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第2話;気まぐれな狂気の爆弾魔

遼牙は給料を貰えない分、その貰えない元凶となっている洸太からたっぷり稼がせてもらった後、時計を見てみると針は九時半らへんを指していた。そこで遼牙は折角貰った金で朝飯兼昼飯を済ますため、先程貰った茶封筒を持って事務所を出た。部屋を出るとすぐに廊下になっており、遼牙はその廊下の突き当たりにあるエレベーターに乗り込む。時折停止するボロエレベーターに揺らされながらも、無事一階の簡素なロビーに着く。


「さて。久しぶりにあいつのとこにでも行くか。」


そう言いながら遼牙はロビーを出て、物静かな裏路地出ると、そのまま大通りの方へ歩いていく。この遼牙の寝床兼職場の「銀野相談事務所」は大通りから外れた裏路地にひっそりと佇み、コンクリート色の何の飾りもない外装のビルの四階に存在する。立地面と見た目の両面で目立った所が全くないので、お得意の客やメンバーの知り合い以外、一般人で知っている人は少ない。まぁ、一部ではかなり有名だったりするのだが。もちろん悪い意味で。総所員五人――内一人バイト扱い――で、総収入はそこらの企業を遥に上回る程(殆ど修理代に当てられるが)。更に数週間前の検挙では、途中参加にも関わらず絶大な働きをしたとのことで、依頼を受けていたとこよりも依頼主(政府のお偉いさん)に感謝される始末。結局他の企業などからは目の敵にされ、気嫌われている。その為、血の気の多い奴等や調子に乗ってる警備職に入りたての新入社員や自分の力に過信し過ぎの馬鹿に絡まれることがしばしばある。まさに今の状況そのものだ。


「おい!貴様光崎遼牙だな?」


「いえ、人違いです。」


大通りに出て、朝食をとるために旧友が営業している店を目指していたのだが、なぜか途中で、黒いスーツ姿のゴッツイおっさん×5に声を掛けられてしまった。


―はぁ……朝飯前に争い事はしたくないなぁ。心優しい誰か助けてくんないかな。ってかそこのサラリーマン!こっちチラ見しながら早足で逃げていくなよ!助けろよ!


遼牙はやる気なさげな目で五人を視界の端に入れながら、逃げたサラリーマンを睨みつける


「ありました顔写真!間違いありません!こいつが狂気の爆弾魔クレイジーボマーの光崎遼牙です!」


一番後ろにいる、周りの奴らに比べたら少し小さいおっさんが、持っていたバックの中から取り出した一冊の冊子を開きながら叫ぶ。


―なにあれ……ブラックリストかなんかですか?本当にめんどうなことやってくれるな。

これじゃ逃げ場ないじゃんかよ。ってかその通り名嫌いなんだけど


「はぁ……できればその名で呼んでほしくないんだけど」


「おいてめぇふざけてんじゃねえぞ!うちの会社のブラックリストに入った以上、生きていられると思うなよ!」


「聞けよ」


最初に声をかけてきたリーダー的な感じのおっさんが、今度は怒気を含ませて、遼牙を脅しながら、一丁の拳銃を取り出す。そしてそれに倣うように他の奴らも各々の武器を取り出し始める。その瞬間、周囲は緊迫した空気に包まれた………


「すいません。腹も減ってきたんで帰っていいですか?」


が、遼牙は全く気にしない。


―俺はとにかくさっさと腹に何か入れたいんだよ。空腹時に戦闘なんかしてられっか。


「いいわけねえだろ!!」


「はぁ……誰か助けて~。」


遼牙はこれで何度目になるか分からない溜め息をつく。


「なぁ、本当にこいつ光崎遼牙か?誠也さんやルービルさんの話だと恐ろしい悪魔だって言ってたけど、これじゃどう見ても悪魔なんて柄じゃねえぞ。」


「たしかに。何らかの手違いでこいつがリストに載っているってこともあり得るしな。」


―おおっ、あいつら良いやつじゃないか。そうだそうだ!もっと言ってやれ!


