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【一般】現代恋愛短編集 パート2

無感情な有浦さんと付き合ってみた 裏

作者: マノイ

以下の作品の裏バージョン(本編)です。


無感情な有浦さんと付き合ってみた

https://ncode.syosetu.com/n3542lk/

「よし、これで終わりだね。この日誌は僕が先生に出して来るよ」

「ありがとう」


 はぁああああ!

 好きぃ!好き好き好き好き好きぃ!

 純きゅん大好きぃ!


 くんかくんかはすはすしたい!

 膝枕してなでなでしたい!

 胸に顔押し付けてグリグリしたい!


 まさか一緒に日直が出来るなんて神様ありがとう!

 でももう放課後だから日直が終わっちゃう、神様クソくらえ!


 つぶらな瞳がかわいい。

 男子なのに綺麗なお肌がかわいい。

 穏やかで優し気な表情がかわいい。


 私の好みにドストライクなんですぅうううう!


「よし、これで終わりだね。この日誌は僕が先生に出して来るよ」

「ありがとう」


 はぁ~!優しいところも好き!

 でももっと一緒に居たいからまだ持って行かなくても良いんだよ。

 むしろ私も一緒に行こうか?


 おうちまでついていくよ?


有浦(ありうら)さん、ちょっと良いかな?」

「何?」


 え!? 何々!?

 私の気持ちが伝わったのかな。

 純きゅんもまだお話ししたいのかな。


 涙涙の帰り支度なんてやってられっか。

 さぁ純きゅん、誰もいない教室だよ。

 押し倒す絶好のチャンスだよ?


「その、もしよければだけど、僕と付き合ってくれないかな?」

 は!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?


「…………」

「…………」


!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?


「…………」

「…………」


!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?


「…………」

「…………」


 はっ!

 いけないいけない、あまりの衝撃で見てはいけない世界にトリップしちゃってた。

 画面がバグった世界みたいで歪んでてちょっと怖かった。


 じゃなくて、もしかして告白されたの?

 大好きな純きゅんに?


 嬉しい。

 すっごく嬉しい。


 でも私だって馬鹿じゃない。

 脳内はとっても馬鹿っぽいけど、馬鹿じゃないのよきっと。


 こんなに騒がしい思考がダダ洩れしないように必死に感情を隠して生きているから、無感情で怖いって良く言われてる。


 そんな女を好きになる男子がいるはずないでしょ。


 だからこれは罠に違いない。

 純きゅんって大人しいからクラスの誰かに揶揄われたり脅されたりして、嘘告を強要されてるんだ。


 隠れてどこかでクラスメイトが見ているに違いない。


「…………?」


 廊下でこっそり見ているのかな。

 あるいはロッカーの中に入っているなんてことはないよね。物語だと定番だけど、実際は超臭いから入るやつの気が知れない。えんがちょ。えんがちょって何だろ。古い漫画で良く出て来るけど。


「嘘告とか冗談じゃないから、誰も隠れて見てたりしないよ。僕、本気で告白してるんだ」


 ほん……き?

 それってどういう意味だっけ?


 本の気持ち?

 本って生き物だっけ?

 純きゅんの写真集欲しいなぁ。


「…………」

「…………」


 って馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!

 どうしていつもトリップしちゃうのよ!


 大好きな純きゅんが告白してくれたんだよ。

 私なんかを好きになってくれたんだよ。


 速攻オッケーしていちゃらぶしないと!


 でもどうして私なんだろう。

 気持ち悪いことばかり考えていて、好きになってもらうようなことなんて何一つしてないんだけど。


 知りたい。

 でも聞くのが怖い。


 だってそれが勘違いだったとかでやっぱり告白止めますなんてことになったら、ショックで北極で全裸寒中水泳しちゃいそうだもん。


「…………いいよ」

「!!」


 純きゅううううん!

 嬉しそうな顔だけでご飯何杯もいけちゃう!

 むしろ私も食べて!


