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第16話;捨て去られた世界の引きこもり

どうもです。



随分と更新にばらつきがありますが、申し訳ありません

エクシオンという存在は、動植物がブレイムコアを吸収したことによって変異したものと考えられている。理由、というより根拠は発現者の能力でしか破壊出来ないという点。これはとある研究グループによって、ブレイムコアは能力でのみ破壊可能ということが実証されていたため、同様の性質を持つということでそのような推理がされた。まぁこれにより発生した問題というものもあったのだが、ここではあまり関係ないので割愛しよう。兎にも角にも、エクシオンの厄介な性質の一つとして、発現者の能力でしか破壊出来ないというものがあるということを理解してほしい。

またエクシオンにも個体差というものがあり、強いものや弱いものが存在する。それらは上位種、中位種、下位種と区別されるが区分けは実に曖昧で、植物類は下位種、犬や猫などの小型動物をベースとしたものを中位種、それ以外を上位種と呼んでいる。しかし、普通の発現者一人でも二三体の下位種を同時に相手取ることも可能だし、熟練の発現者ともなれば複数の中位種を討ち倒すこともできる。ではなぜ未だに人間は地下に潜っているのか。答えは簡単、勝てないからだ。理由は単純に二つ、徹底された集団戦法と上位種の特異点。前者の集団戦法に関しては一集団最低でも5体、多いところでは20体以上もいるところがあり、単騎で単体撃破は出来ても一集団を撃破することは難しいのだ。そして後者の理由だが、上位種には発現者の能力のような特殊な力が備わっていると言う事。確認例は非常に少ないが、明らかに異常な炎などを確認されているため間違いないだろう。

以上のことを踏まえて、地上で生き残るために確実に必要なものとは何か。数体の強力なエクシオンを同時に撃退できる強い力、過酷な状況下でも生き残ることの出来るサバイバル能力。確かにそれらの能力があったら便利だろう。しかしそれだけだ。では本当に必要な物はなにか


「どけどけーい」


単純に、移動能力に優れたアシだ。


 集団で攻めてくるエクシオン相手に生き残るために態々戦う必要はない。態々馬鹿正直に全てと戦っていたら直ぐにエネルギー切れになるし、まともに進むこともできない。


「えっと、ここ右だっけ?」


遼牙は荒れ果てたアスファルト道路を走るバイクのハンドルを切る。


―なんか知らんけど下位種が多いな


『下位種ってさっきから沸いてくる木の化けもんのことか?』


―ああ。まぁあいつら基本足遅いから、バイクで振り切れるんでこっちとしては嬉しいんだけどな


下位種は総じて似通った特徴がある。それは歩行能力の低さ。まぁ元々のベースが植物であるため、足が殆ど発達していないのが理由である。


『へぇ、戦わないのか?』


―あんな馬鹿みたいに湧いて出てくる奴らの相手なんかしたくねェよ


遼牙は心底嫌そうに返す。そしてボロボロの風見鶏が転がっている小さな公園を通過して、その先の通りを左に曲がった


「うぁ……」


遼牙は先の光景を見て思わず顔をしかめた。そこにいたのは道路を埋め尽くすほどひしめいた木の化け物たち。ざっと見て二十以上はいるだろう。


 ――――っ!


「はぁ……あいつは何回言えば分かるんだか…」


遼牙はため息をつきながら、ホルスターから二丁の銃を取り出して、銃口をひしめくエクシオンたちに向ける。








地上には変わり者の呪い師が住んでいる。態々、敷地内にエクシオンが入ってこれない付加効果をつけた呪いを刻んで、電気や水道のない自給自足の生活をし、誰もいない地上で暮らしている変わり者。


「おーいヒデトー。いるかー?」


そしてそんな変わり者に会いに来る者もまた、常識人という枠からはみ出た変わり者であるだろう

 そんな辺鄙な地を訪ねてきた変わり者は、家の主の返事が帰ってくる前に木のドアを開いて中に入る。中は大きめのテーブルと椅子が一つずつと、水がたっぷり入った瓶があるだけのガランとした部屋で、他は奥に続く扉が一つと上の階へと伸びる階段があるだけの簡素な部屋だった。


「あのな、いつもいつも言ってるが、せめて俺の返事を待てよ」


溜め息の聞こえそうな呆れた声が、ギシギシ軋む階段の音と共に上から降りてくる。


「いいじゃねぇかよ。どうせ俺以外来ねぇんだし」


階段から現れたのは手入れのされていないボサボサの黒髪に、黒い奇怪な紋章が大量に刻まれた白衣だったものを着ている男で、めんどくさそうに目を閉じて頭をガシガシ掻いている


「そういう問題じゃ――」


「……どした?」


階段を降り切り手すりに手を置いて、漸く目を開いたところで、彼は停止している。


「か……か…」


「か?」


不法侵入者は首を傾げながらオウム返しで聞き返す。


「可愛い」


「は?」


「可愛い過ぎじなゃいか!この程良く焼けた褐色の柔らかそうな肌!幼さが僅かに残る容姿!そして何より可憐な容姿と小柄な体躯に合っていない無骨なブカブカの服とのギャップ!何なんだねこの私の心を揺さぶるろうたげなる少女は!」


さっきまでのダルそうな雰囲気から一変し、非常に熱のこもった視線で侵入者の肩を力強く抱く


「離れろ馬鹿!なに覚醒してやがんだよ!」


「その強気な態度と物言いもたまらんな!」


「気持ち悪っ!肩離せよこの変態が!」


 バキッ


「なにを言うか!私はしんブフッ!」


侵入者、もとい光崎遼牙が御堂ヒデト改め変態の頬を殴り飛ばす。殴られた体は若干回転しながら宙を舞い、勢いそのまま古い木製の壁に激突する。貫通してもよさそうな勢いだったが、壁が無傷なのはおそらく呪いでも働いているのだろう。


「いい加減にしろや!」


「あー痛てぇ。全くいきなり何するんだ……ってそういえば誰だキミは?」


ヒデトが後頭部を摩りながらゆっくりと体を起こし、なんとも今さら感満点な質問を繰り出した


「そっからかよ……」


遼牙は額に手を当てて呆れたような声で言う。


「俺だ、遼牙だ、ってか容姿は仕方ないとしてこの服装で気付いてくれよ」


「遼牙だと?キミはあのキッツイ顔したどこそこ構わずナイフ取り出す爆弾野郎だって言うのか?冗談言うならもっとマシな奴にした方がいいよ」


ヒデトは大真面目な顔でそんなことを言いのける。本人の目の前だというのに


「ほうほう。長年の付き合いだが、お前は俺のことそんな風に認識してたのか」


遼牙は静かに笑みを浮かべながら、懐から一本のサバイバナイフを取り出す。


「え?………ま、まさか……マジで?」


「ああ、マジで☆」





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