と、遼牙は内心リーダーの奴の後ろにいる二人のおっさんに心の中で精一杯エールを送る。


「でもよ。手違いだとしても載っているって事に変わりはないんじゃないか?」


「それもそうだな。この手違いを上に報告しなければ、この腰抜けを消すだけで、ブラックリスト入りの奴を消したってことで大手柄だ。」


―えっ、なにそれ!?まさかの裏切りか!


「つーわけで、俺たちの昇格のために死んでくれ!」


―ふざけんな!理不尽すぎだろ!


五人の濃いおっさん共はそれぞれの武器を構え、二人が突っ込んできて三人が遠距離からいきなり攻撃を開始し始める。


「ったく……しゃあねえな。相手になってやるのはいいが、最近暴れたから手加減間違えるかもしんないから、そこんとこよろしく。」


遼牙はまるで銃弾が見えているかのような体捌きで弾を避わし、左の袖に手を入れ二本のナイフを取り出す。しかしその回避行動が読まれていたらしく、遼牙の回避ルートに拳大の石礫が流星雨のように降り注ぐ


「うぉ!発現者かよ」


―……念力能力サイコキネシス……いや騒音能力ポルターガイストか?まぁどうでもいいや。とりあえず邪魔だから先に消すか


遼牙は姿勢を低くし、邪魔な流星雨をだけをナイフで斬り裂きながら凄まじい速度で騒音能力ポルターガイストの男の懐に入る。


「まず一人目」


遼牙は逆手に持ったナイフで男の右脇腹から左の肩口まで一瞬で斬り裂く。男は傷口から真っ赤な飛沫を上げて倒れる。幸いナイフ自体がそこまで長くなかったため、男の体は二つに分離せずに済んだが、このまま放置しておいたらものの数分で絶命するだろう。


「畜生!てめぇよくもやったな!」


「はぁ、なんでいつも面倒事に巻き込まれるんだろ。」


遼牙はナイフを持って突っ込んできたおっさんたちの攻撃を左右に捌いて、一人は足をかけ転ばせる。そして転ぶと同時にそのおっさんの後頭部に踵落としを入れる。それと同時に、逆側に捌いた男の背中にナイフを突き刺して腹部を引き裂き、返り血を極力浴びないように、引き裂くと同時に大きくバックステップしてその場を離れる。そして着地と同時に、他の男たちよりも一歩後ろにいた二人に向けてナイフを投擲する。


「ゴブッ!」


最初に踵落としされたおっさんの頭がコンクリにめり込んでいたが遼牙は無視。腹を引き裂かれ血だまりの中心で倒れているおっさんのことも無視。投擲されたナイフが腹部辺りに凄まじい勢いで突き刺さった二人は、二三メートル後方に吹き飛んだがそれも無視。


「ふぅ、このぐらいなら余裕だな。」


遼牙はポケットからハンカチを取り出し、上着についた少量の返り血を拭き取る。


「ったく、ろくに実力もないくせに喧嘩ふっかけてくるんじゃねえよ。相手が俺じゃなか

ったら皆殺しにされちまうぞ―って聞いてないか。」


五人とも地に伏していて動く気配が全くない。


「まっいっか。めり込んでる奴は気絶してるだけだし、ナイフでやった奴は…………気にしない方向でいこう。それより何より」


グゥゥゥ……


「腹が減った。」


遼牙は刺さっている二本のナイフを回収し、めり込んでるおっさんに近づいてしゃがみ、血の付いたナイフを服で綺麗に拭き取り袖の中に戻す。そして遼牙は立ち上がり、所々に出来ている真っ赤な水溜りを避けながらその場を離れる。ちなみに救急車はすでに携帯で呼んである。