 な~んて、ぴゅあっぴゅあな純きゅんがそんなことするわけないよね。

 じゃあ何をするんだろう。


 私みたいな見た目無感情女と付き合うって、どんなことをイメージしてるんだろう。

 素直に聞いてみちゃえ。


「でも、付き合うって何をすれば良いの?」

「え?」


 あざとく首かしげてみる。

 無感情だろうが男心をくすぐる行為くらい出来るんだよ。


 ほら純きゅんが少し照れてる。

 ぐへへ。


「何をすれば良いか教えて」

「え、ええと……」


 はぁ……悩んでる純きゅんも可愛い。

 今すぐにでも抱きしめて目一杯甘やかした~い。


 でもそんなことしたら私らしくないって嫌われちゃうかもしれないから出来ない。

 ぐすん。


「休み時間とかに話をしたり、お昼ご飯を一緒に食べたり、一緒に登下校したり、LI〇Eとかで雑談したり、デートしたりとか、かな?」


 ぴゅあすぎない!?

 私達高校生だよ!?

 それじゃあ中学生みたいじゃん!


 もっとがっつり付き合っても良いんだよ?

 私にたっぷり突いてくれても良いんだよ?


 あ、もしかして私が恋愛ごとを何も分かってないって思ってレベルを合わせてくれてるのかな。


 優しい!


 本当はナニも分かってるけど、ぴゅあなお付き合いも素敵だよね。


「それが付き合うってことなんだ」

「多分そう、なんじゃないかな」


 そうと決まれば据え膳食わぬは女の恥。

 じゃなくて、性は急げ。

 でもなくて、メスは媚びろ。


「分かった。じゃあ待ってる」

「え?」

「一緒に帰るんでしょ?」


 純きゅんとの素敵な恋人ライフは、一秒たりとも無駄に出来ないもん。

 早速今日から始めないとね。


「急いで行ってくる!」


 純きゅんは日誌を提出しに、慌てて教室を飛び出して行った。 

 本当は私も一緒に行きたかったけれど、歯を食いしばって我慢した。

 純きゅんが居ない間にやっておくべきことがあったから。


 ムダ毛の処理は……鞄に避妊具入れてたっけ……


ーーーーーーーー


「それでさ、その時にオススメに出て来たのが気になって見てみたら、超可愛かったんだよ」

「ふ~ん」


 純きゅんもかわいいよ!


「犬も可愛いけど、猫も良いな~」

「ふ~ん」


 純きゅんもかわいいよ!


「なんて思ってたら、その関連動画に今度はハムスターが出て来て、それも可愛いかった」

「ふ~ん」


 純きゅんもかわいいよ!


 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ。

 つ、辛い。

 せっかく付き合うことになったのに、すぐに醜い感情がダダ洩れしそうになって我慢するのが辛い。


 感情の暴走を抑えるのに必死で、いつも以上に塩対応するしかなくなっちゃう。

 お昼ご飯を食べるのに集中してないと、にちゃりそうになっちゃう。


 でもこんな私が相手でも純きゅんは楽しそうにしてくれる。

 そんなところもしゅきぃ、幸せぇ。


「お前らそれでマジで付き合ってるの?」

「純が一方的に絡んでるようにしか見えないぜ」

「有浦さん、嫌だったらちゃんと嫌だって言わなきゃダメだよ」


 おいごるぁ!

 私と純きゅんの愛の巣に入ってくるんじゃねーよボケがぁ!


「別に平気。あっちいって」

「何よその言い方。こっちは有浦さんを心配してるのに」

「そうそう。私達のことなんか眼中にない感じ、超失礼だよ」


 はぁ?

 どうせ自分の恋愛が上手くいかないから八つ当たりしてるだけでしょ。

 そうやって相手の気持ちを全く考えないで正義面するようなクズなんか好かれるわけないでしょば~か。ホストに入れ込んで借金漬けになって風俗堕ちしちゃえ。


「純も有浦は止めとけって。そいついっつも不愛想で何考えてるか分からないじゃん」

「そうそう。話しかけても反応薄いし、不気味だよ」

「彼女が欲しいなら誰か紹介してあげようか?」


 おいコラ余計なこと言うんじゃねー!

 こっちが一番気にしてることをズバっと言いやがって!


 普通それ本人の前で言うか?

 せめて裏で言えよ。


 お願い純きゅん。

 こんなクズ共の口車になんて乗らないで!


「それ以上は口を開かないで貰えるかな?」


 じゅ、純きゅん?

 どうしちゃったの?


 いつものようなのほほんとした雰囲気は何処に行ったの?

 なんか怖いオーラを発してるよ?


