れて来いって言ってたんでしょ。
どこに行けばいいの?早く行こ。」
「えっとねー、リクトのお家の庭でするって言ってたから、リクトのお家に行けばいいと思うよ。」
「思うよって・・・・・・
まぁいっか、とりあえず家に帰ってみて父さんがいればそのまま教えてもらおうか。」
「そうだね、とりあえず行ってみよ。」
「よし、それじゃぁ早く行こう。
父さんが待ってるかも。」
その言葉と共にリクトは駈け出して行った
その顔には今までお願いしていたことが叶うからなのか、笑顔が浮かんでいた
「待ってよーーー。
私も一緒にするんだから、一人で行かないでよー。」
そう言ってエリーも駈け出した
二人はこれから始まる事を楽しみに思いながら、笑顔でガイウスの待つであろう場所に走って行った
やっと主人公登場
人物描写がすごく難しくて、簡単な感じにしかできないorz
次話も頑張って書くぞ!!