「はぁ、要らん所で時間を食っちまったな。」


遼牙は深く溜め息をつきながら空を見上げる。


―青々と広がる空、フワフワと浮かぶ白い雲、光り輝く太陽。だけどこれはすべて偽りの物。エクシオンの進行に恐れを生し、地下空間に逃げ込んだ俺達人間が作り出した人口の物。ガキの頃はこれがずっと本物だと思っていた。だから、本で偽りの物だと知った時は衝撃的というよりも絶望に近い感情を抱いたのをよく覚えている。周りにいた子供たちや大人だけからではなく、この世界にも裏切られた気がして。だが、今はこの偽りの空も人口の太陽もなかなか悪くないなと思える。理由は分からない。いつからそう思うようになったのかも分からない。ただ


「今日も良い日だな。」


遼牙は今思った事を素直に呟きながら呑気に街を歩く。







遼牙はとある古い店の前にいた。もう少し詳しく言うと、その店の扉の前にしゃがみ込んでいた。更に詳しく言うと、針金を使いその店の鍵をピッキングしている最中であった。この状況からして開店前だという事が容易に窺える。


「よし、開いた。」


遼牙はドアを開け放ち、堂々と開店前の店に入っていく。


「すいません!まだ開店前なんですけど―ってお前かよ。」


「よう尚太。腹減ったから食いもんだせ。」


図々しくそんなことを言い、遼牙はカウンター席の一席に座る。


「ふざけんな!今すげえ忙しいんだよ!」


「忙しいだと?そんな訳あるか。この店に客が来る訳ないんだ。だから下準備なんてする必要は全くない。そうなると必然的に忙しくなくなるはずだ。」


「悲しい事実、さらっと言ってんじゃねえよ!」 


「そう熱くなるな。まずは落ちつけ。」


「誰のせいで熱くなったのか分かってんのか!?」


「まぁ細かい事は気にするな。それよりも俺は腹が減った。だからなんかだせ。」


「………駄目だ。こいつ昔っから一ミリたりとも変わってねえ。」


この定食屋の主人こと、高橋尚太たかはししょうたはカウンターの奥の厨房で額に手を当てながら深い溜め息をつく。


「安心しろ。今日はちゃんと金を持ってきた。」


「………それが普通なはずなのにもの凄く喜んでいる自分がいる」


「全く、俺に感謝しろよ。」


「ふざけんじゃねえよ!お前のツケ、どれだけ溜まってるのか分かってるのか!?」


「………三百円ぐらい?」


「それに0二つ付けたぐらいだ!本当にいい加減払ってくれよ!店潰れちまうよ!」


奥で下準備をしていた尚太がカウンターに身を乗り出し、目頭に水滴を溜めながら遼牙に真摯な悩みをぶつける。


「ガンバ~。んで、真面目に言ってるとこ悪いんだけど、そろそろなんか出さないと、俺の空腹が頂点に達して、八つ当たりとしてこの店潰しちまうぞ。」


しかし遼牙はカウンターに肘をつきながら、他人事のように全く気持ちが籠ってない応援に加えて軽い脅しを尚太にする。


「………はぁ。この手の脅し、マジで実行するからな………こいつ。」


尚太は乗り出していた身をさっと引き、大急ぎで調理に入る。


「とりあえずこれでもつまんでろ。」


そう言って尚太は青色の小皿に入ったカクテキをカウンターに置く。


―朝からカクテキだと!?まぁこれは結構好きではあるが……


「………なぁ、俺は朝飯食いにきたんだが。」


「知らん。これしかないんだから我慢しろ。」


「むぅ」


遼牙は不満げに唸ってはいるが、しっかりと箸を進めている。


「相変わらずこれはうまいな。これは」


「なにその意味ありげな言い方!?まるでこれ以外不味いみたいじゃん!」


「それは少し違うな。この店のものは決して不味くはない。ただ美味くもないだけだ。」


「すげえ中途半端だな!褒めるならしっかりと褒めてくれよ!」


「ヤダ」


「そんな端的に否定すんなよ!―っと出来だぞ。」


尚太は遼牙の前に黄金色の炒飯の入った大きめの皿を置き、尚太は厨房から出てきて遼牙の隣の席に座る。


「味はそこそこだが、出来るのが早いってとこがこの店の良いところだな。」