「僕の好きな人を、これ以上侮辱しないで」


 純きゅうううううううううううううううううううん!


 好きぃ!

 好き好き好き好きだああああい好きいいいい!


 男らしい純きゅん!

 最高に格好良い!


 私の為に本気で怒ってくれるなんて、幸せすぎて涎垂れちゃう!


 優しいだけじゃなくて狼さんモードも備えてたんだね。

 そのモードで私をめちゃくちゃにしてええええ!


「わ、悪かったよ。そんなに怒るなって」

「ごめんなさい。言い過ぎだったわ」

「有浦も悪かったな」

「…………」


 純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん純きゅん。


「それでさ、さっきの話だけど……」


 あ、あれ、ハート目で純きゅんをガン見してたら、いつの間にか元の話に戻ってる。

 何がどうなって……まぁいっか!


「ふ~ん」


 純きゅんすきぃ。


ーーーーーーーー


 デート!

 デート!

 デート!


 ようやくこの日がやってきた!

 もう、純きゅんったら奥手なんだから。


 でも私も予定があるからとかって何だかんだ言って先延ばしにしちゃった。

 だってせっかくの初デートなんだから、それに相応しい日にしないと。


 生理の周期計算はばっちり。


 うう、き、緊張する……


 今日、少女から女になるかもしれない。

 お相手は愛しの純きゅん。


 ドキがムネムネしてお腹のあたりが疼いちゃう。


 純きゅんとデート、純きゅんとデート、純きゅんとデート……


 緊張しながら待ち合わせ場所に向かうと、そこには何故か目を瞑って待ってる純きゅんがいた。


 かっっっっっっっっっっっっっっっっっわ!


 頑張って選んだ感のある服装が超絶可愛すぎるんですけど。

 慣れてないのか、服に着られているみたいで初々しくて鼻血出ちゃいそう。


 私のために用意してくれたんだよね。

 嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。


 今すぐ全裸になって飛び掛かりたいくらい。


 この気持ちを純きゅんも是非味わって。

 私だって気合入れて準備して来たんだから。


「おまたせ」

「ううん、待ってな……」


 うう……純きゅんがガン見してくる……


 ど、どうかな。

 ちょっとあざとくて狙いすぎだったかな。


 男の子が好きそうな服を選んで全力で媚び媚びしてみたんだけど。


「どうしたの?」

「…………」


 完全に固まっちゃってるから、好印象なのか悪印象なのか判断し辛い。

 だからあざとく首をかしげて追加攻撃なんかしちゃったりして、無理やりにでも好印象に持っていこうとしてみた。


「か、可愛くてびっくりしちゃった」


 いよおおおおっしゃああああ!


 大☆勝☆利!


 五回コールド勝ち。

 十馬身差の圧勝。

 一ターンエグ〇ディアキル。


 どうよこれが私の本気よ。

 無表情? 無感情?

 だから何だってんだ。


 素材が良ければそんなハンデなんか無いような物なのさ。


 もう純きゅんのハートは鷲掴みだよね。

 それなら少しくらい素を出しても平気かな?


「…………ありがとう」


 やっぱり無理いいいい!


 恥ずかしいのもあるけど、素が超うざいおしゃべり系女子だなんて知られたらドン引きされちゃうもん。


「それじゃあ行こっか」

「うん」


 そんな私の内心なんて全く気付かず純きゅんがエスコートしてくれるけれど、手ぐらい繋いでも良いんだよ? 


 なんて考えてた私が馬鹿だった。

 純きゅんは今日のデートをデートが良く分かってない私にデートとは何かを教えてあげるための体験デートとして考えているらしかった。そりゃあどれだけ本気でアプローチしても一切手を出して来ない訳だ。


