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7-1・聖に目覚めるころ

 部室の片隅には段ボール箱が積み上げられていて、定期的に中を確認しては捨てるようにしている。


 部員に比べると箱が異常に多いのは、別に中古LPの買い取りをやっているからではなくて、他の部室や生徒会から送られてくる「今は使わないけど、そのうち使うかもしらないもの」を預かっているからである。


 演劇の小道具、実験の小道具、こわれたクラリネット、ジオン公国の公旗、特攻パイロットのマフラー、金鵄勲章、実物大ぬらりひょんなどなど、いったいいつ使うのか不明のものばかりとはいえ、ほかの部室より広めで独立した建物をもっている部は茶道部以外にはないため、原則として保管料は無料だけど、スペースの問題でなんでも、いつまでも取っておくわけにはいかないのだ。


 ミドリは、自分の異次元ボックスあげようか、と言って、ほかの部員5人の分は出してもらったけど、なんでも入る異次元ボックスの中に、なんでも入る異次元ボックスはやはりいくらでも入っているものなのだろうか。


 そのようなものを使っていると、本当にものの整理がつかなくなるからだめ、というミロクの命令によって、整理できないものでも正倉院御物のように、月に一度ぐらいはリアルボックスの目録と在庫を確認して、各部と生徒会に連絡して、捨ててよさそうなものを画像つきで決めさせる。


 そんな中に、今まで見慣れていない短めの刀……長脇差のようなものがあった。


 朱鞘には四龍の彫金がほどこされ、鍔は重厚感があって、表には雨、手に持つ側には雲が風に吹かれた彫り物と、古代中国文字を模した漢字が記されている。


 柄前は後世によってつけかえられたと思われる埋れ木で、黒みを増した濃茶色、手にとるとしかし、思ったよりも軽い。


「あー」と、ミドリは言った。


「聖剣」


「うちの部室に前からあったっけ。赤錆びた脇差しは、演劇部が『国定忠治』やるときに、アルミホイル巻いて使ったのは覚えてるかな」と、ミロクは言った。


 いま、手元にある刀は抜かれていて、青魚のように一点の曇もなく太陽の光を反射している。


 それどころか……なんか青魚のようにぬるぬるしてる!


 机のうえにも、そのぬるぬるが垂れている。


「最近、その刀も聖に目覚めて来まして」と、クルミは言った。


「あーやりたい、一度だけでいいから魔物切りたいよー、と言ってはいるんですけど……手頃な魔物いませんでしょうか」


「じゃあ、このぬるぬるは?」


「聖液です。定期的に、週に2、3回は鞘から出して放出しないと乱心してしまうので」


「なんかの役に立つの? いやそもそも聖剣そのものが役に立つのか、って意味もあるんだけど」


「そりゃあ、魔物は聖剣じゃないと切れないことになっているので。あっ、ヒトとか、現世のものがその刃に当たっても、すこし痛い程度なんですけど」


「ふーん……クルミも聖職者じゃないけど、教会には行くんだよね。そういう行為ってなんて言うの」


「えーと……聖行為かな」


 これ以上この調子で続けたらR18指定にしないといけないだろうから、やめておこう。


 聖剣に関しては、日当たりのよさそうなところへ、聖遺物というか、今はなかなか探しても見当たらない、紙に印刷された水着女子画像にくるんで置いておいた、というのが数日前。


「聖剣が消えた!」ということが判明したのはついこのあいだのことだった。

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