遼牙は早速、出来立ての炒飯に箸を付け始める。


「はぁ、おい遼牙。最近仕事の方はどうよ。うまくいってるのか?」


暇になったのか厨房から出てきてカウンタ―席の一つに腰かける


「ん、まぁまぁかな」


「あんまり無茶するなよ。お前が死んじまったら、溜まりに溜まったお前のツケ、誰が払

うんだよ」


尚太はカラカラ笑いながら言っているが、言葉には真剣みがしっかりと込められていた。


「安心しろ。俺は死にやしないし、ツケも払うつもりもないから」


「後半なんか違くなかったか!?」


「気のせいだ」


「いいや、気のせいなんかじゃない!お前ツケは払いやがれ!」


「分かった分かった。いつか払うよ」


遼牙はカクテキをつまみながら、茶封筒を開き書類を読み始める。


「っと、そういえばこの前、珠希が来てお前のこと色々聞きにきたぞ」


「珠希?誰それ」


―はて、俺の知り合いにそんなやついたか?


「おいおい、小学校の頃よく一緒にいたじゃねぇか。茶髪で男みたいに気が強かったやつ。

忘れたのか?」


「いや、忘れてはいない。ただ顔と名前が出てこないだけだ」


「世間ではそれを忘れたっていうんだよ。つーか、お前珠希と仲良かったじゃねぇかよ」


―………やべえな。欠片も出てこねえ。


「んで、そのたまおって奴がどうかしたのか?」


「名前違えよ!た・ま・き!勝又珠希かつまたたまきだよ!」


「あーどうでもいいけど、その珠希ってやつがどうかしたのか?」


「ああ、なんかお前の住所とか聞きに来たってだけ」


―住所ということは事務所に用事か。


「ふーん、じゃあその珠希ってやつがまた来たら、依頼なら大歓迎だけど、この仕事に就

くってことならはあんまりおすすめ出来ないよって言っといて。給料もろくにくれないし、

生死の保証なんてできないし、良いことなんてなんにもないしな」


「………遼牙。お前は知らないだろうが、中学入る前の失踪事件で、一番悲しんでたのは

珠希なんだぞ」


「………」


「事情を知ってる俺とかはいいけど、何も知らないまま大切な友達と引き離された、あい

つの気持ちも少しは考えてやれよ。」


「ああ、今度事務所来たら謝っとくわ」


「そうしとけ………ってそういや、お前珠希の顔覚えてねえだろ!」


「あ、そうだった」


遼牙は書類から目を外し顔を起こして、思い出したように言う。


「はぁ……可哀想だな」


「え?誰が?」


 ガラガラッ


「高橋ぃ!!いい加減金返せや!!」


遼牙の質問の答えは、乱暴に開かれた扉から入ってきたヤクザ的なおっさんの怒声によって、帰らぬものとなった。


「んじゃ、そろそろ時間だからもう行くわ。じゃあな。」


「ちょちょ待ってくれ!!」


面倒事になりそうな雰囲気を感じとった遼牙はさっさと出ていこうと席を立つが、尚太が腕を掴みそれを阻止する。


「なんで俺を引きとめるんだ?明らかに面倒事になる感じじゃねぇか」


「助けてくれよ!面倒事になる感じを感じ取ったなら助けてくれよ!」


「おい高橋!返済期限はとっくに過ぎてんだよ!だからさっさと払えや!」


「ヤダよ。俺はわざわざ面倒事に首突っ込むような馬鹿じゃないんだよ」


「酷っ!親友を助けてようとは思わねぇのかよ!」


「おい高橋!聞いてんのか!」


「依頼としてなら受けても良いぞ。その代わりちゃんと報酬は貰うからな」


「てめぇ、散々俺の店で食い逃げ働いておきながら挙句の果て報酬だ?ふざけんじゃねぇよ!」


「おい…」


「ふざけていない。この店の物は全てプライスレスだろ?だから、食い逃げなんて言い掛かりもいいところだ」


「いつから俺の店の物はプライスレスになったんだよ!!」


「てめぇら無視してんじゃねぇよ!!」


完璧に無視されていた可哀想な借金とりの堪忍袋の尾が切れ、腰から拳銃を取り出し二人に向けて乱発する。


 パンッパンッパンッ!!