 今晩帰らないかも、なんて家族に伝えてお父さんを絶望させたのに無駄にさせちゃった。


「でさ~、お母さんったら酷いんだよ。勘違いで僕を悪者にしたのに謝ってくれないんだもん」

「ふ~ん」


 街を散策し、ウィンドウショッピングをして、ご飯を食べて喫茶店でゆっくり駄弁る。


 取り立ててイベントがあるわけじゃないけれど、純きゅんの笑顔が見られるだけでお腹いっぱい。

 なんだかんだで普通に楽しんじゃってる私がいる。


 そりゃあそうよね。

 好きな人と一緒なら、墓場だろうが死体処理場だろうがきっと楽しめる。


 でもさ。

 でもでもでもでもさ。


 別に妄想通りに卑猥な展開になれとは言わないし、純きゅんの優しさはものすご~~~~く嬉しくて安心するんだけどさ。


 少しくらいは『特別感』があっても良いんじゃないかな。

 せっかくのデートなんだもん、それを望んでもバチが当たらないよね。


 夕暮れの中。

 住宅街を歩く私達。


 このまま終わるのは勿体ないと思った私は、右手を少しだけ動かして純きゅんの左手に触れさせた。


「あっ、ごめん」


 でも純きゅんはすぐに引っ込めちゃった。

 そのまま悩んで私の手をそっと握る、なんてのはハードルが高かったのかな。


 本当に?


 いくらお試しデートとはいえ、これはれっきとしたデートだ。

 純きゅんだって意識していない筈がない。


 せめてもう少し近くで歩くくらいはしてくれても良いと思う。


「有浦さん? どうしたの?」


 よし、聞いてみよう。


 せっかく無知な女の子だって思われてるんだもん。

 それを使わない手はないよね。


「手を繋ぎたく無いの?」

「え?」

「デートなら手を繋ぐのかと思ってた」


 おお~、顔が真っ赤になった。

 相変わらずかわゆいのぅ。


 そんな姿を見せたらおじさんいじわるしたくなっちゃうよ。


「それにキスしなくて良いの?」

「え!?」


 ぐへへ。

 私とキスする場面を想像して真っ赤になっちゃってか~わい~


 流石に私もちょっと照れちゃってるけど、頑張って顔に出ないようにしてる。


 キス……したいなぁ……


 純きゅんはそういうキャラじゃないって分かってるけれど、激しく求められたいって思ってしまう自分がいる。


「もしかして、デートで何をするか調べて来たの?」

「うん、予習は大事」

「そ、そういうことだったんだ」


 おお、そういう流れになるんだ。


 何をするかは調べてないけれど、ナニをするかは調べてあるよ。


 たっぷり予習して来たよ。


「確かに僕は有浦さんと手を繋ぎたいし、キスだってしてみたいよ」

「…………」

「でもそれは有浦さんもそうしたいって思った時にしたいんだ。有浦さんの気持ちを置き去りにしてやりたくなんかないかな」


 うん、知ってた。

 純きゅんは超優しいから、そう言ってくれるだろうなって。


 だからこれ以上を望むなら、私がもっと積極的にアピールしなければならない。

 それは私の本当の姿を曝け出さなければ出来ないこと。


 だって無感情で無表情な私がキスしてなんてせがんだら違和感しかないでしょ。


「それが付き合うってことだと、僕は思うから」


 うううう、格好良い。

 大事に思われすぎてて胸がトゥンクトゥンクトゥインクルしちゃってる。


 愛してるって全力で叫びたい。


 そうしようかな。

 そうしちゃおうかな。


 本当の私を見せても、純きゅんはきっと嫌がらないと思うから。

 そういう人だと思うから。


「…………」

「…………」


 言えなかった。

 どうしても言えなかった。


 それは多分、純きゅんの気持ちが見えないから。


 私の事をとても大切に想って、心から好きになってくれているのは分かるけれど、どうしてそうなったのかが分からないから。


 無表情で無感情な姿の私が好きだったら困るから。


 でも、もう我慢できない。

 こんなに愛されて、気持ちを隠し続けるだなんて辛すぎる。


 だからかな、つい聞いちゃった。


「どうして?」


 それを聞いてしまったら後戻りはできない。

 純きゅんと付き合い続けるためには聞かないでおこうって思っていたのに。


「どうしてそんなに私が好きなの?」


 お願いです神様。

 どうか、どうか私にチャンスを下さい。


「無表情で怖いし、相槌しかできないし、一緒にいてもつまらないよね」


 こんな私だから好きなんじゃなくて、どんな私でも好きでいてくれるだなんて都合の良い答えを下さい。


 だって私、純きゅんのことが本当に好きだから。


「つまらなくなんかないよ。楽しいよ」

「どうして?」

「なんとなくだけど有浦さんの気持ちが分かるようになってきたからかな」

「え?」

「確かに表情は変わらないけど、雰囲気で分かるんだよね。この話題は楽しそうだとか、これは興味無さそうだから止めた方が良いかなとか。今日だって、有浦さんが好きそうな店に長くいたつもりだったんだけど、間違ってたかな?」

「あっ………」


 え、ちょっと待って、凄すぎない?


 私、今日のデートでも完璧に感情を隠してた自信があるよ。

 少しでも気を抜いたら顔が緩んでしまうかもって思ってたから、今まで以上に気合を入れて無感情やってたんだよ。


 確かに思い返せば純きゅんのエスコート完璧だったけど、あれって私の気持ちを察したってことなの!?


 これが愛の力ってやつなのか。


 すげぇ。


 小学生並みの感想しか出て来ない。


 おっとそうじゃない。

 すんごい衝撃的だったけど、それは最近の話だよね。


 そうじゃなくて、そもそも純きゅんが私のどんなところに惚れたのかが知りたいんだって。


「でもそれって、付き合ってから分かったことだよね。そもそもどうして告白して来たの? どうして私なんかを好きになってくれたの?」

「…………聞きたい?」


 どうしてそこで困った顔になっちゃうの?


 好きになった理由が言い辛いって……まさか無感情フェチだったりしないよね。

 そしたら恨むよ神様!


「うん」


 ここまで来て逃げられるわけないだろうが!


「その、怒らないで聞いて欲しいんだけど」

「?」


 怒られる?

 無感情な女の子が好きなんだよね、なんて言われたら確かに怒られそう。


 いやああああ!

 それだけは止めてええええ!


「見ちゃったんだ」

「何を?」


 あれ?

 もしかして助かった?


 見ちゃったってことは、普段の私の様子が理由って訳じゃないよね。


 いいいいよおおおおっしゃああああああああ!


 セーフ!

 セーフだセーフ!


 審判良く見ろ!

 セーフだろうが!


 アウトだったらVAR要求するからな!

 お前の家に押しかけて一晩中インターフォン鳴らしまくってやるからな!


「有浦さんが鼻歌を歌いながら笑顔で歩いてるところを」

「!?」


 ………………………………………………………………は?


「この前、家族で旅行に行った時に偶然」


 ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


 りょ、旅行ってアレだよね。

 家族で島に行ったやつ。


 あそこに純きゅん居たの!?

 しかもあの時のを見られてたの!?


 ど、どれなの!?

 一体どれを見られたの!?


 確かにあの時、一人で島を散策してた。

 楽しかったし、周囲に人が居なかったし、居たとしても遠い旅行先だから知り合いなんて居ないだろうって思って素を出してた。


 見られた場所、ううん、聞かれてた場所によっては私の人生は終わっちゃう。


 特に『う〇こ、ち〇こ、ま〇こ~』なんて口ずさんでたタイミングだったら死ねる!


 違うんです!

 あれは従弟の小学生男子が遊びに来た時に歌ってて、妙に頭に残るリズムだったからつい……


 あのクソガキ!

 もしあれを聞かれてたら、今度会った時に『精通の相手はもう少し考えた方が良いよ』って意味深なことを両親の前で言ってやる!


 それと神様!

 日本全国の神社を巡ってう〇こを捧げてやるからな!


 いや待てよ。

 純きゅんは『鼻歌』って言ってた。だとすると実際に歌っていたそのシーンは見られていないはず。


 セーフ!

 セーフだセーフ!


 無駄に空気を読んで誤審連発する高校野球の審判だってセーフ判定だ!


 よくやった神様!

 友達に頼んで イザナギ×スサノオの同人誌を書いてもらうよ!

 それともキ〇〇ト×アッ〇ーの方がお好みかな?


「それがあまりにも可愛くて好きになっちゃったんだ」

「…………」


 あの鼻歌の歌詞を知ったらドン引きされるんだろうなぁ。

 男子には聞かせられないオリジナル下ネタソングだもん。


 あ、まずい!

 あまりにも動揺しすぎて顔に感情が出ちゃってる。

 逸らしたけど耳が真っ赤になっちゃってるの、多分バレてるよね。


 でもこれってチャンス。

 私だって感情が漏れる時もあるんだよって教えるフリをして、素を出すきっかけにしちゃえ。


 いくぞ~!