銃口から飛び出した三発の弾丸は真っ直ぐ尚太の方に向かっていったが、それは尚太に届くことなく二三メートル手前でジュッ!という音と共に消えてしまった。


「なっ!」


「てめぇ……店内で発砲すんじゃねぇよ!!もし椅子とかに当たったら修理代が掛るだろが!!」


尚太はちょっとズレた怒りを纏い、左手を借金取りの方に向けて突き出す。


「ちょっと待て尚太!このままだと俺も」


「灰になりやがれ」


突き出した左手から三四メートル程の火柱が男に向かって放たれる。近くにいた遼牙を無視して。


「ぎゃあぁぁぁぁ!!あちいぃぃ……――。」


借金取りの男は火柱の温度が調節されていたため、そこまで酷い火傷を負うことなかった。しかし、圧倒的な質量と速度で放たれた火柱を直撃したため、向かいのビルの壁にめり込む程の勢いで叩きつけられて気を失った。


「ふぅ、久々に能力使うと気持ちいいな」


能力を解除した尚太は、カウンターに腰をかけて、実に清々しそうな顔で額の汗を拭う。


「……そうかい。俺を借金取りと同じように焼くのは、そんなに気持ちいいのか。」


しかしその言葉を聞いた瞬間、尚太の表情が凍りつく。辺りに散らばった木片に残存している炎をバックに、黒いオーラを纏い冷淡な笑顔を浮かべた遼牙がゆっくりと入ってくる。


「りょっ遼牙!!まっ待ってくれ!!あれはわざとじゃないんだ!!久々に能力使ったからうまくコントロールできなくて」


尚太は必死になって弁解をする。


「尚太……覚悟はできてるんだろうな。」


が、遼牙は完璧にスル―。そしてホルスターから白い奇怪な文字の刻まれた黒い二丁の銃を引き抜き尚太に向ける。


「遼牙!頼む!命だけは―」


「殺しはしないさ。殺しは、な」


先程の冷たい笑顔を張りつかせたまま遼牙は引き金を引く。





「ったく、ちゃんと能力使えるようにしとけよ」


「……はい。……すいません……でした」


「ってか店のもん壊されそうになってキレてんのに、自分でそれ壊してどうするんだよ」


「返す言葉もございません」


遼牙の制裁を受けた尚太はカウンターに突っ伏しながら言う。


「じゃあ、そろそろ行くよ」


「おう。……あんまり物騒な事に首突っ込むなよ」


「分かってるって。……あれ?おい尚太。ここにあった茶封筒は?」


「へ?………あれか?」


遼牙の質問に尚太は顔を上げて店内を見渡すと、尚太は何かを見つけたらしく遼牙の後ろ辺りを指差す。


「あったの………か。」


尚太の指さす先には茶色い部分二割、黒い部分八割ぐらいの長方形の塊が落ちていた。


「嘘だろ……まだ一枚目しか見てねぇよ」


「……どんまい」


「………おい、誰のせいでこうなったと思ってんだよ」


遼牙から再び黒いオーラが噴き出る


「りょ……遼牙…さん?」


 ニコッ


「歯ぁ……くいしばれや」


「遼牙さん!!お願ですから命だけブフォ!」


慌てて命乞いをする尚太だが、それが言い終わる前に腰の入った綺麗な右ストレートが容赦なく顔面に突き刺さり、厨房まで吹っ飛ぶ


「はぁ、こりゃ泰月さんに何言われるか分かったもんじゃねぇよ」


遼牙はがっくりと肩を落とし、とぼとぼと原形を失った扉からでていく。


「………あ、あのやろ……手加減しやが……れ…よ」






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