 デッデッデデデデ!カーン

 

「もちろんそのことは誰にも言わないから安心し……有浦さん!?」


 きゃああああ!

 純きゅんの胸に顔を押し付けちゃった!


 くんかくんかはすはすくんかくんかはすはす。

 くんかくんかはすはすくんかくんかはすはす。

 くんかくんかはすはすくんかくんかはすはす。


 あまりの多幸感で〇っちゃいそう。


「本当は私、感情がかなり激しくて、小さい頃に色々と迷惑かけちゃったの」

「え?」


 うるさいから少し黙れ。

 口だけじゃなくて顔もうるさい。

 誰かこいつの電池抜け! 


 男子がドン引きするくらいの下ネタで、大阪のおばちゃん以上のマシンガントークをしてたら滅茶苦茶怒られた。


 それならいっそのこと真逆な女になってやるって思って感情を封印したんだ。

 

 そうすれば『そこまでやる必要は無い』って言って貰えるかと思ったら、全員が安心しやがったチクショウめ!


  悔しいから意地でもあいつらが態度を変えるまで続けてやる、なんてやってたら引くに引けなくなっちゃってたあひゃひゃひゃ。


「だから感情が表に出ないように、いつも歯を食いしばって必死に耐えてるの。そうしたら上手く話せないし、無表情で怖いなんて思われちゃって……」

「そう、だったんだ」


 中学生になってあいつらとは離れてから一度だけ、それなら素の姿を見せてあげようかって解禁したことあるんだけど、号泣しながら『お願いですから黙っていてください』って言われちゃった。ないことないことをちょっとだけ言いふらしただけなのに、解せぬ。


「家族の前だと自然体でいられるんだけど、まさか純君に見られてただなんて」

「悪い」


 家族も黙れって言ってくるけど無視してる。

 家でも素を隠すだなんてやってられないも~ん。


「謝らないで。むしろありがとう」

「え?」

「こんな私を好きになってくれて本当に嬉しい。大切に想ってくれて本当に嬉しい」


 だから絶対に逃がさないからな!

 私の素を知って別れようとしても地の底まで追い続ける!


 な~んちゃって、冗談だよ冗談。

 私はおしゃべりだけどそんな重い女じゃないもの。


 本人の前でこれみよがしにガチ泣きはするけど。

 既成事実でなんとかならないか試すけど。

 

 そのくらいは女として普通だよね。


「いつかなんとかしなきゃって思ってたの」


 だって全力でイチャラブしたいもん。

 エンドレスで純きゅんとおしゃべりしたいもん。


「純君にもっと好きになってもらうためにも、私頑張るね」


 全力で頑張らせて頂く所存でございます。

 具体的には財布に忍ばせている避妊具が空になるくらい使って貰えるようになるくらい。


「もっと好きになるなんて簡単なことだよ」

「え?」

「あの時の笑顔をもう一度見せてくれたら、好きすぎてどうにかなってしまうから」


 いいの!?

 だってそれって素を見せて欲しいってことだよね!?


 素を見せたらもっと好きになってくれるの!?

 マジで!?


 だったら素どころか素肌まで見せてあげる!


 まずはそのための第一歩。

 全力で堕としてやるから覚悟しな。


「…………馬鹿」

「!?!?!?!?」


 上目づかいの甘え声。

 ぐへへ、男の子ならこういうのは弱いでしょ。

 

 予想通り顔を真っ赤にしてベタ惚れしてるっぽい。


 これだけ近ければ女の子の匂いがたっぷりするでしょ。

 それにこの角度なら、谷間が見えそうになっているはず。


 純きゅんの男の子が狼になっちゃわないかな。

 くぅ~! このままち〇こ握ってヤりてぇ~!


 早くその日が来るように、無知無自覚を装って全力で籠絡してやる。


 まずは少しだけ胸を押し付けて、と。

 くんかくんかはすはすはすはす。


 今日の所はこれくらいで勘弁して……え、あれ、純きゅん?

 なんか目が怖いんだけど。

 マジで食べられちゃう?


 やった!

純きゅん逃げてええええ!

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― 新着の感想 ―
温度差すげえw
思ってたよりも煩悩まみれで驚いたw
裏側、これかあw このあと、すっごく、大変そうですねw
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